ボイス

【ボイス:2022年4月13日】米本拓司選手

1年後の自分を楽しみに
サポーターに見て欲しい変化
 14シーズンの選手生活を送るなかで、中盤の選手として信頼され、高い評価を受けてきた。特にボールを奪って攻撃につなげていく役割には定評がある。だからこそ見てもらいたいプレーとして一番に上げるのは、「やっぱり守備」。しかし、今季サポーターに見て欲しいと思っているのは、成長したうえで現れるであろう「変化」。

「正直ボールはたくさん取られるかもしれないんですけど、シーズンを通して最後の方で、『あ、米本のポジション、ちょっと変わったな』とか、『考え方がちょっと変わったんじゃないか』って言ってもらえたらうれしいです。サッカーに対する考え方だったり、技術もそうですけど、ポジショニングだったりというのを見てもらえたら。智さんの求めていることを一つでも多く吸収して、練習のための練習じゃなくて、試合のための練習をしてどんどん吸収して試合で使っていきたい。シーズンの終わりに、『米本、こんなポジションを取れるようになったんだ』と、少しでも感じてもらえるように、精一杯努力したいと思ってます」

 ここまでのサッカー選手人生で目をつぶってきたというポジショニングを山口監督のもと、自分の武器に加えていこうとしている。

「智さんの言い方的には、『ブレイク』って言うんですけど、相手の間に立ったり、そこで受けたり。そのパスで相手を1人、2人置き去りにしたりというポジショニングを取って、なおかついいい形で受けて前に運ぶとか。ボール状況と相手の状況によってポジションを細かく変えるということを今、けっこう言われています」

 新しく加入した選手は、チームに馴染むことに加えて、そのチームが長く育んできたサッカーを理解することなど、やるべきことは多い。そのうえで、さらなる成長を目指さなければならない。

「移籍してきた選手が最初から合うというのはなかなか難しい。それは名古屋グランパスに移籍したときにも経験したこと。智さんがやろうとしているサッカーを理解はしてますけど、できてるかできてないかというのは、結果だったりとリンクすると思うので、なかなか難しい。それに加えて正直、シーズンを通してアンカーをやるのはプロサッカー選手生活十何年間で初めてなので、そのポジショニングを改善する余地はあると思いますし、攻撃の部分は僕の中の永遠の課題。この課題をサッカー人生において克服することはないと思いますけど、そこを少しでも成長できるようにやりたいと思っています」

 中盤の底を定位置としてきたが、2枚のボランチの一方を担うことが多かった。今、チームで託されるのは、1人での役割。攻守両面が求められている。

「機動力というか動く選手なので、動きすぎだなというのは、感じています。ツーボランチだったら僕が行ってももう1人いる。アンカーは、それがないからボールを受けに行き過ぎても、守備に行き過ぎてもバランスが崩れてしまう。攻守両面において動きすぎかなとか、でもそれが自分の売りだしなとか、いろいろ考えながら。自分のスペシャルな部分は出していかないとダメだと思うし、でも出し過ぎたらチームのバランスがおかしくなる。その判断が大事。これがうまくハマったときに、新しい自分が見えてくるのかなと思います」

 山口監督も、米本選手の強みは当然理解している。そのうえでの起用しているということに、新しい境地への期待が感じられる。

「全体ミーティングでもこうした方がいいとかアドバイスはもらっています。僕はそれを聞いて改善するだけ。多分、僕が動き過ぎてるよという感じかなと。その動きに使っていたパワーをもっと大事なところで使えるよという話。最後にゴール前に入っていくパワーを残しておくとか、ゴール前まで来られたときに最後に寄せるパワーだったり、個人的にはもっと考えてプレーすれば出せるよという選択肢を与えてくれているのかなと思います」

 答えはすべてもらわないというのも米本流。アドバイスをヒントに、自分で考えることも成長のためには必要というのが信条だ。

「考えようとしないのが一番ダメだと思うので、自分なりに考えてやってます。練習でもこの練習はどういう意図なんだろうとか。でも、成長というのはすぐに見えるものではないし、試合で考えすぎるのはよくないので、そこはあまり意識し過ぎずに。この1年が終わったあとに、『あ、こういうプレーができるようになったんだ』と思えるくらいがちょうどいいのかなと思います」

 シーズンの終わりにサポーターに感じて欲しいと願う変化を、一番楽しみにしているのは米本選手自身かもしれない。

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