監督・選手コメント

J1リーグ1stステージ第4節 湘南vs浦和 試合後監督・選手コメント

【監督コメント】
●曺監督 総括
2試合連続アウェイの後に帰ってきたホームの試合で、リーグを引っ張る浦和さんと戦うというゲームで、いろんな選択肢があったと思います。
ただまだ前季のはじめの試合なんで、自分たちの力を測る、もちろん勝つためにやる中で、絶好のチャンスだなと思って今日は臨みました。
前半の立ち上がりから、「勇気」という話をしたんですけども、3つの勇気のひとつめ、相手に対して向かってボールを奪いに行って連動すること。そしてボールを運んだり、ワンタッチで前に入れたりするクオリティで相手のディフェンスラインと勝負すること。あとは後ろからドリブルで運ぶみたいなことを、3つの勇気という形で選手たちに話して送り出しました。
前半から悪くはないと思って見ていました。
相手の出どころに対するプレッシャー、もちろん奪ってひっくり返すことはなかなかできなかったですけども、その圧力で最後のパスの精度が乱れたりとか、我々の次のチャンスにつながったりする場面もありました。
ただ、今日は本当に典型的に2つのミステイクが失点につながりました。

それを電車で言うと、スイスイ走ってるときにたまたま停止線をオーバーする、もしくはショートする中で2回続いてダイヤが乱れたと。
だからその他のことはそんなに大きく問題がないんだけども、そういった印象があります。特に2点目の失点は本当にもったいなかったというふうに思います。
彼らが楽にゲームを進める、時間を使える、百戦錬磨の浦和さんのペースに、ちょっと持って行かれたかなというふうに思いました。
ただ、まあ、0-2にされた残り15分については、我々が点を取れる形を何回か作れて、あれが0-1であればさらに相手に対して圧力をかけられたと思います。
ただいろんな意味でこれが今のうちの実力、力の立ち位置だと思っています。そんなことでいいのかと言われたらそこまでなんですけども。

立ち位置が自分たちの中でしっかりわかったっていうところから、来週のナビスコカップ、それからそのあとのホームでの神戸さんとの試合につなげていかなければならないと思います。
今、選手に言ったのは、この道程を、険しい道程を進んでいけるのは、他でもない我々しかいないということ。
その中で今、違うこと考えたりとか、今まっすぐ行ってるのに左横に行ったほうが実はゴール近いんじゃないかとか、そういうことを考える選手がひとりでもいるほうが俺は怖いと。
だから4回やって勝点2しか取れてないけども、勝点0ではないと。
勝点12を取ったら一番いいんだけど、12を取ってるチームもJリーグにはない、と。

そういう中で、まだまだチャレンジをして、大きな壁なのか、ちょっとチャレンジすれば越えられる壁なのかは分からないですが、それを越えない限り2016年の湘南は、最後に“たくましく、しっかり生きてる”と思える花を咲かせることが出来ないと思うので、自分の中では、ネガティブには捉えていないです。

●曺監督 質疑応答
–自分たちの力を測るチャレンジをした結果、どのような手応えを感じているか?

手応えがあったなという捉え方もできるんですが、僕はあれぐらいはできるかな、というふうには思っていました。
今の我々の力であればああいうゲームはできるかな、という想像はあったのでびっくりした感じは全然ないです。
後半についても、僕は浦和さんにペースを持って行かれる時間が15分、20分とゲームの中で絶対に存在すると思っていました。
ただその時間を凌げば必ずまた自分たちの時間が来るという流れだと思っていたので、あれを1-0で整理できれば最後の15分、20分にもうワンパワー、ツーパワーかけられたんじゃないかというふうに想像しますし、試合中にもそう思っていました。
そういう意味でやはり2点目が痛かったなと、引きずりながらやってはいけないですけど、そう思います。
全体の90分のデザインとしても、結果的にもう一回やったらそうするかもしれませんが、浦和さんとやる時にずーっとボールを持たれてゴール前に持って行かれて、それを跳ね返してたまに取ったセットプレーで勝つということを目指してないです。
実力のある彼らに対して我々が仕掛けていくことによって、彼らがびっくりするような場面を作っていくことしか我々が浦和さんというチームに追いつくこともできないし、もちろん追い越すなんてことは不可能。
そういう気持ちでやらせたし選手たちもそういう気持ちでやったと思います。
それが結果には繋がらなかったですけど、去年の2試合、2013年の2試合、浦和さんからは全然いつも白星は取れていないんですけれど、その都度その都度本当に自分たちが足りないところ、もしくはここがこうだったら、というところを学びながら来ています。
今年は去年のことをみなさんによく言われますけれども、全く新しいチームを率いたつもりで自分も指揮を執っているところがあるので、そういう意味では強がりではなくて前向きに捉えて自分ではやっています。
前向きというか、当たり前だけど試合は続くので、この流れの精度を高めていくということにフォーカスをして、いろんないいものを取り入れるのではなくて、我々のチームとして大事な部分を、いろんなものをそぎ落としたとしても突き詰めていかなければいけないなと思っています。

