守備に軸足を置く選手でありながら、攻撃で注目される杉岡選手。その特徴は、キャリアを重ねるごとに強化されている。特に判断力や決断力の向上については、鹿島での練習の成果を感じている。

「相手を見てプレーするというのにもつながってますけど、ちょっとずつ余裕を持ってやれるようになってきてるとは思いますし、そういう成長は自分の中でも感じましたね。テンポが速い、そういう環境の中でずっと練習してきましたし、自分の中でもすごく意識していたので、自然と身になっていたのかなと感じますし、そこは、意識しないと通用しなかったという部分が大きかった気はします」

　その特徴をベルマーレで遺憾なく発揮している。

「もともと攻撃は好きなので、自分の中で意識の変化はないですけど、ポジション的に3バックだから上がると少し目立つかもしれないです。3バックの左右は攻撃に関してはキモだと思うので、そういう意味ではすごく意識はしてますね」

　今年は、副キャプテンとしてチームを引っ張る役割も担う。

「初めてやりましたけど、やっぱりチームのことを考えないといけませんし、大岩選手が出られないときはキャプテンマークを巻かせてもらうこともある中で、より責任というのは感じますし、チームが勝つためにどうするかっていうのは、今までで一番考えてます」

　キャプテンマークを巻くことで、気持ちに生まれる変化もある。

「湘南の今の選手の性格上、主張する選手はそんなに多くないと思いますし、キャプテンとか関係なくリーダーシップを取れる選手というのがあまりいないので、そういう中ではリーダーシップを取る存在というのはチームには絶対いなきゃいけないと思う。キャプテンマークを巻いている以上はやっぱりやらなきゃいけないというのはすごく感じています」

　直近は手痛い敗戦もあるが、戦い方がはっきりしたことで結果もついてき始めている。

「プレスに行くところとか、行ったならどうするかとか。そういう一つひとつが自分たちの中で整理できていった感覚はあります。結果が出ていないときもしっかり話をしてみんなで積み上げてきましたし、1試合1試合しっかり学ぶものがあって、ミスを繰り返さないようにやってきた手応えがある中で、積み重ねたものが結果として表れてきたのかなというふうには感じます」

　リーグ戦も残り試合は少なくなってきた。しかし、今シーズンの目標を5位以内と決めたことを忘れるわけにはいかない。

「シーズン当初、簡単ではないですけど、いい目標だなと思いましたし、不可能でもないというふう感じていました。実際にやってみて、最初はなかなか結果が出なかったですけど、こうして結果が出てくると、勝てない時期にちょっとでも勝てていればもっと現実的な立ち位置にいられたかなと思います。そういうのも含めてシーズンだと思いますけど、今もすごくいい目標だなというふうには思ってます。上に行くことはまだまだ不可能じゃないし、むしろ行くためには1試合1試合勝たないと意味がないと思うので、やっぱりしっかり勝ち切れるようにしたいですね」

　ここから一つでも順位を上げるために必要だと感じているのは、勝点3。そのためには、得点が不可欠だ。

「点を取らないと勝てないですし、点を取ることが一番大事かなと思います。守備についてはかなり手応えがあって、この前は失点しましたけど、だいぶ少なくできていると思うので、そこはもう一度整理して磨きをかけていって、あとはどういうふうに攻めるかというのを、そこはずっと課題ですけど、突き詰めてやるしかないかなと思います」

　得点こそ、杉岡選手が言うところの「意図的」なプレーがものをいいそうだ。

「そうですね、引いた相手に対してその相手をどう動かすか、どう動かしてどこを突くかというのはすごく大事だと思いますし、そういうところをチームとして共有してやっていきたいと思います」

　ここから先、どこまで順位を上げられるかは未知数といえるが、最終節まで成長し続ける姿を見せてくれることは、間違いない。