クラブ/選手

代表取締役社長就任のご挨拶

いつも湘南ベルマーレへの熱く、温かいご支援、ご声援をありがとうございます。
本日付で、代表取締役社長に就任しました、大多和亮介です。

まずは、2025シーズンもスタジアムや様々な場所からたくさんの応援を頂きましたこと、クラブを代表して御礼申し上げます。そして、J2への降格という結果はもちろん、皆さまに多くの喜びや感動をお届けできなかったこと、そして「勝敗に関わらずベルマーレを応援していてよかった」と思って頂けるような瞬間が、ともすると少なくなってきているかもしれないということ、そうしたことに心からお詫びを申し上げます。

そして、一昨日からの一部報道により、我々の責任企業であるRIZAPグループ株式会社との件で大変なご心配、ご迷惑をおかけし、重ねてお詫びを申し上げます。本件に関してはRIZAPグループ株式会社からも、今後各所で誠意ある説明を進めていただく予定です。
またクラブとして、弊社取締役会としてという部分については、私からの発信を中心に、できる限りの情報開示やご説明に努めて参る所存です。

以下は、クラブとして、ここからどのように経営執行を進めていくかという点を中心にお伝えさせて頂きます。

■J2降格に繋がった経営的背景
はじめに、近年のJリーグはコロナ禍を乗り越え、新たな競争環境の時代に入ってきていると実感しています。2022年度から2024年度の3年間で、我々湘南ベルマーレは売上規模で117%の成長を果たし、コロナ禍以前のクラブ最高値であった2018年度とほぼ同水準にまで、皆様方からのご支援により持ち上げることができました。しかしながら、J1リーグ全体平均で見ると、それを上回る132%の成長、そして多様な投資が集まってきており、むしろその差としては離されてきてしまっているという経営レベルでの現状があります。
また、厳しいJ1リーグを戦い抜けるだけの予算に少しでも近づけるために、チケット料収入や広告料収入といったビジネス売上に占めるトップチーム強化関連費率が年々増加し、2024年度、2025年度ではその率が100%近くまでなってきていました。つまりビジネス売上で強化サイドの費用を賄い切ることができず、中期的な投資まで手が回らない状況が続いてきた流れの中で、特に2025シーズンは様々な課題やハードルが顕在化し、それを超えることができませんでした。当然、マネジメントの問題、テクニカルな問題も大小あるものの、チームや選手は持てる全力を尽くし、8年間J1での戦いを実現してくれました。それを後押しすべきだった経営面での成長が追いつかず、J2降格に直結したのだと捉えていますし、そしてその責任は私自身にも大きく問われるべきものだと認識しています。ですので、今後の最優先課題は「経営基盤の強化」に置き、取り組んで参ります。

■目指したい景色
さて、その上で改めてJ1への復帰を目指して歩み始める来シーズンから、クラブとしてどのような未来、それも遠い未来ではなく手の届く中期的な未来に向けた絵を描き、この数多の人の想いや歴史が染み込んだ湘南ベルマーレというクラブを率いて行くのか。そのことについて2点述べたいと思います。
一つは、レモンガススタジアム平塚で、ゴール裏の皆さんだけでなく、メインスタンドもバックスタンドも、スタジアムが一体となって「勝利のダンス」を踊る、そんな景色を1試合でも多く実現すること。もちろん、サポーターの方々が始められた大切な文化にクラブが口を出すことの無粋さは十分承知の上ですが、先日のホーム最終戦、選手たちの後ろから垣間見た、勝利のダンスを踊るファン、サポーターの皆さんの喜びや情熱が目に焼き付いて離れません。その熱を、ぜひ初めてスタジアムにきた人も、メインスタンドやバックスタンドでゆっくり観戦されている人も、大人も子どもも、みんなで共有し、喜び合い、スタジアム全体を揺らす規模に拡げる。そのためには、たくさんの勝利をお届けする必要がありますし、アウェイゴール裏以外が全てベルマーレのライトグリーンで埋め尽くされるだけの集客を実現する必要があります。フットボールも、事業も、営業も、クラブの皆でそうした景色を思い描いて邁進していくこと、これが我々のミッションである「夢づくり 人づくり」の夢パートにおける具体的な景色だと思っています。
もう一つは、人パート。昨年からスタートした茅ヶ崎市立の小学校で実施している「サステナトレセンproject」では、どうやったら自分たちの住んでいるこの街が、いつまでも住み続けたくなるような街になるか、子どもたちを中心に各企業や行政がともに考え、サッカーをやったことのない子も、ベルマーレを知らない子も、みんなで一緒になって考え抜き、アイディアの実現に向けて一緒に協力して乗り越えるという経験をしました。そして最後にはみんなで肩を組んでベルマーレビッグウェーブを歌いました。我々は、プロサッカークラブとしてサッカーを通じて感動や興奮をお届けするだけでなく、社会の中に落ちている様々な課題のど真ん中に置いて、ハブ機能として立って産官学あらゆる人たちを繋ぐ力、人々の意識変化にアプローチする力を持っていると思います。その力を、今年定めたクラブのサステナビリティ指針である「Bell-Being プロジェクト」を通じてさらに発揮し、9市11町の隅々で「この街にベルマーレがあってよかった」と思って頂きたい。茅ヶ崎市での事例のようにスタジアムの外でもたくさんの小さな勝利のダンスを生み出していくことが、人パートにおける目指したい具体的な景色であり、そのために必要なアクションを地域に根付いた形で加速させていきます。

