ボイス

2009.08.21

【ボイス:8月21日】村松大輔選手の声

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 チームに未知なるパワーと新鮮な風を送り込んでくれる新入団の選手。特に若手選手は、将来のベルマーレを託す意味でも、期待したくなる。
 今シーズンも高校、大学を卒業したルーキーたちが入団した。そんな若手の中に、高校卒業後、まっすぐプロの道を選ばず、JFLの強豪Honda FCに1年在籍した経歴を持つ選手がいる。
 村松大輔選手。プロへのステップでは少し寄り道をしたが、ベルマーレでは開幕戦からがっちりとレギュラーポジションをつかみ、U-20の代表にも招集されている。
 今回は、期待の若手にスポットを当てた。

voice_090822_04プロの選手に負けたくない。
その思いが今、実現している。

 サッカーに携わる人間にとって開幕戦は、特別なもの。
 特に選手にとっては、たとえ高校を卒業したばかりのルーキーでも、シーズン当初、まず開幕戦のスターティングイレブンに名を連ねることを第一の目標とする。
 J2リーグは、どこのクラブもだいたい1月中旬から練習が始まり、3月初旬に開催される開幕戦に向け、切磋琢磨する。
 村松選手の獲得が発表されたのは、2008年12月20日。その1ヶ月後には沖縄キャンプが始まっている。しかもこの間、村松選手はU-20代表にも招集された。慌ただしいプロ生活のスタートとなったが、その村松選手もまた、開幕スタメンを最初の目標に掲げていた。

「移籍が決まってからの目標は開幕スタメンだったんですけど、沖縄キャンプでは全然自分の身体ができていなくて、ついていくのがいっぱいいっぱいだったんです。それで、沖縄では開幕スタメンは無理かなと思ったんですけど、平塚に帰ってきてから徐々に身体がついていくようになって。自分の中でも、練習試合とかでチャレンジできるようになった。それでもはじめの頃は開幕スタメンは、無理かなと思っていたんですけど」

 タイミングも良かったのだろう、身体が動くようになった頃から実践を積む練習試合が始まり、その練習試合ではすべて1本目での出場を指示された。そんな状況に、日を重ねるごとに期待も少しずつ膨らんだ。

「このまま頑張れば、あるかな?」

 開幕スタメンは、頑張りを認められた証。その頑張りは今も続き、第2クールが終わった時点で途中交代なしで全試合に出場を果たしている。
 プレーぶりも最近は堂に入ったものだが、開幕戦を振り返ってもらうと、さすがに緊張したと言う。

「開幕スタメンが決まったときは、うれしい反面緊張しました。最初のワンプレーでうまく試合に入れたら、すんなり入れるので、今でも最初のワンプレーは心がけてやっています。それに、スタジアムの雰囲気もJFLとは比にならないくらい違いますね。緊張感があります」

 Honda FCではリーグ戦7試合に出場しているが、それよりはむしろU-19日本代表での活躍の方が知られているのではないだろうか?

「去年は、Honda FCにいるというよりはもう、U-19に選ばれていて、U-19のアジア最終予選があったので自分としてはそっちに目標を置いていたというか、重点的にやっていた。U-19代表で活躍するのがプロになる一番の近道だと思ったので」

 惜しくも破れたが、2009年に開催されるFIFA U-20ワールドカップの出場権をかけたアジア最終予選は、全試合に出場している。その結果、ベルマーレも含めてJ2の数チームからオファーを受け、最終的にベルマーレを選んだ。

「Honda FCでは、ハングリー精神が培われたかなと思います。現に僕は、プロの人たちに負けたくないという思いがすごく強かったから」

 その結果がU-19、U-20へ選出であり、ベルマーレへの移籍、そして現在更新中の全試合出場に繋がっている。

U-19、20で一緒だった選手はライバルで友達。
友達のいるチームには負けたくない!

