監督・選手コメント

J2第19節 磐田vs湘南 試合後監督・選手コメント

【監督コメント】
●曹監督 総括
お疲れ様でした。湘南のサポーターも2000人くらい来てもらえるという話も事前に聞いていましたし、何よりこのスタジアムの雰囲気というのは、ジュビロさんのサポーターの皆さんも真摯な応援をされていて、今日の試合は、我々もいいところを出したし、ジュビロさんも、僕が言うのもなんですが、いいところを出そうというような、お互いにそういう部分が出た試合だったと思います。観に来てくれたサポーターが醸し出してくれた雰囲気が後押しをしてくれましたし、本当に感謝したいと思います。

昨年J1で初めてプレーした選手もたくさんいて、ここでジュビロさんとやった時には前半1分で失点をして、何もできないまま90分終わった記憶があるんですけど、あの時は相手の代表選手だったりとかテレビで見ていた選手に対して、我々が向かっていくというプレーがまったくできませんでした。あれから一年、ジュビロさんは我々に対して絶対に真っ向勝負できて、ねじ伏せてくるだろうと思っていたので、その通りの試合をされて、僕自身もそれがサッカーの質を上げると言う意味で非常によかったと思っていますし、我々の選手も前半からひるまずに向かっていく姿勢を出してくれました。後半、スーパーシュートを決められて、あれは仕方ないかなと思っていますが、足を止めずに最後まで相手のゴールに向かって行った彼らの勇気は監督としてすごく誇らしいです。

あの最後のフリーキックでやられたとしても、後悔はない。ただそういう試合をしない限り、我々のレベルも、それを司る日本のレベルも上がっていかないんじゃないかと僕自身は思っています。そういう意味では今日の試合は、勝ったからいいということではなくて、すごく気持ちよかったし、お互いにフェアなプレーで攻守が入れ替わって相手のゴールを目指すというプレーが多かったので、こういうゲームを続けることが選手を伸ばすことなんじゃないかと、改めて感じました。

本当に今日、勝ったことはよかったですけど、まだ半分も終わってないので、今日の試合でもよかったところも課題もたくさんあると思いますので、その課題にしっかり向き合ってやっていきたいと思います。

去年までは、ベルマーレというチームは世の中に少しは知られたかもしれないですけど、そこでプレーする選手たちの名前って、僕自身のことも含めて世の中の人には今もほとんど分からないような状態だと思います。でも、今日の試合を観てくれた方には、6番は永木なんだとか39番は武富なんだとか、航やマル、秋元が誰なんだということを分かってもらえるような試合が、少しはできたんじゃないかと思って、それが何よりうれしく思います。

●曹監督 質疑応答
–磐田の前田選手にほとんどシュートを打たせなかったが?

相手のストロングはそこに対するクロスとくさびが入ってきた時のクオリティだということは誰が見ても分かるので、それを怖がってペナルティエリアまで下がってしまうとうちのよさが出ないので、とにかくコンパクトにし続けろ、セカンドボールをしっかりとれ、と。それこそW杯の映像をたくさん見せたんですけど、俊介(菊地)や亮太(永木)に対しては、ボックスに行ってボックスに帰ってこないと、現代サッカーでは世界で通用しない、と。二人の今日の運動量はすさまじかったと思います。そういうところを、能力の高い選手の力を素直に出してくれたことを嬉しく思います。前田選手が何ができたかできなかったか、ということは置いておいて、別に抑えることができたとも思っていないですし、すごく高いクオリティで、やられてもおかしくないシーンはたくさんありましたので。ただ、我々ができたことというのはそういうことだとは感じています。

–昨年は惜しい試合が多かった中、今日勝ち切れたことの意味とは?

