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【ボイス:2015年11月11日】古林将太選手 [3]

3度目の挑戦で感じた手応え もっと上を狙っていく

 古林選手にとってJ1への挑戦は、今シーズンが3度目だ。

「最初の1、2回……、2回目までは何もできなかったっていう感じ。1回目はホント、何もしてないですね」

 2010年は、ユースから昇格した最初の年。反町康治前監督(現松本山雅FC監督)がチームを率いた2年目のシーズンだった。

「プロ1年目で7試合くらいしか絡めなくて。自分の中ではソリさんにすごい怒られたイメージしかない。なんか、ただこう立っているだけみたいな。たまに上手いことができるくらいの感じだった。緊張もしてたし、ホントにただピッチに立ってるだけっていう感じが印象に残ってる」

 2度目のJ1は、前年のJ2をほぼフル出場しただけあって、自分たちの力でJ1に上がったという自負があった。

「ギリギリ、最後町田に勝って上がりましたけど、J1でもボールを持って自分たちのサッカーができたし、自分もほぼ試合に出られたし、『やってやろう』っていう気持ちもあった。実際に戦ってみても自分はだいぶ調子も良かったし、試合もずっと悪いゲームじゃなかった。ただ、最後の方は良いゲームはできているけど勝てないみたいな感じで。アディショナルタイムに決められたり、開始早々に決められたのをずるずる引きずって追加点決められて負けちゃうみたいな感じが多かったですけど。
 でも今年は、先制されても追いつけるし、先制点を取りに行くということもできるし、我慢もできるっていうか。前回までだったら最後やられてしまう展開でも、そこを我慢したりできるチームになっていると思います」

 3度戦って古林選手が感じたJ1とJ2の差は、

「やっぱり個々の能力は全然違うし、最後の最後を一人で打開できるところ。クロスの精度だったり、一瞬ずらして外してシュートだったり、そういうのを決めてくるし、クロスも上げてくる。そういうところが全然違うかなと感じます。
 あと、J1はクリアしない。ボールを出さないで繋いでくるから苦しい状況になるとずっと続くことが多い。J2だったらバーンと蹴って、『よっしゃマイボール、そこから始めよう』みたいな感じだけど、それがない。相手ボールを我慢して奪ってカウンター行って、取られて、また我慢して奪って……。そういうところは難しいです」

 また、チームとしてのスタイルもJ2にはない、個の能力を前面に押し出すチームもある。

「最後守ればいいっていうチームもあって、クロスは上げさせて中に強い選手が居てヘディングでクリアするっていう。堅いですよね」

 そういったチームに限らなくても、J1のチームはどこもサイズに恵まれた能力の高いディフェンダーがペナルティエリアを手堅く守っているため、単純にクロスを上げてもそう簡単に得点には繋がらない。タイミングやクロスの速さ、高さといった細部の工夫が必要だ。

「高いボールだとみんな強いから。触れない位置の低いボールを送ったり、本当に工夫してやらないとダメです。
 上げるタイミングもワンステップでかわして上げようとすると大体足が出てくるから、そこからもう一回運んだり。そうすると相手の一歩が出てこないから、そこで上げたりだとか。でも、J1だともう一歩くる力がある選手もいるので、そこは自分も試行錯誤して早い段階で上げたり、最初は簡単にクロスを上げておいて次は仕掛けるだとか、そういう駆け引きを色々増やしてやってます」

 来シーズンもJ1で戦う権利を勝ち取っとったからこそ、ここで立ち止まるわけにはいかない。最終節まで勝利を目指して少しでも上の順位を狙うことで今シーズンの成長を来シーズンへ繋げたい。

「残留は絶対的な目標だったけど、もっと上に行きたかった。勝てた試合もあるし、きちんと勝っていればもっと上にいけた。この間の(モンテディオ)山形戦とか山雅戦とかもったいなかった。タイトルはもう無理ですけど、少しでも上を目指していきたいですね」

 このチームで手にできる最善の結果を掴みとるために。アウェイの地で迎える最終節は、今シーズンの集大成を見せる試合となる。

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取材・文 小西尚美
協力 森朝美、藤井聡行