ボイス

【ボイス:2021年5月9日】高橋諒選手

試合を楽しめている自分がいる。
この先も信じてブレずに戦い抜くだけ。

最下位に終わった昨シーズン。
しかし、進むべき道筋は見えている。
今シーズンは、そんなチームの舵取りに不可欠なピースが揃った。
3年ぶりに復帰を果たした高橋諒選手もその一人。
開幕戦からスタメンに名を連ね、
チームを攻守に牽引する。
今、試合が、サッカーが「楽しい」と笑う。

試合が楽しい!
新しい湘南スタイルに感じる手応え

 開幕から約2カ月、2チームの昇格によって試合数が増え、タイトに組まれたスケジュールを消化するなか、粘り強く戦って手堅く勝ち点を積んでいる。まずまずの序盤戦は、選手一人ひとりが自分の“らしさ”を武器に躍動する姿が際立つ。高橋選手もその一人だ。浮嶋敏監督が指揮するサッカーにおいて重要な役割を果たすサイドを主戦場に、攻守にわたって存在感を発揮している。

「試合を楽しめているなっていう感覚が自分の中にあって。対戦相手もJ1ですし、レベルもすごく高い。そういう選手を相手に自分のプレーをどうやって出すかということを考えたり、自分の特徴を試合で出せていることが、楽しいなという気持ちにつながっていると思います」

 躍動する姿に精神面の充実が宿る。以前に在籍していたとはいえ、当時もいたチームメイトはほんの数名。それでもチームにすっかり馴染み、連携もいい。

「メンバーはすごく変わっているんですけど、湘南ベルマーレって溶け込みやすいというか、本当に優しい選手が多いですし、だからやりやすさもありました。サッカー自体も、少し変わってますけど、根本的な部分、湘南ベルマーレというチームのベースは分かっているつもりなので、スムーズに入れたのかなっていうのはありますね」

 選手が入れ替わっても、不思議なことにチームとして大切にしているものは受け継がれ、常に根底に息づいている。それはサッカーも同じ。大切なベースは変わることがないまま、変化を積み上げて進化していく。

「前にいたときは、どっちかといったら守備的というか。最後まであきらめないプレーとか、身体を張るプレーであったり、縦に速いサッカーだったと思います。今年は、守備のベースの部分は変わらずにあるんですけど、一番変わったなと思うのが攻撃のところ。速くも攻められるし、自分たちでボールを動かしながらゴールに向かうこともできていると思うので、そこが一番変わったなと思うところですね」

 高橋選手が変化を強く感じる部分は、高橋選手自身の貢献が大きなところでもある。

「周りに上手い選手が増えて、そこのやりやすさももちろんありますし、攻撃のアイデアがどんどん浮かんでくるんですよね、周りの選手とうまく崩しながら、とか。僕自身、以前は自分だけで突破しようと考えていたんですけど、その思考が変わった。自分で行くだけじゃなくてもっと周りを使って、周りの選手を活かしつつ自分も活きる。そういうところが変わったかなと思います」

 ワンタッチでパスを繋いで攻め上がっていくことを指向する新しいスタイルが取り入れられ、そういった攻撃を実践するなかで自分自身の特徴が活きることや特徴を活かすことが成長につながっていることを感じる。それは、プロになって忘れかけていた感覚であったことにも気づいた。

「僕自身がボールを自分たちで握ってサッカーをやるのも結構好きな、もともとはそういう選手だったので、昔の感覚というか、大学時代にやっていたような感覚があるかなと思います」

 縦への速さと共に、ボールを握って自分たちが主導して攻撃を組み立てるスタイルを実践するなかで自分自身を再発見するように成長を遂げている。そこには自らの意思で攻撃を牽引しようとする意識の変化もある。結果、ゴールやアシストも記録した。

「前に在籍していたときも、松本山雅でもゴールに関わるプレーというのが少なかったかなというのは思っていて。今年湘南でサッカーをやっていて、ゴール前に入っていく数とかシュートチャンスが自分自身に増えていると思うし、それがゴールという結果につながっている。ゴールを奪う場所まで入っていけているなという実感はありますね」

 守備時には最終ラインを構成するポジション。その選手が得点を取るときには最前線にいる。

「誰が決めてもいいと思うんですけど、特にサイドをやっている僕とか(岡本)拓也くんが今、2点ずつ決めていて、サイドの選手が4点決めているというのは、他のチームと比べたら珍しいと思うんです。なんというか、自分でゴールを取れる感じっていうのがある。毎年、1点くらいは決めていたので、1点取れればいいかなと思っていたんですけど、けっこう早い時期に2点決められたんで、自分自身も狙っていきたいなと思います。それがやっぱりチームの勝利につながると思うので」

 本来のプレーを思い出した高橋選手。今、自分らしさを存分に出すことこそがチームへの一番の貢献となることを日々実感している。

>課題は「質」チームと共に成長したい