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【ボイス:2022年4月13日】米本拓司選手


チームを勝たせる選手になるために。チャレンジのための移籍

2022シーズン、チームはリーグ戦5位以内を目標に掲げている。
この目標を達成するには、これまで以上のチーム力が必要だ。
そのために今シーズン、新たに加わった選手たちがいる。
米本拓司選手は、その一人。
自身は、チームを勝たせる選手になるためのチャレンジとして
この場所を選んだ。
チームの目標達成のためにも、このチャレンジを実らせたい。

チャレンジしてナンボの人生、
これまでにない成長を求めての移籍
 2021シーズンは結果的に、最終節まで残留を争うこととなったが、同時に湘南スタイルの進化も感じられた。2022シーズンに向けて、多くの選手が期待の声を発信するとともに、そのままチームに残ったことこそ、その手応えの証といえる。こうした選手たちに頼もしい選手が加わり、2022シーズンが始まった。中でも名古屋グランパスから期限付き移籍で加入した米本拓司選手に驚きの声が挙がった。在籍したチームの中心として、多くの試合に出場してきたベテラン選手だ。

「自分の人生、チャレンジしてなんぼだと思っていたので。FC東京から名古屋グランパスへ移籍したときもチャレンジという意味で行きましたし、ここに来るのも自分自身チャレンジだった。いろんなサッカーがしたかったし、うまくなりたいと思った。それと、智さん(山口監督)と話をしたときに、自分の苦手な部分を指摘されたんです。それを少しでも吸収して、自分の血となり肉となりじゃないですけど、少しでも成長したいと思って移籍しました。今、練習ではこの歳になってもたくさん注意されますし、みんなの前で言われることもありますけど、それがすごくありがたいことだと思います」

 移籍の経験は2度目。どこのチームにいても、攻守にわたって献身的なプレーでチームを支える選手として評価が高い。そんな米本選手の心を、山口監督のある指摘が動かした。

「攻撃の部分。特にポジションの部分は、けっこう言われるので。剥がすポジションというか、一つ落ちて受ける、アンカーのところで受けるんじゃなくて、もう少し相手の嫌なところで受けて欲しいとか。そういうところを口酸っぱく言われる。正直、そこに目をつぶってこのサッカー人生何十年もやってきたなというのがあった。それを言われたときに、『そのポジションを取れたら、相手にとっても本当に嫌だよな』と思ったし、『あ、ここで言われ続けたらもう1回、成長できるのかな』という考えも生まれました」

 プロサッカー選手としてのキャリアは10年以上。その大半で苦手を自覚しながら目をつぶってきた、相手が嫌がるポジションでプレーすること。山口監督に指摘され、とうとう向き合うときがやってきたと覚悟を決めた。

「間で受けるのが上手い選手を見て、『ああいうところで僕が受けられたら一つ剥がせたのにな』と思うことは今までにもあったので、そういう意味ではけっこう感じてましたね。今はまだ、意識しすぎてあまりうまくいかないこともあるんですけど、最初からうまくいくはずはないと思っているので、そこにプラスアルファ自分のいいプレーを出してこのチームに貢献したいなと思います」

 現在進行形で努力しているポジショニングの工夫。至らない部分は、これまでのサッカー人生を支えてきた自分の強みでカバーしていこうというわけだ。

 米本選手に新しい課題を意識させて、大きな決意を促した山口監督とは対戦した記憶も残る。選手時代も知る監督から指導を受けて感じるのは、長く経験した選手生活がその指導の糧になっていること。日々、そのエッセンスを感じるという。

「智さんがあれだけの長い期間、J1で戦えたり、あの出場数を稼いだりできたのは、やっぱりいろんなことを考えていたからだなと感じています。センターバックとしては、それほど身長は高くないと思いますけど、それでも重宝されて使われてきた。スペシャルなものがあったのはもちろんですけど、それ以上にいろんなことを考えたからだと思います。やっぱり長くプレーできる選手は、いろんな気づきだったり、考える能力だったりがあると思うので、そういった部分は真似できたらいいなと思う。残り少ないサッカー人生でこのチームに来たので、一つでも多く吸収してこの1年を過ごしたいなと思いますね」

 今後のサッカー人生を「残り少ない」と表現するが、成長への意欲は若手以上。このチャレンジをしっかり成長の糧とするためにも、これまで目をつぶってきた課題に正面から取り組んでいく。

>チームを勝たせる選手になれるのか?自分への問いを実践するために