ボイス

【ボイス:2019年11月6日】岡本拓也選手

のびのび純粋にサッカーを楽しみたい、
その基準で選んだ結果がベルマーレだった。

試合ごとに、またシーズンを重ねるごとにプレーの変化が見て取れる。
そこには選手の弛まぬ努力が隠されている。
在籍4年目のシーズンを迎えるのを機に、
完全移籍を選択した岡本拓也選手もまた
どのシーズンもとどまることなく変化を見せ続けた選手。
人として、サッカー選手として成長を願うその思いを常に実現してきた。
自分の選択に後悔することはないと断言するその在り方をひもとく。

純粋にサッカーを楽しんで
湘南以上に自分を表現できる場所はない
 プレーの一つひとつに積んできた努力が見える。そんな選手の一人である岡本拓也選手が3シーズンの期限付き移籍期間を経て、2019シーズン、待望の完全移籍を果たした。重ねてきた時間を振り返れば、すでに欠かせない存在。それだけに完全移籍での加入はチームにとって心強いものとなった。

「まず一つは、ベルマーレが僕のことを必要だといってくれたこと。それが一番の理由で、あとはレンタルですけど3年やってきたなかでもっと上に行ける、成長できる、このチームにいることで自分は人間としても選手としてもさらに高いレベルにいけると実感できたからです」

 決めたのは直感。2019シーズンの身の置き所について、もっとも早く声をかけたのが坂本紘司スポーツダイレクターだった。

「その時点で残るっていうのは決めてました。この3年間ですごく自分自身が変われたと思うし、それはプレー面もそうだし、人としてもそう、このクラブだからこそ成長できたと思う。タイトルも取れて、さらにもっと上を狙う、チームとしても個人としても上に行きたいという思い。ここ以上に自分自身を表現できる場所はないんじゃないかなと思ったので」

 帰る場所があった期限付き移籍期間、もっとも選択を悩んだのは2016シーズンの終了後だった。心を揺らしたのは、降格したチームへの思いと、置いてきた悔しさ。

「もう一回、(浦和)レッズでチャレンジしたいという気持ちも、そのときはあったので。
 決めたのはやっぱり直感です。あまり人にも相談しなかった。自分がパッと最初に思ったことを決断しました。そのあとグルグル考えたんですけど、結局、最初に思ったことが自分の素直な気持ちなんだろうなと思って」

 直感に従って移籍期間を延長し、2017シーズンを戦い抜いてJ1への復帰を果たす。そうなれば今度はそのチームでもう一度J1というカテゴリーにチャレンジしたい気持ちが強くなるのは当然のことだろう。さらに2018シーズンも期限付き移籍期間を延長することとなった。

「2016年に悔しい思いをして、2017年に苦しい思いをしながらJ1に上げて、もう一回、このチームでみんなと一緒にやりたいと思った。湘南も必要だって言ってくれたし。それに、自分がのびのび純粋にサッカーを楽しめるのはどこかなって考えたときに、その都度湘南に残るのがベストなんだろうなと思ったんです」

 4シーズン目を前にして完全移籍を選択した。

「間違いなかったと思うし、自分は自分の選択に後悔しないような日々を過ごそうと思っていました。それが一番いい選択だったと思えるような行動というか、日々の過ごし方をしたいって。だから基本的に自分の選択で後悔したことはないんです」

 結果として後悔しなかったからその選択を「正解」とするのではなく、その選択を「正解」にするように努力するのが岡本流。自分を見つめる目は厳しい。

「妥協したくないという思いはあります、常に。サッカー選手としてというか自分自身に。たとえば試合のなかで、ここは多少戻らなくてもいいかなとか、ここはちょっとディフェンス緩くするとか、ちょっとボールを受けるのを隠れてしまうとか、妥協したくなるときもあるし、無意識にしてしまうこともある。1回やると、自分でわかります。だから、妥協したくなったらそこで自分なりに一歩頑張ってみるとか、心がけてます」

 シーズンも残すところわずかとなったが、この選択を後悔ないものとするために。岡本選手は、常に妥協しない今を意識して過ごしている。

>移籍1年目と同じ感覚を覚えた昨夏 ベルマーレで迎えた成長期第2章