馬入日記

【馬入日記:10月18日】「もっと強くなるため」

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10月17日あさ7:30、札幌戦に向かう週の始まりに行われたチームスタッフのミーティングで、曺貴裁監督はおもむろにこぼしました。

「今の俺たちが、ルヴァンから完全に気持ちを切り替えて札幌戦に臨むのは簡単なことではない」

激闘の末に決勝進出を決めた柏戦から2日、常に目の前の試合に全精力を尽くしてきたチームにも、2週間後に控える決勝戦を一度頭から切り離すことは容易なことではありません。「『今週のリーグ戦に切り替えよう』とは言葉としては正しいかもしれないけれど、感情的には難しい」練習後に記者団へそう話した曺監督は、そしてこう続けます。

「だから選手へ言ったのは『ルヴァンのチャンピオンになるために、ルヴァンのチャンピオンになるにふさわしい試合を札幌戦でしよう。だから不必要にリーグとルヴァンを切り離して考える必要はない』ということ。周囲も札幌戦より決勝戦のことへの関心が高くなるし、そこを自分たちがコントロールすることはできない。だからそれを受け入れて、ルヴァンで優勝するために週末も試合があると思って受け止めたほうが良いなと思っている」

これらの言葉を受け止める上で誤ってはいけないのは、札幌戦そのものの比重が小さくなっているのではなく、むしろそこへ向かうエネルギーはいつも以上に高まっているということ。「相手はうちより順位も力も上だと思うからこそ、ルヴァンの勢いそのままに向かっていきたい」大会は違えど、チームに流れる空気は同じ気流の中で動いていて、その中でそれぞれの勝利を目指していきます。

思えば今季、これまでの両大会での戦いは、決して二分されて進んではいませんでした。リーグ戦での連敗後にルヴァンでチームの底力を見せ、そしてその後のリーグに再び勢いをもたらす。逆にリーグで掴んだ良い流れを、ルヴァンで勝ち上がる原動力にもする、その繰り返しの中でチームは確かな成長の足跡を刻んできました。

「欧州のトップクラブも、チャンピオンズリーグと国内リーグを分けて考えてはいないと思うし、同じテンションで戦っているはず。自分達も決勝戦の後には中2日の日程が続くけど、そういうことも当たり前だと思えるスピリットを植え付ける時間とも捉えられるし、それが選手たちをもう一段引き上げるために必要なことだと思う。我々もそういうサイクルに入っていかなければいけない」

「選手もそういうことは、理解してやってくれたと思う」練習を終え、指揮官は改めて選手の逞しさに目を細めます。決勝を前にリーグ戦を挟むことも、そしてその後にタフな日程を乗り越えていくことも、全てが今の自分達を大きく変えていく要素。「もっと強くなるためのきっかけにしたい」と強く前を向き、まずは今週の札幌戦に全ての力を注ぎます。