去年は本当に何も分からないというか、自分たちが体感する前にやられたり、逆に体感できたら終わってしまったり、シーズン、あと10試合くらいほしいなというところで終わってしまったんですね。今日見ていると、そういうことを続けてきた選手たちがピッチに立っていて、100%全力でやることは大事なんですけど、全力でやってオールアウトになるとやられるんですよね、サッカーって。だから全力でやってオールアウトになりながらも冷静な判断がそこになければいけない。今日最後、僕は最後のFKも含めて選手からいい意味での余力というものを感じていました。
だからいっぱいいっぱいで、頭がパニックになって何も判断できていない状態でプレーしてないな、と。それは昨年のJ1での経験でもあるし、今年J2で試合を重ねてきた彼らのフィーリングというか、自立してチームとして少しはやれるようになったんじゃないかと思います。
もし1-1だったら、あの時にFKをとられたらカウンターで絶対にもう1点取ってやるっていう気持ちだったと思いますし、彼らは最後ここを凌げば勝てるという気持ちでセットプレーの守備にまわっていたことも分かっていました。
そういうところに、少し自立をした感じがあったと思います。勝ったのは、そういうところかなと思います。

–これで2位との勝点差が17になったが?

17差であと3試合くらいだったら喜べますけど、23試合ありますので。そういうことは考えないで1試合1試合やっていきたいと思います。

●シャムスカ監督 総括
こんばんは。試合終了後に選手たちを集め、ロッカールームに入る前に彼ら一人一人を称えました。普段はそういうことをしませんが、彼らに気持ちを伝えたかったのです。このグループを指揮できてすごく誇りに思う、と。我々のチームが見せてくれたこと、特にメンタル面、犠牲心をしっかり持って戦ってくれました。修正点もありますが、それ以上のものを見せてくれました。
今までのリーグの中でベストゲームだったと思います。両チームとも攻撃的で、いろんな状況を作り出しました。
私の経験上、こういった試合は細かいところで決着がつくと思っています。特に1点目のところで、相手のリスタートが素早く、我々が準備の面で最善を尽くしていなかったと思います。それと、CKでの局面です。1対1のところで負けてしまったのかなと思います。

●シャムスカ監督 質疑応答
–パスの出し手と受け手の呼吸が合わない場面もあったが、その要因は?

前半のある部分ではパス交換のところでスピードがなくなっていました。この1週間、相手のプレッシャーが速いから、常に速いパス交換をしようと投げかけていましたが、パスの出し手と受け手がワンテンポ遅れていたと思います。ただ、そこは後半になってからよくなったのではないかなと思います。
結果を求めなければいけない側としては慌ててしまい、そういったミスが起きることは致し方ないと思います。相手はリトリートが速いと。理想としては最後のカウンターアタックからクロスです。ゾノ(金園)のヘディングのタイミングが少しずれてしまったことでゴールには結びつきませんでしたが、理想の形ができたと思います。それと外から打つということで、フェルジナンドのシュートです。堅い守りを敷いてきている相手に入ることはすごく難しいと思います。その点、外から打つということはうまくできたと思います。フェルジナンドはポルトゥゲーザ時代にこういうゴールを決めてくれました。彼には『ジュビロではまだ君の力を見ることができていないよ』と、もっとシュートを打ってほしいと伝えていました。素晴らしいゴールを決めてくれたことに感謝しています。さらに得点を決めてくれることを期待しています。

–ハーフタイムに小林選手を交代させた理由は?

今日の試合を見ればわかると思いますが、スピーディーなボランチが必要な展開でした。小林が不調とかそういったわけではなく、そういう選手が必要だったので、投入しました。

–昨季のリーグ戦ではヤマハで大勝しているが昨季との違いは?

