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【ボイス:2015年5月27日】藤田征也選手 [3]

わかっていても止められない 得意なプレーにいっそうの磨きをかけて

 10代の早い時期から注目を集めてきた藤田選手は「2007 FIFA U-20ワールドカップ」に出場したメンバーの一人。このときのメンバーには海外に移籍した内田篤人選手(シャルケ04)や香川真司選手(ボルシア・ドルトムント)のほか、FC東京に在籍している森重真人選手や太田宏介選手など、現在のA代表に名を連ねる選手が多い。J1では、こういった選手との対戦は当然意識するところ。FC東京戦では互いにサイドのスペシャリストとして太田選手とマッチアップした。

「だいぶ悔しかったですね、やっぱり。本当にあの1本くらいだったんで」

 90分間のうち、ほとんどの場面で太田選手に思い通りの仕事はさせなかったものの、後半64分に決勝点となった武藤嘉紀選手のヘディングシュートのアシストとなるクロスを上げられた。微妙にずらされたタイミングに一歩寄せきれなかったプレーは、この試合で唯一、悔やまれるシーンとなった。

「中の枚数もこっちの方が多かったし、守れる状況だったと思うんですけど、良いところに良いタイミングで入ってきて、『やられたな』という感じはありました。ほぼ抑えていてもやっぱりあの一発で仕事ができるっていうのがJ1のレベルだと思うので、そこの差がまだあるのかなと感じました」

 チームとして戦えているからこそ、悔しさがいっそう募る。

「強い相手とも良いゲームが出来ているけど、自分たちが出来ている部分があるからこそ、余計に悔しさがある。勝ち切れるようにならないとJ1では戦っていけない。F東戦もガンバ(大阪)との試合も自分たちのサッカーが十分できていたし、こっちにも同じくらい十分にチャンスがあったので、チャンスで決めるか決めないかの差が出たというのがある。決めていれば逆の展開になったかもしれないし。そこがJ1のレベルの高さなのかなと思う」

 この悔しさはそのまま自分の課題となっている。

「太田に一本上げられたように、ああいう部分で、最後の止めるディフェンスだったり、一本でもチャンスがあればああいうふうにアシストに繋げられるようなボールを上げることだったり、シュートの場面でしっかり決めきるっていう部分をもっともっと上げていかなきゃいけないと思います」

 よりこだわるのはやっぱり攻撃面だ。

「自分の一番の良さはサイドで受けて、仕掛けてクロスだったりという部分なので、そこをもっと磨いて。J1のレベルでも、『分かっていても止められない』レベルまでいければ良いなと思います。そこはやっぱり自分が一番自信を持ってやれるところなので」

 カテゴリー別の代表に常に名を連ねてきた選手だけあって日本代表への思いもいっそう強い。

「今、自分と同じ世代の選手が結構代表に入っていて、昔、いっしょにやっていたということもあるので、そういう選手には負けたくない気持ちはある。湘南でしっかり結果を出してそういうところに呼ばれるようになれば良いと思ってますけど、まずはやっぱり湘南で結果を出さないと。湘南のサッカーをやっていれば、注目されると思うのでそこで結果を出すことを考えてできれば良いと思います」

 やるべきことはわかっている。自分の良さを出し切ること。それがチームの勝利に繋がり、回り回って欲しい未来を引き寄せることになる。

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取材・文 小西尚美
協力 森朝美、藤井聡行