 出場した試合の中でも、特に記憶に残っているゲームはセレッソ大阪戦。第1クール、第2クールともに気持ちが入っていたと言う。昇格を争う相手というのももちろんあるが、

「やっぱり友達が相手チームにいると本当に燃える。友達のいるチームには負けたくない。
 香川くんとは、U-19で一緒にやらせてもらっていたので、負けたくないという気持ちが表に出ていたと思います。それに香川くんは、本当にうまいので試合に勝ったのは自信にもなります。ただ香川くんは、そんなに調子が良くなかったと思うので」

 香川選手をはじめ、U-19、20で顔を合わせる選手は友人でもあり一番のライバル。多分これからもずっと競い合っていく、特別な存在だ。だから今の2戦2勝の結果を、手放しでよろこぶことはない。
 香川選手以外の対戦相手で、うまさを感じたのは、

「香川くんは、ボールを持った時はハンパなくうまいんですけど、東京ヴェルディの大黒選手はボールをもらう前の動き方が本当にうまいので、すごく厄介というか、隙がないというか。一瞬も目を離していられないという感じで、大黒選手は本当にうまいなと思いました」

 実際、国立で行われた第23節のヴェルディ戦は、村松選手がマークについた大黒選手に得点を奪われている。

「あれは自分のマークだったので相当悔しかったです。大黒選手のうまさはわかっていたんですけど、ちょっと早かったですね、向こうの方が。この体勢からなら打てないかなと思っていても、そのかなり無理な体勢から打ってきたので、経験だなと思いました」

 大黒選手の方が一枚上手…

「2枚くらい上手です」

 この経験がどんな糧となったかは、第3クールで見せてくれるはず。
 全試合出場が続いているが、自分の特徴については、

「アグレッシブにボールをとりにいくのが自分の持ち味ですし、裏のスペースのカバーリングというのも持ち味。ベルマーレは、大きい選手は多いですけど、ディフェンスでは足の速い選手は少ないので、そういうところで自分は買われているんだと思います」

 反町監督からは、常々『いつも通りやれ』としか言われないが、

「自分からチャレンジするようになったし、監督がチャレンジをさせてくれる監督なので、毎日すごく充実しています。課題は、ラインの統率も、今はジャーンさんが僕たちを引っ張っていってくれているので、僕も引っ張っていかなきゃいけないかなというのがあります。ボールのポゼッションも、自分からもっともっとボールを受けて、ゲームを作っていけたらなと思います」

 理想としているのは、ディフェンスラインからしっかりビルドアップしてゲームを作れる選手になること。目標は、大分トリニータの森重選手だという。

「すごいディフェンスだと思っています。しっかりビルドアップもできますし、一対一も強いし、カバーリングもうまい、身体も強い。自分がめざすところかなと思っています」

 目標としている森重選手も体格的にそれほど恵まれているわけではない。だからこそビルドアップという長所に磨きをかけているのだろう。そんなところも目標とするポイントのひとつとなっている。

voice_090822_03『勝つしかない』と切り替えて臨んだ水戸戦、
気持ちでつかんだ勝利。

 今年初めて踏んだプロリーグの舞台。J2とはいえ、昇格を争う渦中にあるチームでの闘いは、どんなものなのだろうか?

「レベルも高いですし、ひとつミスをすると奪われるのが確実と言うか、ミスできない状況にあると思います」

 そのひとつのミスが致命的となったのが第28節の福岡戦、アディショナルタイムを含めて約8分間で3失点した、その1失点目に絡んだプレーだ。

「ボールを持った相手選手のドリブルが大きくなって、最初触れるかなと思って詰めていったんだけど、一瞬、頭の中で『止まった方が良いかな?』みたいな感じで躊躇した。そう思ったけど止まれなくて、チョンと触られて入れ違ってしまった。判断は良かったと思うんですけど、走っている時に頭の中で1回躊躇した、それが良くなかったのかなと思います。コーチにもあとから、『あそこはディレイするべきだな』と言われました」