昨季の試合に出た選手たちとそういった話をしました。昨季の湘南とは全く別の力を持っていると思います。湘南は3年間同じやり方でプレーしてきているということで、我々よりも構築できていると思います。
ただ、昨季、湘南はプレッシャーが上手くできていなかったと思います。今年の方がより攻撃的で、より激しくプレッシャーをかけてきていると思います。そして、湘南は非常に素晴らしいことに、リーグの中ですごくいい選手であるウェリントンがいます。彼がさらに慣れてきたということで去年と大きく変わったのではないかと思います。

【選手コメント】
●岡田翔平
ここ3試合先発していてずっと点を取れていなかったので、自分のなかで悔しい想いをしていました。ようやく点を取れてよかったです。
チームのためにもう死ぬ気でやろうと思って、点を取ろうというよりもチームのために走りまくろうと思っていました。でも結果、早い時間に足を攣ってしまったのは課題です。他にも前半の最初のほうに裏とか効果的な動きができない時間帯があった。押し込まれているときにもっと顔を出してボールを受けて、時間をつくってあげるプレーが必要だったと思います。

●丸山祐市
前田選手や松井選手など、前の選手はとくに個人として能力の高い選手ばかりだったので、勝負事ですから勝ち負けに対してしっかりこだわりつつ、楽しみながらやろうと思っていました。失点しましたが、そういう展開も想定はしていましたし、続けてすぐに失点しないようにということを考えてやっていた。2-1になったあとも後ろとしては失点しないことを考えていました。このまえの讃岐戦では18試合のなかでたぶん一番つまらない試合をやってしまった。選手は一生懸命やっていましたが、判断の部分など悪かったところがあった。そういうことを繰り返さないようにできるのがうちのチームのストロングポイントですし、ましてやジュビロとの首位攻防、勝ったら優勝にも近づくと思いますし、絶対に負けてはいけないという思いで、気持ちの部分を前面に出して戦いました。

●菊池大介
少し守備に力を使いすぎたというか、攻撃において自分の持ち味というのは、もうひとつ出せなかったと感じています。
ミーティングで監督から話もありましたが、W杯を見て感じること、なぜ日本が勝てないのかということ、またこの間の試合で自分たちができなかったことは何だったかというところで、自分たちがするべきことは何なのかということをもう一度見つめて、シンプルに自分たちを出していこうという意識で試合に入りました。
今まで、基本的な走ることやちょっとしたところで頑張ることを自信にしてやってきたし、今日はそれが相手より勝ったと、そこが勝負のポイントだったと思っています。そういう意味ではすごく気持ちのいい試合だったかなと思います。
(昨年との違いは?)去年は本当に悔しい想いをしたし、同じところでリベンジしたいという気持ちも強かった。僕自身も不甲斐なかったので、そういう意味では、今日はいい試合ができた。ジュビロよりもすごかったんじゃないかというくらいのサポーターの皆さんの応援に感動したし、そういう中で勝ち切れたことはよかったと思います。

●亀川諒史
最近は相手に引かれることが多くて対策されていましたけど、ジュビロはうちを相手にやり方を変えてくるチームではないと思っていたし、長くJリーグを引っ張ってきたチームと、こうして試合ができることはすごく楽しみでした。
チームとしても90分間、たくさんのお客さんが来てくれた中でいい試合ができたと思います。個人的には、いいところも出せたと思いますが、あそこで最後決め切れないというのは、自分に足りないところだと思っています。
マッチアップした駒野選手に、どれだけできるかというのも自分の中で楽しみでもあったし、去年もJ1でジュビロとやる時に対戦していい選手だということはよく分かっていました。僕自身、今シーズンなかなかうまくいかないところが多くて、そういう中でどこまでできるかを試したかったということもありました。思い切ってできたかなと思います。
自分の勢いというものを少し思い出してきたところもありますし、そういうところは継続していきたい。ただ、継続だけではダメだと思っているので、今日決め切れなかったところを練習して、次は必ず決め切れるようにやっていきたいと思います。

●永木亮太
球際や走力の部分で勝っていこうという話はしていました。自分でもそこは強く意識して、中盤で相手の中盤よりも走って、支配しようと思っていました。90分間通して、自分たちのよさを出せたことがこの結果に繋がったと思います。