馬入日記

【馬入日記:12月15日】大野選手、2年間の想い。感謝の心を胸に新潟へ。

大野和成選手がアルビレックス新潟へ帰ることとなりました。
昨年、期限付き移籍でベルマーレに加入して以来、チームの大きな大きな力となってくれました。

昨年、期限付き移籍期間が一年間延長された時は、サポーターの皆さんからの歓喜の声が本当に大きかったことが今でも思い出されます。
全力で駆け抜けた2年間について、大野選手に聞きました。

「毎日が思い出深いですけど、一番は何かと聞かれると、去年の開幕戦の京都戦かな。あの勢いがなかったらJ1はなかったかもしれないし、違った結果になっていたと思います。強いと言われていた京都に、未知数の湘南がいいサッカーをして勝てたことは本当に強く残っています」

忘れもしない、京都戦のアディショナルタイム。菊池選手の超劇的ゴールをアシストしたのは、大野選手でした。
ボール奪取から一気に持ち上がり、信じて走った菊池選手へのラストパス。スタジアムが揺れんばかりの歓喜に沸きました。

「個人的には移籍してきて最初の試合だったから、あれで少しは湘南に大野和成がいる、くらいは覚えてもらえたかなと思う」と。

そのシーンはもちろんのこと、DFなのに、ゴールシーンの写真を見るとなぜか得点者の近くに大野選手がいる!ということが本当に多くありました。

「それは、やっぱり湘南スタイルだから。チームそれぞれやり方があるから、その中で自分のよさを出さなければいけないと思っているので、湘南ではそういうシーンが多く出せたと思います。湘南の場合は、アグレッシブだからアグレッシブに。でも…アグレッシブに前に出すぎてよく曺さんから戻れ!と言われたけど(笑)」と。

2年間の成長という意味では、どんな風に感じているでしょうか。

「手応えという意味では、月日を重ねるごとにどんどん強く感じられるようになったし、去年よりも今のほうが成長していると個人的にも思えます。チームとしてもすごく成長しているのを感じるので、結果が伴わなかったことが非常に悔しいし残念だけど、本当に2年間、この湘南というチームでやれてよかったと、本当に強く思っています」

とにかく仲の良い、信頼関係の厚いチームメイトに対しては…
「本当にいいメンバーに出会えたと思っています。いいサッカーにも出会えたし、曺さんはじめいいスタッフにも出会えたし、いいサポーターにも出会えた。それに、若い選手が多いチームと言われるけど、やっぱり上の選手がすごくよくしてくれたことが大きかったと思います。若い選手だけだったらチーム的にもまとまらない所が絶対にあると思うけど、経験ある手本になるような選手が上にいてくれたから、今のこのチームができたのかなと思います。正直、寂しいです。でも、ここで一歩踏み出してチャレンジしようと決意したので、みんなから刺激をもらいつつ、僕も刺激を与えられるように頑張りたいと思います」と。

そして、曺監督への想いは。

「本当に感謝しかないです。たくさん怒られたし、たくさんアドバイスをもらいました。何というか、サッカー観が変わったというか…。新潟の最初の頃は、怒られたくないし、怒られたら萎縮して、安パイなパスとかになってしまってプレーが小さくなってしまうこともありました。AチームとBチームに分かれていたしチームの雰囲気とかを気にしながらやっていたところもあった。でも逆に湘南はチャレンジのミスには絶対に怒られなかった。自分の中で、それは本当に刺激的だった。練習からどんどんチャレンジできたし、そういう環境を曺さんが作ってくれた。練習でできたら試合でも出すことができたし、ミスをするのはよくないけど、ミスに対して動じなくなった。縮こまらずに思い切りプレーすることができたと思います」

曺監督は若い時の大野選手もよく覚えていて、そして愛媛に期限付き移籍している時も、よく見ていたそうです。

「愛媛に移籍して、試合には出ていたけどあまり自分の思うようなプレーができなくて、活躍していたとは思えないけど、でもその中でも曺さんが見ていてくれて、可能性があると言って呼んでくれた。曺さんが、一番僕の試合を見ててくれたんじゃないかというくらい、観てくれていたと思います。未知数の僕を呼んでくれて、本当に感謝しています。何と言うか、曺さんはお父さんみたいな感じで(笑)。サッカー以外のことも言ってもらったし、今のことだけじゃなくて、将来のことも含めて、縮こまるな、チャレンジしろとたくさんの言葉をもらいました。そんなこと、今まで言われたことなかった。サッカー人生の中の出会いとして、本当に最高でした」

この想いをもって、来年は新潟へ戻ります。

「2年半も外に出ていたので、戻るからにはレギュラーをとるという気持ちをもってやるし、2年半前より絶対に成長していると思うので、それを来年出さなければいけないと思っています。曺さんから教えてもらった2年間を大事にしたいので、そこは覚悟を決めて、死に物狂いでやります。感謝の気持ちを持って、おごらずに、常に初心の気持ちでやりたいと思います。それは、シーズン中に曺さんから言われたことでもあって、“常に愛媛に行った時の気持ちや湘南に来た時の気持ちを忘れずにやれ。それを自分のプレーで示せ”と言われていました。でも本当に、そういう感謝の気持ちがあるからこそ、湘南をJ1に残して帰ることができれば一番よかったんですけど…。それができなかったのが唯一の心残りです」

最終戦の時、ゴール裏には「俺たちは大野和成が大好きだ」という横断幕が出されていました。

「最終戦は実はずっと泣きそうで。あの横断幕を見て、2年間本当に湘南でやれてよかったと心の底から思いました。特に後半は、幕がよく見えたし、いつもは90分の中であと何分だろうと思うけど、あの試合ではあと10分で終わってしまう、終わってほしくないとずっと思っていました。サポーターの皆さんには、本当に本当に感謝しています」

このインタビューの中でも、大野選手は何度「感謝」という言葉を発したことでしょう。

「でも、感謝しかないんです。本当に本当に、すべての人に、ありがとうございました」

チームからも大野選手に、大きな大きな感謝を。
たくさんの感動を与えてくれ、素晴らしいプレーを見せてくれました。湘南の仲間になってくれて、本当にありがとう。

 
ちなみに写真は、練習最終日に宇佐美選手の赤ちゃんを抱っこする大野選手。
「この写真、載せてー!」というリクエストに応えて。

そして。
シーズンチケットホルダーの皆さまを対象とした「感謝の集い」の後、チーム全員で解散式を行いましたが…。
大野選手、自分でもびっくりするほど、大号泣!!(というか、みんな泣いていましたが、特に!)

「こんなチーム、なかなかないよね。5年分くらい泣いちゃった」と後からずいぶん照れくさそうでした。

大野選手の活躍を心から祈ります!