監督・選手コメント

天皇杯準々決勝 大宮vs湘南 試合後監督・選手コメント

監督コメント

曺監督 総括
曺監督

お疲れ様でした。
リーグ最終戦を終えて天皇杯1試合を挟み、そこから約6週間空いて、湘南としても大宮さんとしてゲーム勘がないままやった試合で、さすがに前半の立ち上がりは良かったんですけどそれ以降は一方的な展開になりました。多少はそういう展開になるかなと予想もしていたんですけど、前半が終わった後に「ウォーミングアップ終わったから後半開始から行くぞと」という話をしました。アクシデントの退場も出ましたけど、10人になってからの彼らの気持ちというか、気持ちで片付けてはいけないですけれども、降格が決まり、また来年もこのメンバーで戦えるかどうかの保証もないという難しい時間を真摯に過ごしてきたという彼らの姿勢に、勝てそうなところまで持って行ってもらったと思っています。ただやっぱり最後にちょっとした我々が起こしたくないミスを突かれて(延長)後半3点取られて負けてしまいましたけど、気持ちの中ではすごくすっきりしていましす。12月24日19時という時間に、今からワインを飲むのかシャンパンを飲むのか、鶏を食べるのかサンドイッチをとるのか、そんな家庭でほっこりしなくてはいけない日に、ここに来て観てくれた人は、家でパーティーはないけど今日は観て良かったなと思ってもらえるような試合にはなったんじゃかないかと思います。
来年は湘南で6年目の指揮になりますけど、1年目だろうが6年目だろうが10年目だろうが、我々はプロなので観に来てくれた人がどう感じるか、そのために僕たちができることは一生懸命やることだけだと思います。もちろん我々はまだ技術、戦術、判断、当たり前ですけどまだまだJ1のチームに比べると足りないところがあります。でも一方で足りているところもあると思うんで、夢を捨てずに、夢に向かって来年は一歩も二歩も三歩も進んで行かなきゃいけないと思っていますし、今日やったJ1との試合の空気感をしっかり体にしみつけて、来年のJ2を戦いたいと思います。

曺監督 質疑応答

- 追いかける展開になってから1人数的不利となった時の考え、またその後の選手の姿を見て感じたことは?

学校でどれだけ授業を教えて、算数や理科、国語を教えてもああゆうふうにはならないなと感じました。だから選手が本当に勝ちたいと思ってプレーすれば1人少なくても2人少なくてもピッチの中にエネルギーはあるんだなと今日彼らに教えてもらいました。その点については退場者が出て戦ったのも今年初めてでしたし、本当に素晴らしい選手たちだったなと思って、僕の記憶には一生残そうと思っています。

- 前半自分達のミスから失点があったようにあと一歩足りない部分があったと思うがそれを埋めるためにどう考えているか?

2つ方法があって、ひとつは諦めるということです。技術がないからコントロールせずに全部ワンタッチで前へ蹴れということです。ふたつ目は、変わるだろうと信じてそれをやらせ続けること。これはプロの監督としてどちらが正しいかというのは僕の中でも答えはないです。ただ、別に後ろに行って取られたわけではなくて、前に運ぼうとしてコントロールに失敗をしたというのを経験し、前半は本当にミスが多かったですけど後半は良くなったというのは、鹿島がレアルとやって試合の中でレベルが上がって行くのと同じように、やっぱり挑戦させたいなと思っています。もちろん取られ方は不用意ですし、やってはいけないプレーだとは思いますけど、サッカーのグラウンドの中でやってはいけないプレーがゼロになるかといえばレアルの選手でも絶対にそんなことはないし、(柴崎)岳が入れたゴールもゴールキーパーがもう少し右に居れば多分取れたし、そういうことはどのレベルにいてもあることだと思うので、僕はミスをしたからといってボールをつなぐなとか、お前らヘタクソだから取りに行くなというようなことを言うつもりは毛頭ないです。だから今日のミスが失点に繋がったことは選手それぞれの脳裏に残して、より何ができるのかということに向かってやっていってもらいたいと思います。

- 改めて、監督をやる上で何をやりがいにしているか?

