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【ボイス:2015年9月4日】大槻周平選手 [2]

試合に出ることが何よりも成長に繋がる 苦しくてもピッチに居たい

 J1のステージに挑むのは、大槻選手にとっては2013年シーズン以来、二度目。今、感じているのは手応えだ。

「2年前は自分の実力も全然ダメやったんであまり試合に出させてもらえなかった。けど、いろんな経験をして今年J1に挑めているんですけど、今回はしっかり相手が見られるようになった。しっかり相手と対戦できる……やっと対戦できるようになったという感じが僕の中にはある。2年前は何かもうホントに、やる前から負けている感じがしたというか。『やっぱ違うな』って感じを持って試合をしていたんですけど、今年はどの相手に対しても、拮抗した試合ができてるなって思ってます」

 1、2年目とは違って、今シーズンは数多く試合出場の機会を掴んでいる。実感として自分自身が変わったと感じているのは、

「相手を見てプレーの判断をできるようになった。2年前はただ一生懸命やってただけで、J1ではやっぱりそれだけじゃ通用しない。気持ち的にもそうですし、どうやったらボールが受けられるのか、どうやったらゴールが決められるのかっていうのを考えられるようになったっていうか。それを練習からイメージしながら取り組めた、っていうのが成長できたところかなというふうに思います」

 サッカー選手に必要であろう要素、フィジカルとスキルに加え、いわゆるサッカーインテリジェンス、その3つがそれぞれ成長している。

「僕は泥臭く点を取ることが一番の売りやと思ってるんで、そんなサッカー脳はないと思う(笑)。でも、サッカー脳も個人のスキルもフィジカルも全部を伸ばしたいっていうか、全部やる、挑戦するっていうことは心がけてます。課題はどれも全部向き合う、どれも落としたくないし、あきらめない。その方が良いかなって」

 また、試合に出場し続けて、試合に出ることがどれだけ成長に繋がるかを体感で理解した。

「経験は大事やなっていうふうに思いましたね。やってみないとわからないことがたくさんある。試合に出ないと課題もたぶんわからなかったと思うから。試合に出続けたらフィジカルも強くなるだろうし、個人のスキルも上がるし、課題も出る。それを練習に落とし込めることが成長に繋がると思う。
 できれば90分出たい。その方が体力もつくし、苦しいときにどう居るかも大事だと思うから。そのときはキツくても絶対に次に繋がるし、負けたとしてもそこに居ることが大事。そういう経験をしていることが大事やと思う」

 レベルの高いJ1でプレーすること、そのこと自体も成長の糧だ。

「J1とJ2は全然違いますね。J1の選手はやっぱり良いポジションをとって良い守備をしてくる。J2の選手もディフェンスは結構ガツガツ来るんですけど、J1の選手は駆け引きもしてくる。僕たちも駆け引きするんですけど、頭が良い選手が多くて、良いポジションをとってガツガツ来るときは来るけど引くときは引いて、みたいな。そういったところは良い相手と戦えてるな、楽しいなって思いますね」

 2ndステージは5節の柏レイソル戦(7月29日開催)までですでに1stステージに並ぶ2得点を挙げている。

「だいぶJ1に慣れてきたっていうのもあるし、1stステージで結構試合に出させてもらったので、そこで出た課題と自分の中で向き合えていて、それがセカンドステージに出せている。それで今の結果があるのかなと思います」

 1stステージでもっとも課題だと感じたのは、ヘディングでのプレー。最終ラインから放たれるパスを相手ディフェンスと競り合って攻撃の起点となることや得点を取るためのゴール前でのヘディングシュートなど、さまざまなシチュエーションで課題を感じた。

「ゴールキックからの競り合いで負けるシーンが多くて。1stステージは祥さん(藤田祥史)もいなくて、背が高い選手があんまりいなかったので僕が競ることが多かったんですけど、そこで負けていたりしたんで。そこが負けるとやっぱりなかなか周りも押し上げられない。そこで勝てればもっとチャンスが増えるかなと思ったので意識するようにした。あとはゴール前でクロスに入ったときに良いボールが上がってきてるのに合わせられなかったりした。それを克服すればもっと点が取れるんじゃないかと。曺さんにも言われたし、自分でも思ったんで、そこは中断期間を含めて今取り組んでいるところです。ポジション取りや、あとは空中戦に対してのタイミング。飛ぶタイミングとか、飛んで溜めてからヘディングするとか、そういったところを意識できるよう。それで頭にしっかり当たるようになったり、威力が出るっていうのを今やっています。その効果が徐々に出てきているので続けてやっていこうと思ってます」

 2ndステージに入っていい形で得点した2得点は共にヘディングで決めたものだ。個人的な練習に加えてクロスには自分が合わせるものと合わせてもらうものがあるなど、クロスも上げる選手の特徴によって異なるので、試合のたびにそういった選手とのコミュニケーションも密にしている。

「選手によって全然違うので試合前に、例えばレイソルのときはコバショウ(古林将太)とも話してましたし。レイソルは結構背が高くてヘディングも強い選手が多かったんでアーリークロスとか、なるべく早く前に入るから速いボールを上げて欲しいというのは言っていました。それでコバショウも早めにアーリークロスを上げてくれたんで、ああいう得点に繋がったかなと思います。
 相手もフィジカルが強いので、そういうちょっとしたところの駆け引きが勝敗を分けるんだと思った。今,ベルマーレはそういった段階に来ていると思う」

 ディテールにこだわることが勝敗を分ける小さな運を引き寄せることになる、そんなことを感じている。それを実感したのが中断期間に行われたスローインの練習と、明けの試合で自分自身が挙げた得点だった。

「僕、最初は『なんでするんやろ?』って思ってたんですよね。でも中断明けの名古屋(グランパス戦:2ndステージ第1節7月11日開催))の試合でスローインから得点したですよね。やっぱり曺さんすげーなと思って。アウトオブプレーもホントに大事なんだなと」

 名古屋戦の得点と言えば、クロスを上げてアシストしたのは大竹洋平選手。曰く「ちょっとズレちゃったんですけど、周平は難しいボールのほうが決めやすいみたいなので(笑)」というコメントが残っているが、その点についても尋ねてみると

「僕、そうなんですよね、選択肢が増えると、例えば1対1とか、簡単そうに見えるシュートって選択肢があり過ぎちゃうんで、それやったら直感的にやる方が。……そういったところも含めてまだまだやっていかないといけないことがいっぱいある。簡単なシュートほど難しいんですよね、1対1とか相当難しい……やっぱりそうなんですよね」

 ぽろりと出てきたのはまた違う課題。J1の高いレベルの中で手応えを得ているからこそ、もっとレベルアップしたいという欲が出る。フォワードとして向き合うべき課題はまだまだたくさんあるようだ。