ボイス

【ボイス:2023年10月18日】田中聡選手

湘南らしく戦うことが
残留への道を開く
 サッカー選手として成長するために再びベルマーレを選んだ田中選手。J1に残留することは、マストの使命となることを理解しての帰還だ。

「移籍してからもベルマーレの試合は、毎試合見てました。2022年の残留した最後の試合とかも。今シーズンの開幕戦も結果だけじゃなくて試合も全部見ていたんで、(サガン)鳥栖戦も『え、めっちゃ強いじゃん』って思って。『これ、5位いける』みたいな感じで思ってました。でも、僕が戻ったときは、もう下位の方だったので、まずは勝点3が必要だなって思っています」

 複数得点を挙げて勝利を引き寄せるいい循環のなかにいたシーズン序盤から、徐々に調子を落としたチームに復帰。そこからさらに白星から遠ざかっていくチームを見守ることになった。
 
「勝てるというか、調子がいいときは前からどんどん、守備でもプレスをかけて。鳥栖戦も本当に前線からプレスをかけて、ハマりまくってたし、見ていても負ける気がしなかったです。今はやっぱり、メンタルですかね。自信を持ってやってるときは、ディフェンスラインの選手もボールを持って、相手をかわして運んだりして、見ていても面白いサッカーをしていると思うんですよ。やっぱり緊張とか負けが続いているときは、メンタルが下がってくる。自分もそうなんですけどメンタルが下がるとパフォーマンスが変わってくるなっていうのを最近痛感します」

 おおらかに見えて繊細。ネガティブな思いも抱きやすく、メンタルの状態に左右されやすいことは自分の経験から知っている。

「ターンできるのにターンしないでバックパスしたり。調子というよりメンタルがいいときはどんどん前に運んで行ったりしているのに、調子が悪いと横パスとバックパスだけになってしまうので」

 とはいえチームは今、良い方向へ向かいつつある。田中選手の試合出場が可能になったタイミングが重なったのは、偶然かもしれないが、変化の源になり、新しい風を呼び込んでいるようだ。

「残留はマストですね。戦術はいろいろあると思いますけど、やっぱり一番は湘南らしく走って、ボールを奪いに行って、球際で勝って。相手よりも走って戦えば、簡単に負けることはないと思うので、相手がこうだから戦術はこうするとか、そういうのも大事だと思いますけど、やっぱり今足りてないのは、走力だったり、戦うところ。サッカーの本質的なところを全員でやっていけば勝てると思っています」

 残りの試合のすべてで「湘南らしさ」を表現し、勝点を積み上げていくことを目指す。

取材・文 小西尚美
協力 森朝美