 迷いが致命的なミスに繋がった。しかもこの福岡戦の敗戦の後、チームは自信を失い、敗戦を重ねていく。

「あそこで崩れちゃいました。自分もかなりこたえましたね。ただただヤバいなと。その後の試合も失点をかなりしていたので、正直言うと自信がかなり…。チームとしてもそうですし、自分としても守りきれないのかな?と思った。守りきる自信がちょっとなくなっていました」

 仙台、徳島に負け、さすがに4連敗は阻止しなければと強い気持ちで臨んだ富山戦はキャプテンマークを巻いた。

「いつもそうですけど、自分がキャプテンをやっている時は本当に負けたくない。勝ちたかったんですけど、グラウンドもああいう状態ですし、前半は自分たちのサッカーができなかった。富山には、そんなにチャンスを作られていなかったけど、その中でああいうスーパーなフリーキックは、神さまのいたずらというか…」

 富山戦は、試合開始直前にバケツをひっくり返したような雨が降り、反町監督が『重馬場』と言い表したグラウンドコンディションの中、富山がホームの地の利を生かし、また、幸運にも恵まれてフリーキックで得た1点を守りきった。
 この試合は、確かに神さまがイタズラをしたのかもしれない。反町監督の引き出しの中で周到に準備されていたシステムが取り出され、水戸戦は3バックで臨むこととなったのだから。
 また村松選手自身も、次の対戦相手の水戸にはU-19で一緒だった選手がいたこともあり、これも燃える理由のひとつではあったが、きっぱりと切り替えることができたという。

「4連敗して何かしら変えなきゃいけない、変えるだろうとは思っていた。4バックから3バックになったのは、自分としては嫌だとは思わなかったです。高校時代もやっていたのですんなり入ることができました。
 それに、さすがに5連敗はまずいなと思っていた。ここで連敗を止めなきゃまずいと。『勝つしかない』という気持ちでやりました」

 今季の反町監督を象徴する4-3-3からのシステム変更の意図は、選手にも十分伝わったようだ。

「4連敗したときは、1点取ってから油断してしまうことがあって、逆転負けも多かった。これで、一瞬たりとも油断できないということがよくわかった。これからは終わりの笛が鳴るまで、絶対に油断しない」

 ミスも敗戦も、起きてしまった現実なら、そのすべてを糧にしてほしいと思うもの。

「自分は今までずっと試合に出させてもらっているので、その責任もすごく感じている。これからはもっと自分が引っ張っていかなくてはいけないと思っている」

 日々増していく、たくましさ。有言実行のプレーに期待したい。

voice_090822_0219歳でも!
チームをもっと引っ張りたい。

 年代別といえども、サッカー選手にとって代表に招集されるのは誇り。村松選手もU-20代表を常に意識している。ただし最近は、リーグ戦を優先し、招集を辞退することが続いているが…。

「U-19の時はアジアユースがあったけど、U-20は今、次のオリンピックに向けて強化の段階で特に何か大会があるというわけではない。今回(韓国遠征、スペイン遠征)は、強化部長が『今回は辞退するけど良い?』と聞いてくれて、自分も今はチームの方が大事なので、『それで大丈夫です』という感じで。J2の方は本当に今、1試合1試合の緊張感が高いし、その勝負で昇格が決まってくる、その緊張感の中でやれているということが大きな経験になっていると思います」

 クラブでの目標は、個人的には累積警告による出場停止以外全試合出場とチームとしてのリーグ最少失点。代表では、やはりオリンピック。

「今の大きな目標は、オリンピックにでること。ゆくゆくはフル代表に入るというように、着実にステップしていきたいです」

 4月に呼ばれたU-20代表の練習試合ではキャプテンマークを巻いた。

「なんで俺なんだろう?っていう気持ちだったけど、そんなことは聞かない、聞けない。期待されているととらえたいです」

 キャプテンといえば、チームでも経験している。今季、反町監督は試合ごとにゲームキャプテンを代え、新入団の選手でも若手でも指名を受けた選手がキャプテンを務めている。
 村松選手もこれまでに3回ほど経験した。

