湘南ベルマーレウィメン
【ウィメン】湘南ベルマーレウィメン発足に関する記者会見
「湘南ベルマーレウィメン」の発足にあたり行われました、株式会社湘南ベルマーレ 取締役会長の眞壁潔の記者会見の模様をお届けします。
株式会社湘南ベルマーレ 取締役会長 眞壁潔
現在、湘南ベルマーレの女子のチームは中学生と高校生だけなのですが、高校生のチームに新たな選手を織り交ぜながらトップカテゴリーにチャレンジをしていくという発表の場となります。
以前より、ベルマーレで女子チームをやってほしいという地域からの声がありました。
2002年より総合型スポーツクラブとして活動をしてきて、ビーチバレーチームの女子選手がオリンピックに出場したり、トライアスロンチームにも女子の選手が所属していたりということがありましたが、サッカーでも女子選手が活躍できる場をつくってほしいという声がありました。
今でも覚えていますが、いまガンバ大阪の社長をやっています水谷(尚人氏/前湘南ベルマーレ 代表取締役社長)と一緒に、とある居酒屋のカウンターで飲んでいましたら大将から「どうして女子チームをやってくれないの?」と言われました。大将の娘さんがサッカーをやっていて、店を手伝っていた奥さんが練習を終えた娘さんを駅まで迎えに行くところだと。当時は星槎学園もなかったので、女の子がサッカーをするには、湘南からずいぶん遠くまで通わなければいけないということだったんですね。
11年ぶりにJ1昇格を果たしたシーズンだったので2009年のことです。
2000年にベルマーレ平塚から湘南ベルマーレになった時の地域との約束は「あのベルマーレを取り戻す」でした。ですので、しばらくの間は男子に集中して、いつの日かJ1に定着する日がくれば女子チームを立ち上げようと思っていました。
そしてちょうど7年前の2018年、その頃はまだJ1に上がったり下がったりしていた時期ですが、女子の中学生は部活でもサッカー部がないということで、まず中学生だけでもやろうじゃないかということで中学1年生からチームを作りました。3年生になれば、当然保護者の皆さんから高校までやってほしいという声があり、コーチやいろいろな人の意見を聞いて、ぜひやりましょうということで、高校生のU-18のチームも始動し2回卒業生を出しました。
何人かはなでしこリーグのチームへ行き、何人かはアメリカの大学へ行っています。おかげさまでそういった結果を出しています。
その中で言うと、J1で8シーズン連続で戦うことができるようになった今、そして地域に支えられているクラブであれば、最後になってしまいましたが、女子のチームを発足させようということになりました。
基本はすでに活動しているU-18ガールズのチームを「湘南ベルマーレウィメン」とチーム名の変更をして、そこに数人の高校生ではない選手に入ってもらう予定です。
チームは神奈川県1部リーグからスタートします。
以前、WEリーグがスタートする時に、ベルマーレに参入する意思があるのであれば、条件が整えば参加申請が可能だと言われたことがありました。
ただ、ベルマーレはいま小田原でFリーグ(フットサル)のチームが活動していますが、一から小田原の方と育てていき、つい3年前に初めて優勝争いをするようなチームになりました。
報告会や壮行会に行くと、200人を超える支援者の方々が集まってくれて大変地域に支えていただいています。
そういういい例もありますので、ベルマーレは女子チームも神奈川の1部から上がっていって、関東、そしてなでしこと上に上がっていく道を歩んでいく。そういう中でチームをつくっていこうと考えています。
活動の場所は当然ホームタウンの20市町なんですけど、Fリーグが小田原を中心に活動しているように、女子については茅ヶ崎、寒川、藤沢、鎌倉を中心に活動をしていきます。
大きな理由は、星槎学園さんが大磯を中心に活動されています。大変ご苦労されながらなでしこリーグに上がりました。神奈川県はサッカーチーム数も多くグラウンドが足りないので、彼女たちは南足柄や中井を使いながら活動しています。我々が同じ地域のグラウンドを使うことになると会場が重なることが多くなってしまうことも考え、我々は神奈川の女子の空白地である茅ヶ崎から鎌倉の間で活動をしようと考えています。
ステップアップをしていくことができ、上のリーグになれば試合を行うスタジアムという意味ではレモンガススタジアム平塚しかありませんので試合時は使うかもしれませんが、現状のスタートはメインスタジアムは茅ヶ崎の柳島の人工芝のスタジアムを使用する予定です。
改めてまとめますと、湘南ベルマーレウィメンは神奈川県1部リーグで活動します。主要なスタッフはU-18ガールズの監督、コーチが移行しながら行います。
シーズンの後半戦に入る9月までに順次OB、引退した選手を含め、そこに高校生じゃない選手に加入してもらいます。活動エリアは茅ヶ崎、寒川、藤沢、鎌倉になります。
質疑応答
–U-18がウィメンになるということだが高校生のチームはどうなりますか?