例えばA、B、Cという3つの組織があって、Aの集団は一番技術があってBが中間でCが下として、指導者としてAに行けばサッカーがやりやすくなる、それでエネルギーは半分で良い。Bに行けばもう少しエネルギーをかける、Cに行けばエネルギーを全開に出して叱咤激励する、というものではないと僕は思っています。だから、たまたま今預かった選手が湘南ベルマーレの選手で、その選手がこういうレベルから試合をを通して上のレベルに向かう、というふうにさせるのが我々指導者の仕事だし、Aのクラブにいるのであれば元々高いものをさらに上げて行く、というだけなので、どのチームを率いるとかどこで仕事をするとか、そういうことは僕にとってはそんなに重要じゃないです。ただ監督ひとり、選手ひとりで成し遂げられるようなものではないので、やっぱりクラブ全体で選手たちを見守って育てて、戦略的にも次のステージに行けるように、みんなが覚悟していかないと、現場を良くしたくらいで全てが良くなる程サッカーのチームは甘くないと思っているので。だから任されたチームではそういうスタンスでいたいし、今日やった選手たちもそういう気持ちでやって相手の方がうまかったなという印象は残っていると思うんですけど、ただ相手よりも走る力はあったなと思っているんで、そこを我々のストロングにしながらどっちが良い悪いでなく、両方をつけなければいけないという意味では僕は全く可能性は捨てていないですし、そういったところで仕事をしていきたいと思います。

渋谷監督 総括

今日は12月24日、クリスマスイブということで、ずっとこの6週間いろんな方に「24日に試合に試合観にいきます」「必ず勝利というプレゼントを私たちにください」と日々言われて、すごいプレッシャーがかかっていました。本当にみなさんの期待値がすごく強かったので、今日勝てて勝利をプレゼントできたこと、1万人を超えるファン、サポーター、湘南からもたくさんのファン、サポーターが来られてタフなゲームになりましたけど、我々が勝利できたことは嬉しく思いますし、選手たちが最後まで粘り強く戦ったことは今後に繋げていかなくてはいけないんじゃないかなと個人的には思っています。
ゲームに関しては、前半最初の10分は公式戦から離れていたこともあってどんな形になるかなと思っていましたが、湘南さんの前線からのアグレッシブなプレッシャー、前への意識に手こずるところがありました。ただ途中からは本当に選手たちがしっかりボールを動かしてチャンスを作り出して、下がらずに守備をしてとパーフェクトなくらい前半のゲームは良かったと思いますし、それが結果として1-0だったんじゃないかと思います。もちろんそこで追加点を取らないといけないと私は思っていましたし、次の1点が大事だと後半彼らを送り出しました。残念ながら我々のマイボールから失って失点し、そこから一気に流れが変わって、そこで交代選手を使って少し落ち着かせて、アキ(家長昭博)を入れてボールを散らしてという形でゲームを進めて、1点入ればなという形でした。延長前半に入ってフリーキック1本でやられてしまって、少し慌てるかなと思いましたけど、思ったより選手がボールをサイドに動かして、継続してやってくれていたので、何かのタイミングでチャンスはあるかなと思っていたら、菊地(光将)選手がタイミングよく上がっていってゴールが入ったという結果になりました。その後も菊地選手が入れて、最後(大家)翼が入れて、最後まで湘南さんの特徴である、最後まで10人になっても足を止めない湘南さん以上に走らなきゃと選手には言っていましたし、最後まで足を止めずに行ったのが翼の4点目になったので、あれば決着になったかなと。
シオ(塩田仁史)の、見た目ではミスだったかもしれませんし、彼は相当責任を感じていたと思いますが、サッカーって本当に良いものだと思います。そのミスをカバーできるキャプテン、もちろん周りの選手、その選手たちが本当にたくましく思いましたし、チームが今日勝ったこと、ベスト4に行けたこと、これは絶対に次勝利して決勝に、2005年にベスト4で敗れたそこを越えるためにも、次の川崎戦に向けてしっかり良い準備をして次に向かっていきたいと思います。

渋谷監督 質疑応答

- 120分に渡って比較的安定してゲームを運べていたと思うがその評価は?

