ボイス

【ボイス:2016年5月11日】下田北斗選手

“やるべきことを見失わず
常にポジティブな気持ちで次に臨みたい”

 甲府に在籍した昨年のセカンドステージ第3節(7月19日開催)、湘南ホームで行われた試合で対戦している。その時のベルマーレの印象は

「前からガンガンきますし、運動量豊富に、よりアグレッシブに前からどんどん人とボールが動いてというサッカーをしてるなって思いました」

 オファーを受けた際、その時の印象がベルマーレで攻撃的な自分の特徴を活かせるのでは? とポジティブに捉える一因ともなった。実際にチームに加入して感じているのは充実感。

「練習からすごいバチバチしていて100%、100%以上のトレーニングをしようって、監督もスタッフも選手もみんながそう思っている。普段からすごくいいトレーニングができていると思います」

 また、再びチームメイトとなった高山選手とは一緒に食事に行くなど、プライベートでの接点も多い。現在、キャプテンを務める先輩への気遣いも細やかだ。

「自分はキャプテンをやったことがないんでわからないところもあるけど、すごく重圧があると思う。そういったなかで明るくポジティブに引っ張ってくれていると思うし、みんなで薫くんを支えて、まかせっきりにしないで一人ひとりが意識を高く持って行動できればより良いチームになるんじゃないかと思います」

 新加入の年は、チームに馴染んだり、新しい戦術を理解したりと自分のことに気持ちが偏っても仕方がないところだが、すでにチームの一員としての自覚もしっかりと持ち、チームの状況にも気を配っている。第9節(4月30日開催)の横浜F・マリノス戦で今季リーグ戦初勝利をおさめ、これまで積み重ねてきたことが正しかったことを証明することはできたが、この勝利を繋げていかなければその価値は半減してしまう。

「1回勝つというのがすごく大変なことだっていうのはあらためて感じてます。でも、その1回勝つためにチームがどれだけ頑張れるかというのもサッカーの面白いところだと思う。まずやり続けないと。普段の練習から頑張っていきたい」

 こういった前向きでポジティブな思考を支えるのは、昨年の経験だ。

「うーん、去年の最初の頃甲府は、11試合やって2勝9敗ですから。2勝すれば去年よりはいいかなって。そこはネガティブに考え込んでもしょうがないですし、ポジティブにいかないと。もっと上に行くことを考えたら現状ダメですけど、リーグ戦で一つ勝ったがチームに勢いを生むと思う。そのためにも自分を見失っちゃいけない。甲府では何でも思い通りにはいかないっていうのをすごく学んだと思うし、簡単にへこたれてもしょうがない。まだ23試合あるし。負けたことはすごく悔しいし、申し訳ない気持ちもあるけどそれでも次はやってくるんで、その次に勝たなきゃいけない」

 やり続ければ、必ず結果はついてくる、そんな確信は勝点3とともにしっかりと手にしている。

「今までに積み上げたものもあるし、選手の特徴を考えればこのスタイルでやっていくのが一番だと思う。カウンターを食らってしまったり、なかなか点が取りきれないところがあるので、そこはここでしっかり集中するところとチームとしての約束事を意識してやることが大事だと思う。自分が出たらパスだけじゃなくてドリブルで仕掛けたりといった相手に脅威になるプレーを心がける。最後のところの崩しは、強いチームほどアイデアで崩したり、精度の高いミドルシュート一発といった個の力があると思う。そういう点も含めてチーム全体で高めていきたい」

 思う通りに試合出場の機会をつかめないなかでも、チームのことを考え、いかに自分が貢献するかを冷静に考える下田選手。誰にも約束されたポジションはないということは、誰もがチャンスを手にしているということ。だからこそ、次に試合での活躍を楽しみにしている。

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取材・文 小西尚美
協力 森朝美、藤井聡行