「全試合に負けたくないという気持ちはあるんですけど、キャプテンと指名された時は本当に力が入る。自分は19歳ですけど、自分がもっと声を出していかないといけないと、すごく思いますね」

 試合中は、全身の神経を研ぎ澄ませているような集中力を持ってタスクを忠実に遂行し、相手選手との接触によって倒れた時などでも平然と起き上がる。気持ちの浮き沈みをあまり見せないその姿には、年齢にそぐわない落ち着きが感じられるが、サッカーに取り組む自身の姿勢をよくよく聞いていると、自分自身を叱咤する言葉がそこかしこにこぼれおちている。正直な気持ちをいえば、

「キャプテンは正直、若干重いですね。重いですけど、ピッチに入ったら年齢は関係ないと思うので、年齢に関係なく引っ張っていかなければ。自分はセンターバックで全体を見渡せる位置にいるので、より引っ張っていかなければいけないと思っています。ピッチに入ったら、言うときは言いますし、怒るときも多少あります」

 “多少”とついたところがらしさ、だろう。19歳の素顔は、キックオフ前、あるいはタイムアップ後の行動にも垣間見える。例えば、“若干重い”キャプテンマークはタイムアップの笛が聞こえるとほぼ同時にはずす。また、試合前の練習で7・HIDEゲートのサポーター席からのコールに応えることもまれ。

「やっぱり気持ちはぐっと入りますね。でも応える余裕がないです(笑)。自分のことでいっぱいいっぱいで。応えている選手を見ると、みんな気持ちに余裕があるんだなぁと思います。僕は今のところ、余裕がないですね」

 サッカーに関して、どん欲なまでに高い目標を掲げる村松選手。しかも掲げた目標に向けての努力を惜しまず、全試合出場という結果に繋げている。よほど、自分の中に高い理想のプレーを描いているのだろう。
 試合では、そのプレーから村松選手自身が描く理想の一端が伺える。どこまでその理想が体現されるのか、選手が描くその夢を共有する、そんな楽しみもスタジアムには待っている。

voice_090822_05意外?
かわいい雑貨好きのインドア派。

 Honda FCでは寮だったこともあって、現在は初めての一人暮らしを満喫中。

「一人暮らしは僕的には楽しいです。寮だと一人ひとり部屋があってもひとりの時間はそんなになかったから。ひとりの時間があるというのがすごく落ち着くし、リラックスできる。結構、ひとりの方が好きかもしれない」

 リラックスするひとりの時間の過ごし方は、

「パソコンとか、テレビを見たり、音楽を聴いたり。ご飯は友達と食べに行くし、たまには遊びにもいったりしますけど、家にひとりでいる方が多いかもしれない。インドア派ですね」

 インドア派らしく、部屋のインテリアには少し気を遣っている。

「雑貨を見るのが好きです。かわいい、おしゃれなやつとか見るのが好き。小物とか大好きです。でも買うのはたまにで、ほとんど買わないです。一番最近買ったのは、ティッシュの箱がそのままだとイヤなので、それを入れる黒のティッシュケース。部屋がちょっとかわいくなるかなと思って」

 おうち大好きなインドア派でも、家ですることの中に、料理は入っていない。

「最初の頃は自分でお肉を焼いたりしました。でも、やるのは良いんだけど、あとの片づけが…なかなか落ちないし。めんどくさいから今はほとんどしないですね」

 食事は外食が中心。身体のケアは、

「サウナに入って水風呂と交代浴とか、気持ちも身体もリフレッシュできますし、すごく好きです。あと、アセロラジュースが、自分の中では効いているのかなと思っています。ビタミンCもすごく豊富なので、風邪も引きにくくなりますし」

 夏場も90分走りきるコンディションづくりに役立っているアセロラジュースは、今、相当にお気に入りの様子。
 それならということで、村松選手への差し入れには、アセロラジュースがオススメです。

取材・文 小西なおみ
協力 森朝美、藤井聡行