相手が10人になるまでは最初の10分以外はボールを握れていましたしチャンスも作れていました。そこで得点も取りましたしあまり気にしないというか、今まではアキがいての形でしたけど、しっかりオーガナイズされていれば攻撃はできると私自身すごく思っていますので、あとは個人の能力とか最後決め切るところとかの部分があると思うので、選手たちはそこまでやってくれたと思います。ただ選手が1人減ると行き過ぎてしまったりとか一歩遅れてプレーしてしまったりとかで、相手がクローズしているのにそのまま行って奪われてカウンターを食らってリズムが変わっていって、失点の時はコーナーキックからで自陣に戻ったボールをシオに対してあれだけのハードボールが行けばそれはミスが発生するのは当たり前ですから、そういうところのちょっとした隙が出てくる。そういうのを少なくしないといけない、これからベスト4を勝つには難しいと思うので、1人減ったことによる安心感だったり足を止めたりというのはあったと思うので、そこをもっとやらなきゃと思います。全体の相手が1人減ってからボールをサイドに散らすということはできたし、サイドに散らしすことによって縦のボールが何回か効いてきていたので、あれで仕留める力をつけなきゃいけないと思います。最後延長に入らなくても勝てるゲームを延長まで持って行かれたなと思うので、そこは決め切る力という今年1年の課題、得点数が少なかったということが今日の試合でも明らかになったと思うので、そういうところをもっと高める、ひとつひとつの集中力をもっと高めるということをやらなきゃいけないと思います。

- 2得点の菊地選手への評価は?

ゴール前の精度が高くて、一昨年私が甲府から大宮に戻ってきたときに、本当にゴール前が上手で点が取れるなと思っていましたし、もともとストライカーなんだろうなと思って見ていました。最後にセンターバックの選手が得点を決めるというのはセットプレーであれば良いんですけど、パワープレーのような形で彼が判断をして前に上がって行って点を決めたというのは非常に大きいかなと思います。得点を取る時に最後どういう形で取るかというのを今週の木曜日の紅白戦のときにやろうと思ったのですが、あまりにも質の高い紅白戦ができていたので、システムを変えて負けていることを想定したことをやるのが嫌だなと思ってやらなかったので、今日はキク(菊地光将)に助けられたなというのが正直なところです。それでも左右に振って、最後ネイツ(ペチュニク)が入ったことで彼に意識が行ったことでキクがフリーになったとも思っているんで。あとは後ろでしっかりとコントロールしてやってくれていたことも非常に良かったんじゃないかなと思います。

- 序盤の劣勢から改善できた要因は?

うちの選手が相手の選手の立ち位置を見て、しっかりボールを動く場所に行ったというのが見ててわかったので、黙っていてもボールが動いていたと思います。相手のシステムと我々の立ち位置を、彼ら選手たちが相手に合わせてできていたので、僕自身は何もしていません。最初の10分間はわからない、湘南さんはいろんなシステムをやってくるので、相手の状況を最初の10分間で把握して、どこにポジションを取ればフリーになって、どうすれば攻撃ができるかというのを選手が中で判断してくれていたので、それでボールが動いたと。だらか12、3分のキクのワンプレーでこれは大丈夫だなと思っていました。簡単に言うと奥井からムルジャに入ってワンタッチで斜めにボールを送って背後を取ったプレーで、相手がやり方を変えて来ない限りボールは回るなと思っていたので、そこは選手たちがやってくれていました。

選手コメント

FW 23高山 薫
高山 薫

10人になってああいう試合ってなかなかできないと思いますし、普通こうなったら10人っぽいサッカーして負けてしまうということが多いと思うんですけど、今日は相手を追い込んでいたと思うし、延長もうちが点を取ったことで相手の方が「11人で勝てなかったらまずい」とプレッシャーがあったと思うし、そういう意味ではメンタル的にも自分達は優勢にできていたと思うんですけど、やっぱりパワーで押し切られてしまったというか、そういう部分は悔しいです。勝ち越した後は、チームで共有はしていなかったですけど、割り切って前に蹴るとか、時間も少ないですし人数も少ないので、無茶して飛び出すようなプレーはしないよう整理されていたと思います。ただ1点やられて(点を)取りに行ったところで複数失点してしまって、取りに行かないとPKにもできなかったので仕方ない部分もあったかなと思います。
今年は本当に苦しいシーズンだったし、その経験を良いものに来年はしなくちゃいけないし、そのためにも今年以上の努力をしないといけないところがたくさんあると思うので、休みに入りますけど、また覚悟を持って練習していきたいです。