●ペトロビッチ監督 総括
今日のゲームは多くの方がジャイアントキリングではないですけど、浦和が湘南に負けるのを期待して見に来られた方が多かったのではないかと思います。しかし、我々が今日のゲームに勝利できたことを非常に嬉しく思っている。
やはりサッカーの世界では属に言う、地方のクラブが大きなクラブに対して勝利するところを、見る人たちは期待したいところだと思いますが、その中で今日は湘南が期待されていたのもサッカーの世界でよく分かる話です。
ただ、その期待がなぜ起こるかと言えば、やはり湘南が今まで見せてきたアグレッシブな戦い方だったり、運動量の多さだったり、そういった部分が期待値をあげたんだと思いますし、彼らの強さは誰もが認めるところでもある。
ただそうした湘南の強さというものを、我々は今日上回れたのではないかと思う。運動量の多さ、球際の激しさ、セカンドボールを拾う予測、そういった部分は我々、湘南の強さの部分でもありますが上回れたのではないかと思う。

選手たちはプロフェッショナルに戦ってくれたと思いますし、奪われた後の切り替えの早さで相手にカウンターを与える機会を与えなかったと思います。運動量の多さでも相手を上回れたのではないかと思う。相手はプレッシャーのかかる中で長いボールを蹴ることが多かったと思うんですけど、その長いボールの競り合いにも勝つことが多かったと思いますし、その後のセカンドボールも我々が拾うことが多かったんではないかと思う。
今日の試合に関しては選手たち、非常にプロフェッショナルな戦いをしている中で、勝利に値するゲームが出来た。

今日のゲームの中でもちろん修正するべき、改善するべきところはあったと思います。ただ、やはり今日のゲーム、立ち上がりからリスクを負って攻撃的なサッカーをした、貫いた、やはりその結果がこうした勝利に結びついたと思っている。
日本のサッカーの中ではよく0-0で試合が進む中で、守備的に戦い、相手のミスを誘ってカウンターから1点を取るようなサッカーが主流になっていますけど、ただ我々は日本のサッカーをリードするチームとして、リスクを負って、攻撃を仕掛けていくそういったサッカーを貫いていきたいとも思いますし、いけているとも思う。
そういった中で我々が負ける試合があるだろう。ただ日本のサッカーの中で私はそういうアグレッシブに、そしてリスクを負って攻撃を仕掛けていくようなサッカーというのは私は必要なことだと思ってますし、皆さんがそういった戦い方をするチームを後押しすることが、日本のサッカーをやはりよくしていくことに繋がるんじゃないかと思う。

Jリーグの中でも、川崎は非常に素晴らしい戦い方をしている。やはりリスクを負ってボールを自分たちで保持しながら、攻撃的なサッカーをしている。ただそういったチームがもちろん戦っていくなかでカウンターを受けて失点して、1-0で負ける試合もあるかもしれない。ただ、日本のメディアは残念ながらよくあるのが、そういったアグレッシブなサッカーをしているチームが負けてしまうと勝ったチームを賞賛する傾向がある。私はそうではないと思う。やはり、リスクを負って攻撃を仕掛けるようなチームが負けたときは、皆さんは特にポジティブに受け止めるべきだと思う。

●ペトロビッチ監督 質疑応答
–湘南のガンガン前へ出てくる力をどのように利用して攻めようと思ったのか?

我々ACLの試合の関係で、中国から帰国したのは飛行機の遅延もあって羽田についたのが深夜に近い時間という中で、練習する時間は全くないと選手たちに伝えた。ミーティングの中で選手たちに伝えたことは、やはり奪われた後の切り替えでいかに我々がそのボールを早く奪えるか、そのことによって、相手がカウンターする機会を与えないということが大事なことだと選手に伝えました。その部分は今日の試合うまくいったのではないかと思います。
湘南との戦いの中で、我々のボールを奪った後に時間を与えてしまったら、我々は難しくなると思っていました。いろんな対処の仕方はあると思いますけど一つの対処の仕方はそいいうものでした。

–去年あまり出場機会がなかった選手が今年頑張っているが?

