監督・選手コメント

J1第12節 大宮vs湘南 試合後監督・選手コメント

【監督コメント】
●曺監督 総括
お疲れ様でした。
試合が終了して少し経っていますが、本当に死力を尽くした戦いだったので、僕も選手と一緒に走り切ったような気分でいます。
「湘南スタイル」をやらない限り、このリーグにいる意味はないとずっと選手たちに言い続けてきました。2月のプレシーズンマッチで大宮さんと戦わせてもらったこともありましたが、選手も悔しい気持ちがあったでしょうし、その中で、今日の結果は非常に残念ではありますが、堂々とプレーしてくれた選手たちに、本当によくやったよと言ってあげたいです。
ただ、あそこで決められない、決め切るという力がまだ我々には足りなくて、そこで勝点をもってこれないということは、当然ですけどずっとやっていかなければいけないところだと思っています。
総力戦ということで、ピッチに立った選手全員で戦うんだと言い続けてきたんですけど、そういう全員サッカーで戦えたと思います。
2月の段階では本当に手探りの状態で、階段は上に上がっているんでしょうけど、どのへんまで階段が続いているか分からなかったのですが、今はなんとなく2階、3階、4階が分かって、頂上が何階かは分からないですけど、自分たちの相手に対する立ち位置なども、選手がしっかり感じてくれるようになったので、ゲーム自体も90分を通してお互いに勝つチャンスのある試合だったかなと思います。残念ながら負けてしまったことは非常に悔しいですが。
ただ今日は、遠くまで来てくれたサポーターが、負けている中でもずっと声援をしてくれて、そして終わった後にはアルディージャのサポーターが我々のプレーに対して拍手を送って下さったことは、一人の大人として非常に感動しました。
僕はドイツに2年間くらいいたんですけど、死闘を尽くした戦いというのは相手チームからも拍手が起きることがあって、今日このスタジアムの雰囲気も含めて、今日あの瞬間はヨーロッパにいるような感じがしました。サッカーを通じて、僕が客観的に言うのもおかしいですが、ああいう空気が生まれるというのは…まぁ、あの大宮の富山くんが僕の大学の後輩ということで最後に挨拶に来てくれましたけど、彼の勇気あるプレーなども含めて、いろんなものがこのスタジアムのああいうシーンを生み出してくれたのかなと思います。
大宮さんに追いつけ追い越せでやっていかなければいけないし、来週もナビスコの川崎戦とリーグの広島戦が迫っていますけど、その中で自分たちは上に上に、真っ直ぐ上がっていくしかないと思っているので、その質を高めていけるように努力したいと思います。本当に選手たちはよくやってくれたと思います。

●曺監督 質疑応答
–最終ラインの真ん中に下村選手を起用して、島村選手はベンチにも入っていませんでしたが、その起用の意図は?

戦術的なことはあまり詳しく言えないんですけども…。今日戦うに当たって、いろんな意味でベストなメンバーを組んだつもりです。理由はその1点しかなくて、島村が過去に何をしたかとか、下村が過去に何をしたかとかは全く関係なくて、今がどうかということで基準にメンバーを決めています。
選手というのは、前の試合で得点を取ったら次の試合も自動的に出場機会が与えられると思いがちなんですけど、僕が選手の時もそういう感じでしたが(笑)、ただ僕は選手たちにはそういうふうには言っていないので、次の週に満足している感じがあればピッチには立たせないし、逆にミスをしてもそのミスを振り返ってしっかりやるのであればチャンスを与えてきた。そのマネジメントには賛否両論あると思いますが、週の最初の火曜日に“次はレギュラーだよ、今週は調整でいいよ”というやり方はしていないので、そういう中で選んだ11人だということです。

–内容が非常に素晴らしかったがこれだけ選手を走らせられる、こういう試合ができるというのは、監督はどういう指導をし伝えているのか?

ひとつ、僕は指導者という立場だからピッチには立てない。選手はピッチに立ってプレーすると。どっちを優先して考えるかというと、コーチではなく一番は選手だと。よく「気持ち良く選手にやらせる」と言われますが、気持ち良くやらせてはいけなくて、勝点3を追うためにチームを忘れないで責任を持ってプレーすることに喜びを感じない限り、プロサッカー選手として絶対に成功はしないですから。ただドリブルをする、フェイントをすることに喜びを感じているようでは、その域から出られない。
そのことは、雨が降ろうが槍が降ろうが雷が鳴ろうが、ずっと選手たちには言ってきた。その自分が言ったことに、自分が見た時に、嘘っぽいなとか、これはごまかすために言ってるんだなというようなことは絶対に言わないようにしてきました。
だから選手にきついことも言うし、逆に負けても今日なんかは「よくやった」という話をします。その僕の言葉が全てだと。思ったことを包み隠さず言うので。それを聞いてどう変わっていくかというのを、選手たち自身で感じてくれということ。それがあったから、とかは分からないけど、選手がプロサッカー選手になった時に、当然上に行きたいとか勝ちたいという意欲がって、それが何らかの原因で意欲が削がれることになると、戦術的に何かやっても結局上手くいかないと思っています。よい意味で勝手にやらせているというか、選手の判断を奪うことは絶対にしないと決めてやっています。それが人から見てどうなのか分からないけど。今の質問に答えるとしたら、やるのは選手だということです。僕がああだこうだ言うんじゃなくてやるのは選手だという基準は絶対に自分の中にあるということです。