DF 6三竿 雄斗
三竿 雄斗

天皇杯は決勝まで行きたかったですけど、行くことができずに残念です。
前半はお互いの距離感やポジショニングが良くなくて、行くのか行かないのか中途半端なところもありましたし、奪った後のパスコースがすごく少なくて、それでもあれだけ悪い流れの中でも1点に失点を抑えて後半同点に追いつけたと思います。普段だったら2点目、3点目を取られてしまいそうなところを1点で抑えたのは良かったと感じています。後半1人少なくなりましたけど、2点目が取れていたらと思います。
試合中に特別何か指示があった訳ではなかったですけど、10人になったのであまり前からは行き過ぎずに、しっかり我慢するところは我慢して相手を引き込んでカウンターでチャンスを狙えればと思っていました。

MF 15長谷川 アーリアジャスール
長谷川 アーリアジャスール

最後自分が出て、僕だけではないですけどチームとして戦うことができましたし、全部出し切った中でそれでも同点に追いつかれた後にどれだけ耐えられるかだったりとか、いろんな要素はありますけど、今年色々やり続けてきたことも含めて、今日もみんな最後まで頑張っていたと思います。そういう意味でもまだまだ自分達の力が足りなかったということはしっかり受け入れて、またポジティブに考えて行きたいです。試合が終わってすぐになかなかそうは考えられないところもありますけど、1日、2日経ってそういうふうに思えるようにしたいなと思います。
1人少なくはなっていましたけど点を取るためにやっていましたし、点を取ってからは落ち着いてうまく時間を使いながら、スローインもそうですし、僕たちが焦って前から行ったら相手も来てしまうので、そこはチームとしてうまくまとまった中で追加点が取れたんですけど、相手もその後圧力をかけて来ましたし、1人少ないからというのを言い訳にはしたくないですけど、疲労とともに、時間とともに、そんな簡単な試合ではなかったかなと正直感じています。

DF 30島村 毅
島村 毅

前半結構攻められて1失点しましたけど、もっと取られててもおかしくない場面でもなんとか凌いで折り返せたので、後半絶対に巻き返すチャンスがあると思っていました。不運な退場もありましたけど、チームで同じ方向向いて戦えましたし、絶対逆転できるという空気感がピッチにはあったので、しっかり延長も含めて逆転まで持って行けたことは成長だと思うし、それだけに最後勿体無かったなというのは反省しなくてはいけないと思います。サッカー専用のスタジアムでたくさんサポーターが来てくれて、本当に素晴らしい空気の中でサッカーができて本当に楽しかったですし、今日のこういうゲームで勝ってこそだと思うので、今年の活動が終わってしまうのは残念ですけど、来季につながるゲームはできたと思います。今日は負けてしまいましたけど、今日のような気持ちのこもったゲームというのを来年毎試合続けていけばまた昇格できると思うので、チームで同じ方向を向いてまたやって行きたいです。

MF 2菊地 俊介
菊地 俊介

得点は、0-1の状況だったので前にボールを入れて追い越して行ったら良いボールが来たので思い切ってシュートを打ちました。もちろん苦しい試合でしたけど、負けている状況では割り切って前半より走ろうということをみんなで言いながらプレーしていました。ボールを奪って攻撃に移って行くプレーは自分が得意としている形ですし、それで点が取れたというのはすごく自信になりますけど、それ以外のプレーは良くなかったので、まだまだだと思っています。
延長のあれだけ早い時間に得点するというのは予想していなかったので、逆に耐える時間が少し長くなったなという感じがあって難しさがありました。それでも延長前半はよく凌げていましたし、それを後半続けられなかったのはすごく悔いが残ります。
今年はなかなか試合に出ることができませんでしたし、ただ今シーズン初めてゴールできたので、来年につながるプレーができたかなと思います。