やはり一人の監督が長くチームを指導する中で、指導する時間が長ければチームというものは成長し、各選手も成長していく。ただ我々プロのチームの中で競争に生き残れない選手、あるいは成長が見られない選手というのは入れ替えを行っていく。今いる選手たちは4年間の中で生き残っている選手たち、その競争の中で勝ってきた選手たち。そういったサイクルがチームを毎年強くしている要因に繋げている。
もちろん青木拓矢も今シーズン非常にいいプレーをしていますし、ズラタンも高木俊幸も新しく入った駒井も日々成長している。やはりそういう中でチームというものは徐々に徐々に強くなっていくものである。
我々チームは昨シーズン、一昨シーズンとタイトルに非常に近いところで戦いながら、手に届きそうな位置にありながら、それが手にできなかった。非常に悔しい結果に終わった。
ただ、我々チームは、選手たちはあきらめることなく、立ち上がり、そしてその悔しい気持ちを持って、今年こそはという思いで戦っている。その諦めない気持ちが、タイトルを手にしたい気持ちがやはり我々をより強くしてくれてるんだと思う。

この4年間の中で、もし私が監督として例えばクラブに10億も15億もかけて選手うを買ってくれと、3人の外国人選手を買ってくれというプレッシャーをかけて、それがもし実現したら、もしかしたらその外国人選手の力で我々はすでにタイトルに手が届いていたかもしれない。
ただ、私はやはりお金で買うようなタイトルの取り方はしたくない。私はそういう監督ではない。私はやはりしっかりとチームとして成長していく中でタイトルというものを手にしたい。そういう監督である。
お金でなんとかなってしまうようなチーム作り仕方は、私自身はやはり長続きはしないと思いますし、チームの軸というものしっかり作って、そして一つの方向性に向かって、我々チーム作りをしていくということがやらなければならないことだと思っています。
そして今日スタートは全員日本人の選手で戦った。途中ズラタン選手が入ってきましたけど、やはり日本人という選手は非常に高い質を持っていますしポテンシャルも持っている。私自身も日本人の選手を起用して戦うことは好きですし、有効であると思っている。日本のサッカーを強くしていくために、やはり日本人選手が活躍して欲しいと思っている。

私は今シーズンでJリーグ11シーズン目ですが、日本人の選手は非常に成長していると思いますし、非常に質が高いと思っている。それは私自身、長年Jリーグで仕事をしているのでわかっている。Jリーグの中で日本人選手が活躍することが日本のサッカーを強くすることに繋がっていく。
日本のサッカーはまだ名前が先行することが多い。やはり名前がある選手がチームにくれば、例えばフォルラン選手がチームにくればそれを見にたくさんの人が集まる。ただ私自身は、うちには遠藤がいる、関根がいる、将来を担う選手たち、そういう選手たちを興味を持って見に来てくれる。そういったサッカーの文化があってもいいと思う。ただまだ日本はビッグネームだから見に来る、そういう傾向が強いと思う。
ただ、今日本に来るビッグネームは残念ながらキャリアの最後の最後の方だと思う。
その選手がもちろんいいプレーをしてくれるとは思いますけど、ただ彼が本当にピークのときのプレーを見ることはできないだろう。
選手としてキャリアの中で本当にプレーできる時間というものは12、3年だろう。やはりその中で選手たちがいかに自分のキャリアを燃やせるかどうか、頑張れるかどうかというものは私自身選手にいつも伝えていることであり、日本はまだ40歳を過ぎた選手が何人かいますけど、そういった選手がプレーをできるということは私は少し疑問を抱くところもある。