●ベルデニック監督 総括
サッカーはいつも調子が良いことだけではなく、悪い時もある。それも含めてサッカーの結果だと思います。今シーズンがスタートして7連勝をしたことは、それは力がついて調子が上がってきた証だと思います。前節の仙台戦、ナビスコの川崎戦と公式戦2連敗をしたのは停滞していたところもあったということ。今日は自分たちの力が試されたゲームで、自分たちらしいゲームをしっかりやれば勝つ確率は高いと予想していました。
内容は自分たちらしくなかった。内容に関してはいいゲームではなかった。しかし、選手たちの闘争心やアグレッシブさは素晴らしいファイトを見せてくれた。本来は自分たちが有利に運べる部分、相手を揺さぶることであったり、グループで崩すということを実戦できれば、自分たちらしい戦いで勝てるゲームになったと思います。ただ、その部分では自分たちらしくなかった。ボールを失い、攻めにいくことを恐れているようなプレーもあった。それには疲れの他に、理由のはっきりしない部分もある。守備の面でも本来のコンパクトさを保てず、相手のやりたい形にもっていかれ、スペースを与えて崩されたり、簡単にクロスを上げさせる場面もあった。
ただ、内容はそうだが、今日のプレーは選手を褒め称えるべき点であり、自分たちが優れたチームであることを証明できたと思います。闘争心、勝つ気持ちが上回って勝ったことは大きい。勝ち切れることは力がついてきたということなので前向きにとらえたい。内容に関してはしっかり準備する時間もある。本来あるべき姿に戻れば、次も良いゲームができると思う。安定しない部分を最低限に抑えられたのは本当に良かった。首位の座を守るのは難しいし、我々のチーム力からすれば簡単なことではないですから。

●ベルデニック監督 質疑応答
–内容が良くなかったというところを、どのようなマネジメントを?

先ほど話したところが修正の部分であり、守備でプレスを前から行くだけでなく、一度自陣に引いてラインを少し下げながらカウンターを仕掛けるようにした。相手は厳しくこちらの2トップをマークしていたので、バイタルを上手く使うように修正した。コンパクトに守備して自分たちのペースに、切り替えの速さを、奪われた後素早く奪い返しにいくことを求めた。そして球際で負けないこと。相手陣地で取られたら、その瞬間にプレスをかけること。そしてカウンターに気をつけるように話しました。

–プレシーズンマッチで対戦してからの湘南の変化は?

湘南の監督と試合後に挨拶をかわした時に「プレーに関しては非常に素晴らしかった。試合をやるごとに良くなっていますし次に対戦するときは自分たちは勝てるか分からない」という話をしました。非常に組織だったプレーをしているし、自分たちがどうすべきか単純明快なプレーをしていた。球際、切り替え、セカンドボールにアグレッシブ。カウンターはスピーディーでサイドハーフの選手が非常に攻撃的でクロスや突破に優れた選手がいると思います。

–2週間前の試合で負傷した富山選手を投入したねらいは?

自分たちにパワーが必要だったので、彼を投入することによってよりダイナミックにスピーディーに且つ相手のゴールに迫ろうと考えて投入しました。

【選手コメント】
●阿部伸行
大宮とは今年3回目の戦いで、過去2回負けていたこともあって今日はチーム全員で絶対に勝つという気持ちで臨みました。みんなと繋がってプレーできてよかったところもありましたが、結果が出なくて本当に悔しいです。
去年からずっと、一戦必勝という感じで、先の試合のことは考えずにいつも目の前の試合が決勝戦のような気持ちで戦ってきました。今年はなかなかアウェイやリーグ戦で勝てなかったんですけど、今日は本当にいい準備をしていいアップもして臨んだ試合でした。手応えもありますが、でもやっぱり勝って手ごたえを掴みたかった。
(メンバーが代わったところもあったが?)誰が入っても、戦える選手がどのポジションにもいて、誰が出ても湘南スタイルでやれるというのは、東京戦も清水戦でも見せられたと思うので、違和感というのは全然なかったです。
(スーパーセーブもあったが?)チームを救うプレーが最後のところでできなかったことが本当に悔しいです。ちゃんとチームが救えるように、しっかりトレーニングしたい。また大事な試合が続くので、特別なことをするわけではなく、次に向けていい準備をしたいと思います。

