ボイス

【ボイス:2020年4月18日】鈴木冬一選手

ミスをミスにしない考え方
問題意識が技術を高める秘訣
 プロ2年目ながら、チームを引っ張ろうという意識は強い。そのプレーの魅力はやはり、高い技術力。と観ている側は思うのだが、本人に言わせれば、その技術の評価も「並」となる。

「わからないですけど、自分ではあんまり。プロになってから世界の選手をよく見て、世界の選手がJリーグでやったらどうかなとか思うんで。海外に比べたらまだまだやと思います」

 謙遜、というよりはめざす場所が高い、というのが正解だろう。なぜならその技術は当然、意識して磨いてきたものだからだ。

「何気ないパスコントロールとかも意識してますよね、ミスしないように。止める位置だったり、パスの方向だったり」

 また、鈴木選手ならではのポジティブ思考もおもしろい。技術にまつわるポリシーを独特のものに仕立てている。

「もし、トラップが浮いてしまっても、そのあとのプレーでいいボールを蹴れたら、それは成功だと思う。例えば、味方が出したパスがずれていても、僕がトラップを成功することによって、味方のプレーはミスじゃなくなる。そういう意識はある。つまり、どんなに難しいボールや変なパスでも、それをトラップできなかったらそれは全部自分の問題ということだし、そういう考えでプレーしています。逆に、僕が多少浮いたパスを出したときに味方の選手がトラップミスをしたら、僕も悪いですけど、トラップできなかった味方も悪いと思う。常にミスはしないように意識はしていますけど」

 どんなボールが来ても良いプレーにつなげるという意識は徹底している。自分のパスの受け手となる味方に対して同じ物差しを使うのも、その表れ。やはり、技術の高さは鈴木選手の何よりの特長だ。このベースを築いたのは、小学4年生から在籍したセレッソ大阪のアカデミー。

「自分のサッカーの根本的なものはほぼセレッソで磨いてきたと思います」

 セレッソのアカデミーに入った理由は、セレクションを受けて自分の力を知りたいと思ったから。

「3年生までは地域のクラブでやっていました。大阪にJのクラブは、セレッソとガンバ大阪とありますけど、その頃、小4でセレクションが受けられたのはセレッソだけだった。ガンバ大阪は、中学から選抜チームに入るためのセレクションはあったんですけど、僕は早い段階でJリーグの下部組織に入りたかったので、セレッソを受けました」

 通っていた保育園に年長からサッカーができる環境が整い、小学校への入学を機に地域のクラブチームである石切東FCに加入。そこで続けるうちに、Jリーグを意識するようになる。そうなると知りたくなるのは、自分の現在地だ。

「自分の現状の力を試すっていう意味もあったし、周りにどれほど上手い人たちがいるのか、そのなかで自分の実力はどのくらいのなのか、それを知るために入りました」

 その後、高校2年までセレッソのアカデミーで過ごした。

「やっぱりうまい子たちが集まってきているんで、一人ひとりのレベルが本当に高い。それにJリーグのチームの下部組織だから、身近にトップチームがあるし、そこを目指して向上心のある強い子たちが集まって、すごいライバル関係も生まれる。小学生の頃から身近にトップチームの選手を見たり、レベルの高い選手とライバル関係で切磋琢磨するという経験ができたのがすごく良かったと思います」

 鈴木選手の技術の高さは、アカデミー時代の切磋琢磨の賜物でもある。当然、セレッソというクラブへの愛着は強い。また、どこのチームのサポーターにとってもアカデミーに在籍する選手がトップチームへ昇格することは喜びの一つ。鈴木選手もまた期待をかけられた大切な存在だ。その思いを汲んだのが、現在ベルマーレサポーターの間で歌われいてる鈴木選手のチャントだ。

「あの音楽は、セレッソのサポーターにも使われていて、その音楽を僕の応援歌にしてくれた。セレッソとつながるものもあるし、歌詞には『見せつけろ、その技を』とありますけど、1試合1試合ごとにそういう思いでやっている。すごく気に入っている歌詞です」

 選曲にこだわったのは、セレッソのサポーターと縁のある、ゴール裏の応援を取り仕切るコールリーダー。粋な計らいだ。今はただ、待つことしかできない期間となっているが、リーグが再開した日には、鈴木選手のプレーとともに、このチャントの意味も噛みしめたい。

>高校を卒業したらプロになる その夢を叶えた大きな選択