ボイス

【ボイス:2021年12月2日】畑大雅選手

アドバイスも惜しみなく
ライバルとも良い関係を築いて
 1つ課題をクリアすると、また次の課題が見えてくる。今、気になっているのが左足のキックの精度。サイドをえぐってゴール前に上げるクロスの精度に納得がいかない。「試合でも何回か左で上げてるんですけど、いまいち自分のクロスの精度が高くないことがわかってるからちょっと躊躇してしまったり、右足に持ち替えて楽な方で蹴ったりとかもあるので。左足の精度が上がってくればプレーの幅の広がるから、今はそういう部分に取り組んでいます」

畑選手といえば今やベルマーレの左サイドのプレーヤーというイメージが定着しているが、初スタメンを勝ち取った昨年のルヴァンカップのグループリーグ第2節柏レイソル戦の前までは右サイドでプレーしていた。

「レイソル戦の1週間前の練習試合でたまたま左サイドをやって、そこで左の方が仕掛けやすいというか、1対1の場面で抜きやすいなというのは感じて左サイドをやる手ごたえをコーチングスタッフに話したら、レイソル戦で『じゃあ左でいってみよう』って感じになって。そこから自分でも右より左の方がやりやすいかなっていうのはあります」

スピードや突破力を活かす、左サイドの選択。ところが最後の仕上げでもあるクロスが課題となった。

「これは本当に、右利きである以上は永遠の課題。ずっとやっていかなきゃいけない部分であると思います」

左サイドのポジションを直接争うライバルは、まさに左利きの高橋諒選手。

「ポジション争いでは気が抜けないっていうのは本当にそうで、僕は練習からいいプレー連発とかいうのはあまりなくて試合でやるって感じなんですけど、諒くんは練習でも試合でもいいプレーをするし、左のサイドバックはやっぱり左利きがやるのがベストだと思います。でも、相手を押し込んで詰まったとき左で縦勝負だけではなくて、僕ならそこで中にも行けるので、そういうところで優位性はあると思う。あとは僕が左足の精度を上げれば、しっかりとスタメンの座を取って試合に出続けられると思うので。何にせよ左足のクロスの精度が課題です」

右利きの選手が左サイドを担うメリットは、縦への突破以外にもある。ボールを持って中に入ってプレーしたり、シュートを狙ったり、アイデア次第でプレーの幅はどんどん広がる。

「そこは右利きの選手が左サイドで出るメリット。海外のウイングを見てもそういう選手は多いですし。けどそういう選手たちはしっかり左足で蹴れているので。両方あってこそ、相手に選択肢を絞らせないプレーができると思うので、そこはしっかりやらなきゃなと思います」

右利きと左利きの差。とはいえ高橋選手も今シーズンは、右サイドでのプレー経験を重ねて左右両足を使いこなしている。

「最近の試合で諒くんが右足でシュートを打つ場面もありましたし、もっとシュートを狙っていこうぜみたいな話を諒くんともしていて。そういう部分ではどちらがより選択肢を増やして相手にとっての脅威になれるかの競争なので、負けないように頑張りたいと思います」

特に畑選手はここまでの試合で、シュートを打つ場面が少ない。

「今、シュートを打てっていうのはけっこう言われていて。出た試合でシュートを打てる場面はあったのはわかっているし、そこでのファーストチョイスがいつもクロスになってしまっている。でもインスイングのクロスもアシストは2つしかついてない。シュートを選択肢に入れて打てれば相手が食いついたところで逆にもう一回縦に行って、より良い位置でクロスを上げることもできるかもしれない。そういう意味でもシュートの意識っていうのは、今はけっこう言われています」

初ゴールはまだない。

「点を取るより取らせる方が僕は好きなんですけど。でも、チームが勝てれば好き嫌いはどうでもいいし、拓也くん(岡本選手)とかは得点能力も高いので、そこは。ゴール前に顔を出すタイミングとかはお手本にしています」

左サイドの直接のライバルである高橋選手に加え、右サイドには岡本選手や古林将太選手がいる。彼らは皆、左右関係なくライバルであり、同時に参考にすべきお手本ともなっている。

「みんなそれぞれ違うタイプの4人なので、みんな特徴を持っているし、試合の中で自分の特徴を出せる選手。そうなってくるとそこの精度とそれ以外の部分でどうやってチームに貢献するかというところが大事だと思う。自分のプレーの特徴を出すプラスアルファ、守備面でもっと貢献するとか、ビルドアップの部分で相手を剥がすことに良さを出していくとか。他の部分を伸ばさないと試合に絡む機会も少なくなると思うので、第2の武器じゃないけど、そういうものが作れたらいいなと思います」

先輩たちは自分を高めることやチームをよくすることに貪欲だ。そのためにはたとえ同じポジションを争っていても、惜しむことなくアドバイスもしてくれる。

「僕、プロってやっぱり生活もかかっているし、そこに対してすごくシビアなイメージがあったんです。もっとギスギスしてるのかなって。特に同じポジションだと。でもアドバイスをすごくくれるし、試合に関して話すことも多いし、すごくフレンドリー。本当に良い関係が築けているなって思います。やっぱりライバル心は強く持ってなきゃいけないし、捨てちゃいけないと思いますけど、チームのために犠牲心を持てるというか、チームを良くするために必要ないことであれば、そのプライドを捨てることは必要だと思うし、そこがしっかりできているのが湘南の選手の良さだと思います」

課題と向き合い、ライバルとも手を取り合って前に進むのは、自分の成長とチームの勝利のため。2年目のシーズンも充実の日々を送っていることは間違いない。

>最終節は必ず勝利を その手応えは感じている