●菊池大介
チームとしてはやりたいことを出そうっていう努力もあったし、一人ひとりがチームのためにということを第一に考えて、個人をいかにチームに活かすかということを考えていたのが、プレーにも表れていたと思います。自分たちのよさは出ていたと思います。
個人的には、悔しさは当然ありますが自分に足りないものが明確に見えた。
得点能力はもちろんですけど、ちょっとしたところで体を張って、マイボールにするところやミスを少なくするところなど、課題は尽きないですが、そういうところがすごく見えた試合でした。いいゲームの中でまだまだ自分は物足りないなということが分かった。悔しいですけど次に活かさなければいけない試合だったと思います。
もっと質を高めることや、苦しい時にいかにキープするかということや、ちょっとしたところで自分たちのスローインにすること、マイボールにすることが大事だと感じています。

●キリノ
チーム全体として戦う気持ちを前面に出して戦った90分だった。本当にいい試合ができたと思うけど、結果が出なくて非常に残念です。
明日からまた切り替えて、次の試合に向けて顔を上げてやっていきたい。ここ数試合、選手たちが自信をつけてやれているので、そのまま続けていけば必ず勝点3がとれると思う。

●大野和成
プレシーズンマッチで戦ったときよりも自分たちの流れの時間帯は多かったと思います。でも内容がよくても勝てなければ意味がない。残念です。
(攻撃参加するシーンも多く見られたが?)後ろでけっこう持てたし、チャンスがあれば積極的に上がろうと思っていた。
(ゴールについて)相手のマークをうまく外すことができました。でも勝利に結び付けたかった。うまく守れていましたが、ポジショニングのミスが2つ3つ重なれば失点に繋がる。注意してカバーできていれば防げた失点だと思うので残念です。

●高山薫
(2点目を取られたあと)けっこうオープンな展開になったと思いますが、うちが攻めて、ボールを取られたら相手にチャンスが渡るという場面が何回もあった。よくないときならそこで相手に回されて攻撃もできなくなってしまうが、カウンターとかを食らったところもあったけど、気持ち的にはよかったんじゃないかと思います。
相手が首位ということはたぶん誰も意識していなかったと思う。みんな自分たちのサッカーをしようとしていただけだと思います。
渡邊大剛選手は自分がマッチアップしていた相手。隙をまったく無くさないといけない。今日の反省を次に活かしたいと思う。

●ハン グギョン
前半は悪くなかったと思いますが、後半は自分の足が止まってしまいチームにマイナスになってしまったんじゃないかと思う。失点は体力的に問題があった時間帯でした。ただ、チームとしてはJ1らしくなってきたという感覚が最近あります。みんな自信がついてきて、たとえば簡単にクリアするのではなく、ゴールに向かうプレーも増えてきた。自分自身、ディフェンスラインが持ったらボールをもらう動きを意識している。相手のプレッシングに対して怖い気持ちもなくなっています。

●馬場賢治
個人的には、今日は3人の距離感を遠く感じていました。ボールを受けてもサポートがいないというか難しいという感覚でプレーしていて、それを引きずってしまった。
もう少しキリノと(菊池)大介といい距離感でやりたかった。ダイレクトではたいたり、ボールが入ったときにキリノをうまく使ったり、大介とのコンビネーションだったり、自分としてはイメージしていたようには全然できませんでした。
僕は今年初めての対戦で、いち個人としては今日はまったくチームに貢献できていないと思うけど、チーム全体としては最後まで可能性を感じる試合をしたし、失点してしまったが全体的にうちがやりたいことはみんなできていたと思います。
(守備で主導権を握っていたが)守備に関しては自分もチームの狙い通りにはできていたと思います。下平選手には大介がしっかりチェックしてほとんど仕事をさせていなかったし、相手のボランチに入ったところもうちのボランチがカットしたり、セカンドボールを拾う意識も全体的に高かった。もちろん失点してしまってパーフェクトではないが、自分たちが意識していたところはできたと思う。失点してすぐ取り返し、流れ的にはいままであまりないかたちで追いつけたことは成長だと思うし、2点目を取れるチャンスもあった。あそこで取れればチームとしてもまた闘い方が後半に向けてスムーズにいけたと思うので、そういう力を僕自身もっともっとつけなければいけないと思った。そこは個人として申し訳ない思いでいっぱいです。