■フットボール面と事業面について
前述した景色を実現させるためにも、まずはJ2での戦いとなるトップチームを中心としたフットボール面については取締役の坂本紘司が掌握します。トップチームはもちろん、アカデミー、女子カテゴリー、国際事業、サッカースクールなどに集中する形で全体統括を進めてもらいます。選手やSDとして4度のJ1昇格を成し遂げている経験値、何より、「湘南ベルマーレらしさ」を誰よりも知り尽くし体現できるということなど、その力を引き続きフットボール領域で発揮してもらいます。
そしてSDには引き続き吉野智行が就き、J2を戦い抜くための強化・編成や、日々チーム現場で起こるあらゆることへのマネジメント、サポートを強化責任者として牽引してもらいます。
新監督については近日中に発表をさせていただきますが、これまでクラブが積み上げてきたもの、大切にしてきたものを土台に、さらなる成長と勝利をもたらしてくれる方を招聘します。多くの方は、分かりやすい形のスタイルを求めるかもしれません。ただ、クラブのフィロソフィーに紐づく不変の土台、立ち戻ることのできる土台を確立しながらも、しかしその先の表現としては、むしろ多様で柔軟であること、進化や変化を恐れないことが大事だと考えています。細かな部分は、改めて新体制発表会など新シーズンの中でお伝えして行く予定です。
また、アカデミーについてはトップチームに比べるとより中長期的な戦略が必要です。「落ちているゴミを拾える人間になる」という言葉にあるように、自己犠牲力と他者への想像力をもった人間としての育成を中心に据えながら、将来世界に羽ばたくことのできる、また湘南地域に貢献することのできるような選手を育成するための環境整備を進めていきます。
女子カテゴリーについては、来年以降、Womenへの社会人選手が多く加入する予定となっており、いよいよチームとしての本格始動になっていきます。私自身が数年間なでしこリーグ所属クラブの代表を勤めていた経験を生かし、Womenの躍動を通じて、サッカーに限らず、多くの女性が好きなスポーツを安心安全に長く続けていけるような社会になるための一助になればと考えています。
一方事業面は、まずはJ2降格による集客の落ち込みについて、デジタルイノベーションパートナーであるKPMGコンサルティング様協力のもとシミュレーションと対策を進めています。現状は、対2025シーズンで約13%減少の平均10,000人を最低ラインとしながら、2024シーズン、2025シーズンと同レベルまで持ち上げて行くことを目指しています。その根拠となるのが、2022シーズンから2024シーズンにかけて約3倍増加した顧客データベースの充実にあります。9市11町200万人という我々の市場規模と、より直接的なマーケティングリレーションを可能にするデータベースを最大限活かしながら、満員試合、大入り試合を一つでも多く実現していきます。
企業の皆さまとのパートナーシップについては、多大なるご支援のおかげをもちまして、2025年度のサポートコーポレーションの総売上が過去最高となりました。このサポートコーポレーションは、地域の皆さまに愛されるべき湘南ベルマーレというクラブにとっての象徴であると考えており、今後も変わらずご支援を頂けるよう、クラブ一同向き合って参ります。また、広告料収入としては、2026年度にクラブの過去最高売上を目指します。「ベルマーレを応援していてよかった」、「ベルマーレを変わらず支援していきたい」と皆さまにこれからも思って頂けるように、クラブとしてどんな価値をお返しできるのか、パートナー企業のビジネスにどのような形で具体的に貢献できるのか、進化を果たさなければなりません。
フットボールの強化とビジネスの進化を融合させ、まずはここから3年以内に売上高で30億円を突破できるだけの成長角度、その先にある2030年35億円というターゲット35への成長角度を確かなものにしていきたいと考えています。

■最後に
湘南ベルマーレが今後も大切にして行くべき固有の価値観は、全力であること、皆で一体となって戦うこと、若手が成長すること、他の誰かを支えその成功を喜び合うこと、などが挙げられます。こうした価値観は、地域を大切にし、地域から愛されるクラブであろうとし続けるために、今後も決してなくさずに大切に継承していきたいと思っています。その上で、私がそこに加えたいキーワードは、「Integrity」=真摯さ、です。ホームゲームで、相手チームバスが到着した時や相手チームが紹介される時に、それを拍手で出迎える湘南ベルマーレサポーターの素晴らしさを、ただ温かい、優しいという言葉では表現しきれないと感じ続けてきましたが、それはIntegrity、真摯さの表れなのではないかと最近では思うようになりました。自分たちの愛するスポーツやフットボールという競技を、そして愛するクラブを、自分たち自身でより素敵なものにしていこうとする姿勢は、まさにIntegrityです。そして、勝負の場におけるIntegrityとは、それが勝つために必要なことであれば、それが目標達成に必要なことであれば、ケンカをしてでも言うべきことを言い合い、要求し合い、高めあう。換言すれば、負けることへのアレルギーを持つこと、です。そんなIntegrityの高い組織となれるように、私自身も湘南ベルマーレのエンブレムをつける1人として、誰よりも体現していきたいと思います。
クラブの長期、中期、短期の戦略と課題に向き合いながらも、目の前の1日1日を全力でハードワークして参ります。皆さまの、ご支援、ご声援を、心からお願い申し上げます。

株式会社湘南ベルマーレ
代表取締役社長
大多和 亮介