あとは私がよく選手たちに伝えることは、サッカー選手である時間にもっと集中をしてその時間を大事にして戦ってほしいと。
サッカーは会社員ではないので、定年までできるわけじゃない。選手たちは自分の出来ることを集中してやってほしいと思っている。
そして皆さんに伝えたいことは、日本人の選手をもっとフォーカスしてほしいということ。そして日本人の選手が試合に出ていることをもっと喜ばしく思ってほしいということ。
日本ではたくさんブラジル人の選手がプレーしてますけど、外国人選手というだけで非常に期待をして興味もつということは私は少し違うのではないかと思う。そこのところの評価、見方はかわってほしいと思う。日本人の若い選手がそういう期待があってもいいなと思う。
そういった外国人選手が多いということはビジネス的な要素が多いのかなと思いますけど、日本のサッカーのためにそういったことはあまりいいことではないと思ってません。皆さんがどう思うかはわからないですけど、私の言ったことが少しでも頭の中に残るのであれば、少し考えてみる余地のあることだなと思う。
とはいえサッカーというものはフレンドリーシップでは成り立たない仕事です。友達だからどこどこの選手を取ってくるといことは私はサッカーのなかではあるべきではない。やはり一人の選手を獲得するのであればしっかりとチームに必要な選手を取るべきであると思う。若いいい選手にチャンスを与えたい。

【選手コメント】
●高山薫
1点目はたまにハイライトシーンであるような、当たってしまって「それは取れないでしょ」というようなゴールで、気持ちはそんなに折れずにやり続けることができた。かといって2点目が入っても気持ちが折れたわけではないんですけど、ただあの2点目は大きかったかなと思います。
チームとして1点、2点取ろうという姿勢ではやれましたが、ただ得点を取れないと勝てないので。
あと無失点にした試合が今シーズン1回もないし、複数失点してしまっているので、しっかり完封するということと、逆に複数得点を取ることをやらなければいけない。
今回は点が取れなかったので、そこを修正していきたいです。

4試合勝ってない中で、反省するところはいっぱいあると思うんですけれど、悲観しないでやることが大事だと思います。
自分としてはずっと負け続けるとも思っていないので、ポジティブにしっかりオフ明けから練習できれば問題ないと思います。
今日はしっかり反省して、次に切り替えてやっていきたいです。
1点目を取られた後からボールをつなげなくなったようなところがあって、そこは試合中から話はしていました。
後半はそういう感じからちょっと変わって、神谷が入ってからシュートチャンスがあったり、俊輝(石川)が入っていい形があったりとかそういうところは良かったと思います。
点を取られた後にちょっと慌てて前に行かなかったりだとか、そういうところは若干あったと思いますが、話せばたぶん解決すると思います。
ただ負けは負けなので、あれがああだったらとか、こうだったらとか言わないで、自分たちが良くなかったところをしっかり見つめてやっていこうと思います。

●三竿雄斗
相手に決定的なチャンスというのは与えていなかったと思いますが、前半最後5分という時間帯でボールを奪った後に自分たちのパスミスからアンラッキーな形で失点してしまいました。
ただゴールだけ見ればアンラッキーですが、ボールの奪われ方はもう一度反省しなければならないと思います。
ただ1点取られても1点、2点取ってひっくり返そうという話はしていましたし、そういうシーンもあった中で、後半の早い時間帯でまた点を取られてしまってそこが全てだったなと思います。
そのシーンも取られ方が悪かったし、ゲームの進め方だったり単純に技術のところだったりというところは高めていかなければと思います。
結局最後は個人のところなので、チームとしてやるべきことはしっかりやれているし、最後に戦うところだったり、単純に1対1で負けないことだったり、ミドルシュートをしっかりブロックすることだったり、そういうところが大事だなと思います。

●下田北斗
試合に出させてもらった中で勝利できなかったことはすごく悔しいです。
結果を求められていたと思いますし、そこに貢献できなかったというのが悔しい。
周りの選手を使ったりとか、パスの部分ではある程度できたと思いますが、球際の部分だったり相手に負けないというところでは、相手に個人で仕掛けていくことが足りなかったんじゃないかと思います。

●神谷優太
交代で入る時、曺さんには「思い切りやってこい」と言われていたので、貪欲にゴールを狙っていくプレーを心掛けました。
ピッチに入った時はスタンドからの歓声がすごく大きくて嬉しかった気持ちがあった反面、とすごく責任感を覚えました。
短い時間でのプレーでしたが、優勝争いをするようなチームに対して通用する部分もあったと思うので、手応えを少しは感じることができました。
これまでの3試合、追いつかれた試合でも内容的にいい試合ができていた中で、今日も内容は決して悪くなかったと思います。
ただ一瞬の隙を与えるとこういう結果になるな、とは思いましたし、そういう隙を与えないように意識をしてまた練習に取り組んでいきたいです。