馬入日記

【馬入日記:12月20日】阿部選手が北九州へ移籍。4年間の感謝の気持ちを込めて。

141220-1昨日、阿部伸行選手がギラヴァンツ北九州へ移籍をすることを発表しました。

2011年にFC東京から加入し、4年間在籍。サポーターの皆さんはよくご存じのとおり、人を大切にする心優しき阿部選手は多くの人に愛されています。
もちろん、チームメイトからも慕われ、ピッチ内外で存在感を発揮していました。

「4年間で一番多くの時間を過ごしたのは馬入なので、一番印象に残っているのは馬入での日々。ここが自分の生活のベースだったので。4年間、毎日毎日、自分が頑張れば手が届きそうな課題を与え続けてもらったような感じなんです。だから必死に、一生懸命手を伸ばせば届く…という感覚を続けてこれた4年間だったと思います。何かに諦めることもなかったし、もうダメだってなりそうな時には、いろんな人が助けてくれたり、アプローチしてくれて、なんとか掴もうとするモチベーションを続けてくることができた場所です」

1日1日を大切に過ごしてきた阿部選手らしい言葉。

「選手もコーチもトレーナーも、毎日を必死に取り組むアプローチをしてくれました。全部繋がって、1日1日、自分が手を伸ばせばギリギリ何かを掴めそうだという感覚で過ごせました。成長の手応えはあります」

また、チームメイトに対してはどんな想いがあるでしょうか。

「本当に尊敬できる仲間で…。プレーヤーとしてもそうなんですけど、人間の根底というか、とにかく純粋な人たちで、偽りがない。悔しかったら素直に練習するし、うまくいったら調子にも乗るし(笑)、なんだかすごく人間臭いんです。だから、自分の素でぶつかっていける選手ばかりでした。でも、何年経ってもそういう選手ばっかり入ってくるんですよね。このチームは契約する前に選手の人間性を見ていて、だからそういう人が集まる場所なのかなと思います。もしそういう目で見てもらって、4年前に連れてきてもらえたなら光栄ですけど(笑)」

さて来季は、5年ぶりに新天地でのプレーとなります。どんな心境でしょうか。

「最初はちょっと忙しくなるだろうなと思いますが、でも移籍するからと言ってコートの大きさが変わるわけではないってみんなが言うとおり、自分がキーパーでゴールの前に立つ感覚というのは変わらないと思うので。自分がどういう選手か分かってもらいたいので、できるだけコミュニケーションを取ってやっていきたい。今年は北九州の飛躍の一年だったと思うし、チームが掲げている目標なども聞いているので、その目標を達成するための一部になれるように頑張ります」

阿部選手にとっての転機は、2011年だったそうです。
2007年から4年間FC東京に在籍し、一度はサッカーを諦めなければならないのかと覚悟した2010年の終わりにベルマーレへの加入が決まりました。移籍初年度の2011年はいま振り返っても重要な一年だったということ。

「試合には出てないですけど、あの年がなければ、次の年も今も絶対になかったと思います。自分の中でしっかりやれたとか、課題にしっかり取り組めたとか、そういう手応えみたいなものが掴めなかったら、もうサッカーは続けられないと思っていました。でもあの年、不思議と掴めたんですよね」

その一年を経て、翌2012年には37試合に出場しJ1昇格に貢献しました。

「曺さんが今年のホーム最終戦の挨拶で、“5分しか出なかった選手もいるし、0分だった選手もいるけど、全員が同じように努力をしたことを認めてほしい”みたいなことをサポーターの皆さんに言ってくれましたけど、あの言葉を聞けたことは、みんな本当にやってきてよかったと思ったと思う。そしてあれだけたくさんの拍手をしてもらえたことも本当に嬉しかった。僕も出られない時間が長かったので、あの言葉と拍手は、本当に忘れられないシーンです。実はその時に、ちょうど2011年のことを思い出していました。あの時出られなかったけど、そして今年も出られなかったけど、一生懸命やってきたと自信を持って言える、と。“あの時にもっとやれたなぁ”という後悔があると悔しいけど、それはまったくなかった。だから、あの時に曺さんとサポーターの皆さんに総括してもらったような感じがしています」

改めてサポーターの皆さんへのメッセージは。

「僕、数字はあんまり覚えられないんですけど、人の顔は覚えているほうなので、皆さんのことが自分の中からなくなってしまうことはないと思っています。僕のことも少し応援してもらえたら嬉しいですけど、でもやっぱりこのベルマーレのサッカーをずっと応援してもらいたい。この魅力的なサッカーをしているベルマーレの一員だから、僕もよく映って応援してもらえたのかもしれないし(笑)。とにかくこれからも、ベルマーレのサッカーを応援してもらいたいです。僕も1月31日で契約が切れたら、いちサポーターみたいな感じで皆さんの仲間ですから」

最後まで、阿部選手らしい言葉で。(移籍する選手がこんな風に言ってくれるものでしょうか!)

4年間、陰ひなたなく常にチームのために全力を傾けてくれた阿部選手。
北九州での活躍を祈ると共に、心から感謝の気持ちを。