ボイス

【ボイス:2021年12月2日】畑大雅選手

ケガの期間に頭を育てて
復帰後はプレーに余裕が持てるように
 チームからの要求と自身のプレースタイルの相性の良さはあったものの、プロの舞台はそれほど甘くはないことを感じた。「実際に加入してからはけっこう苦労しましたね。シンプルにプレーの強度、当たる部分もそうだし、ボールを扱う部分もそう。あとは考えてサッカーをするという部分で大きな差があった。フィジカルではそんなに差はないなって感じてたんですけど、個人戦術の部分が大きく足りなくて、試合に出るのにもだいぶ時間がかかってしまったかなと思います」

プロデビューは、ルーキーイヤーの第6節、ホームで迎えた鹿島アントラーズ戦。後半残り5分に出場した。その後はルヴァンカップのグループリーグへの出場はあったものの、リーグ戦では出場機会を得られず、ベンチ入りもできないまま3カ月を過ごすこととなった。しかし、10月21日に開催されたサガン鳥栖戦からは13試合連続でスタメン出場を果たしている。

「試合に出て、自分のやりたいプレーは出せたし、その中でJの舞台でも通用することは感じられたけど、正直左のウイングには、(鈴木)冬一くん(現・FCローザンヌ・スポルト)がいて、冬一くんはケガや移籍もあって最後の方は出なかったですし、馬渡(和彰)くん(現・大宮アルディージャ)も左にいて、彼もケガでなかなか出られてない中で回ってきた出場だったので。もちろんチャンスでいいプレーができたのは良かったですけど、多分2人が万全だったら出番は回ってこなかっただろうなと思うので、結果13試合連続スタメンということに、よくやったとか手応えとかはあまりなかったです」

ケガが治れば復帰してくるライバルたち。その気配を感じながら「次はスタメンで出られないかな」という考えにつきまとわれながら過ごしたという。それでもチャンスはチャンス。試合に出れば、自分の課題も見えてくる。

「状況判断と守備の部分が一番大きいかなと思います。守備は好きではないし、去年でいえば(齊藤)未月くん(現・FCルビン・カザン)が横にいて、彼がほぼほぼ守備はやってくれて、守備に関しては僕の出る幕はあんまりなかった。その分、攻撃に使える体力もあったし、前にどんどん出ていけるっていうのはあったんですけど」

去年感じた課題を克服し、自分の力でスタメンを勝ち取ろうと臨んだ今シーズン。しかし、始動して早々のキャンプで負傷。その後は練習など実践の場で課題に取り組むことができなくなってしまう。

「そこから長かった、3カ月くらいですかね。キャンプで出た課題も持ち帰ってやるっていうことができなかったですし。でもケガの期間中でも上手くなることはできると思うので、その分試合を観て、相手の動きの観察だったりを意識して取り組みました」

実は、サッカーの試合をフルタイム観ることはあまりなかったそう。

「ホント、ハイライトでいいところだけ見ればいいやって感じが多かったんですけど、この期間にちゃんとサッカーを観て、理解度も高めようと思った。ベルマーレとやり方が似ているチームだったり、ブンデスリーガなどをを観て研究するようになりました。そういう部分では、頭をいい方向に持っていくことができて、復帰してから活かせたかなと思います」

試合を観ることで得た成果をピッチで活かす、その手応えを実際に感じている。

「ピッチの中で見ているのと、俯瞰して見るのとじゃスペースの空き具合とかも全然違うけど、俯瞰で見る映像が多かった分、どこにスペースが空いているかっていうのは、ピッチで実際に相手が並んだ中でも見つけたり、だいたいそこにスペースが空いているという予測を立てられたりという機会は増えました。そこはまだまだ増やせると思う」

スペースがあれば、スピードに乗ったドリブル突破など、自分の特徴をもっと出すことができる。

「だから今シーズンは、ボールを持ったときにだいぶ余裕を持つことができていると思います。本当はもっと早く身につけなければいけないことだったと思いますけど、良かったです。あとは外から見ていて『こういうプレー、もっとできるのにな』ということを考えていたので、それをピッチに出たときに自分の中にしっかり落とし込めているなというのはありました」

2年目のシーズンもスタートダッシュで定位置確保というわけにはいかなかったが、ケガのピンチをチャンスに変えて成長につなげることができた手応えはある。今はどんな状況でも立ち止まらずに成長につなげることを考えている。

>アドバイスも惜しみなく ライバルとも良い関係を築いて