今のU-18ガールズのネーミングが変わる形でトップチームとして活動していくことになりますが、ただU-18の大会はU-18として出場していきます。
他のJクラブのいくつかもそのような形でスタートしていました。コツコツとやっていくためのファーストステップとして、どこかで始めないといけませんので今スタートしよう、と。
Jクラブは決算内容が悪ければJリーグのライセンスに影響します。そういった背景があり女子チームのスタートに二の足を踏んでいたということは理由としてありました。
どうすればライセンスに影響しないか、まだ確定ではありませんが、Fリーグのように別法人にすることも考えています。そうすればライセンス上、別会社は参考としてヒアリングは受けますが合算はされないということもあります。
小田原のFリーグと同じように別法人にして、女子も次のステップにいくときには当然お金がかかってくるわけですが、上を目指す環境を作らなければ選手たちは不幸だと思っています。いま、なんとかこのJ1で皆さんから評価をいただける状態にもってくるのに25年かかっている事実がありますので、女子も長期のスパンで考えてやっていきたいと思います。
各行政の長、商工会議所の会頭には昨年の9月頃から説明して歩いていまして、皆さん大変ウェルカムでぜひやってほしいと言っていただいています。
女性の力という意味で言うと、我々のホームタウンである湘南地域は中小企業の集合体であって、企業においても女性の活躍、また雇用がなかなかできないという問題を抱えています。女性の活躍を応援することによって、将来的にそういった活路を見出せれば面白いかなと思っています。
当面はアマチュアですので昼間は働きます。Fリーグの選手も小田原の企業で働かせていただいていますが、同じように地域の企業に、当初は藤沢や茅ヶ崎の地元の会社の方に雇用をお願いしていくことを考えています。
長い間、ギリギリの経営をしてきた私たちとしては、無理な設定はせずにしっかり根を張っていく。ただチャンスが来た時には資金集めを含めてトップを目指せるような環境を作るということが大事なことだと思います。
–なでしこリーグとWEリーグという言葉があったが、いつまでにといったビジョンはありますか?
できるだけ早くいきたいです。みんな早くいきたいと思っています。でもそれにはお金が必要で、バランスを崩してやるとチームが破綻してしまい、選手たちの行き場がなくなってしまう。
これから活動しながら、本体とは別にFリーグと同じように支援者を集め、その中から出てくる予算によってどれくらい急いでいけるのか、あるいは上にいける戦績を収めるような場合、その時には少々無理をしながらでも上にスムーズに繋げるようにすることがクラブ経営の責任だと思います。
–地域からの期待感も大きいと思いますが?
今のなでしこジャパンの選手たちはマンチェスター・シティやリバプールなどなど、世界のトップクラブでプレーしている選手ばかりです。
その代表に入っていく選手たちをしっかり下から上げていく。ワールドカップを目指して優勝するんだという画にするために、宮本(恒靖)会長や野々村(芳和)チェアマンが新しい改革を進めようとしている。我々は当然仲間に入れていただいているので目指しますけど、ただそれがすべての目標ではないので、そこを頂点に置きながらも女性の湘南エリアでの活躍の場、いい刺激になるようなことができないかということも考えています。
いま、実は海外の選手もチームに入ってもらおうかと考えています。我々のBAFA(アジア諸国のプロサッカークラブとパートナーシップを締結し相互の交流を深め発展するためのアライアンス)によって様々な情報を得ていますが、強く感じたのは、東南アジアの皆さんにとっては日本の女子チームは憧れなんですね。ニュージーランドでのワールドカップで得点王になった宮澤ひなた選手がいる日本、非常に多くの選手が活躍している日本という目で見られている。
その中で、素材として可能性がある選手がアジア諸国にいるかもしれない。彼女たちにしてみれば、日本にきてプレーして活躍をすること、そして将来引退したあともこの国でサッカーでもそうでなくとも働くということはいいストーリーになる。
そういった少し違う切り口も合わせてやっていきたい。単に強化だけではなくて、いま世界情勢がこんなに混とんとしていますが、その中で言葉というものは大きな障害になっていると思っています。
僕は63歳にして最大の後悔はちゃんと英語を勉強しておけばよかったということ。
「国際人」と言うと少し重い感じがしますが、若い選手たちが海外の選手と一緒にプレーすることによって、海外遠征をすることによって、海外の人と普通に付き合える、常識や経験値を持つということは大事なことだと思っています。
湘南という地域のベルマーレの女子のチームは、国際的な感覚を文化として当たり前に持っているんだよということがいま描いている、コーチたちに話をしている理想形です。
–クラブにとって男女共にチームを持つことのメリットとは?
「メリット」ということは入口では感じていなくて、まずは地域からの声に応えなければいけないということ。
長い期間、パートナーやサポートコーポレーションという企業や個人の皆さん約650社から支えていただいている我々からすると、お金をいただいてここまできて、その中で「女の子も見てほしい」という声もある中で、それは無視してはいけないというのは、戦略とかそういうこと以前に素直に感じた思いです。
昔から今に至るまで皆さんの浄財でここまできたので、少しでも返したいという思いが原点となっています。
ウィメンはウィメンとして自主性に任せて進めていきますが、ただ、ベルマーレにはFリーグも含め譲れないフィロソフィーがありますので、それは共有しながらやっていく。早く確立したいと思います。