ボイス

【ボイス:2016年6月2日】坪井慶介選手

良い時こそもっと自分に要求するとき
あとから気づく大切なこと

 坪井選手のプロとしての経歴は、浦和レッズがチームとして強くなっていくプロセスと重なる。しかし、13年の選手生活の中には良いことも悪いこともあり、どちらかといえば悪い状況の中で自分自身を振り返ったことが長く選手生活を続けられることにつながっているようだ。

「レッズに入ってからの数年間は非常に恵まれていたと思いますね。でも当時は、今の自分が恵まれているんだとは考えられなかった。そこから良くないことがあって、ようやく自分に立ち返れたというか。良くないときに、『そうだよね、ここだよね、俺の原点は』って思ったんですよ」

 強いチームにいる強い自分が本来ではなく、いつもスタートラインは逆境の中で必死に努力している自分だった。

「めちゃくちゃ弱い自分で、頑張っても頑張っても勝てないのが自分でした。ちょっと強いチームに入れたと思ったら引っ越しでまた別のチームに入って、必死にやっても勝てないっていう。高校は四中工(三重県立四日市中央工業高校)に行かせてもらいましたけど、スタートは一番下のチームで球拾いと走りからでしたから」

 それでもやり続けた結果がプロにつながり、そこからの努力がまた日本代表への道を拓いた。

「その時も、いろんなきついときにこう、続けてきた結果だって思っていました。
 でも、レッズにいた時も、もっと努力できたかなって今、思ってるんですよ。24、5、6、7歳あたりは、もっと努力しなきゃいけなかった。一番結果が出ている時でしたけど、今思うとダメだった、もっと努力しなきゃいけなかったと思ってます。気づけなかったんですよね。そういう時期があって、そこから少しうまくいかないことがあって、そこでようやく立ち返れた。『勘違いしてんじゃねぇ』と、『お前はそんなんじゃねぇだろ』って」

 もともとストイックにサッカーを追求することで結果を出し、評価を手にしてきた坪井選手。改めて自分自身を見つめ直した今は、サッカーを超えた部分でこそ謙虚に自分自身に成長を求め、やり続けることを意識する。

「サッカー選手であるということ以前に、人としてどうであるかっていうところが僕は大事だと思っているから」

 挫折を超えて、再び自分自身に成長を要求し続ける姿と、貪欲なまでの向上心を支える情熱を秘めてなお穏やさが際立つそのパーソナリティーは、若手達からも信頼を集めている。

「そう言ってもらえるのはありがたいですけどね。僕自身は、年上だから特別に何かをしているというより、みんながとても一生懸命、しっかりサッカーに取り組んでいるんで、それとお同じかそれ以上に取り組んで、口で言うよりもピッチの上のそう言った姿勢で何かを伝えていければいいなと思っている」

 その存在感は、ピッチ外でも増している。

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