「ベルマーレ、好きなんだって？」

今をさかのぼること15年前。7歳年上の職場の先輩に声をかけてもらった日が、昨日のことのように思い出されます。
ベルマーレは昇格争いにもなかなか加われず、スタンドも閑散とし、8ゲートは閉鎖していた。そんな時代でした。

周囲にベルサポと呼べる人は誰もおらず、初めてのベルサポ仲間でした。
いつも一緒に観戦するわけではないけれど、スタジアムに行けば顔を合わせ、時には肩を並べて応援する。そんな先輩でした。

それでもなかなか勝てない時は、スタンドの最前列まで乗り出してブーイングする。そんな熱さも持っている人でした。

その先輩は今年の始め、ベルマーレの2018年の闘いを見ることなく旅立ちました。

昇格が遠い目標だったあの頃から、菅野さんが土台を築き、反町さんが昇格に導く。あなたと一緒に応援した2009年の甲府戦と水戸戦は僕の一生の思い出です。

思えば、湘南ベルマーレというクラブは、夢をひとつひとつ叶えてきたクラブです。

ガラガラのスタンドを満員にする。
閉鎖していた8ゲートに戻る。
日本代表選手に選ばれる選手を育てる。
そして…J1に帰る。
そんな夢の数々を、一歩一歩進みながら、叶えてきました。

いつか、聞いたことがあります。ベルマーレを応援していて叶えたい夢ってなんですか？、と。
「ベルマーレがACLに出て、アウェイに応援に行ってみたい。それが、夢かな」とおっしゃいましたね。
でも残念ながら、あなたはその夢を叶えることなく旅立ってしまった。

だから…その夢を、僕が引き継ぎたいと思います。
何年後か、十何年後かもしれない。まだその先の夢なのかもしれない。

それでも、ベルマーレがACLに出た暁に、あなたの思いとともに、アウェイに遠征に行きたい。そして、それは必ず叶うはずです。だって、ベルマーレはこれまでだって、ひとつひとつ夢を叶えてきたのですから。

先輩、2018年のベルマーレはルヴァンカップで優勝しました。これも、ベルマーレが叶えた夢のひとつですよね。

あの秋の日、あなたは晴れた空の上から、きっと、ベルマーレの闘いぶりを見ていてくれていた。僕はそう信じています。