ボイス

【ボイス:2018年11月15日】イ・ジョンヒョプ選手

監督の要求に応えて
ゴールにつながる仕事がしたい
 ベルマーレが志向するサッカーを体現するには、頭での理解とある程度の慣れが必要だ。ジョンヒョプ選手は開幕戦からピッチに立ち、ベルマーレのサッカーを理解しようと意欲を見せていた。

「韓国にいたときは、何事も1回動いたら終わりっていう感じだったんです。裏のボールに対しても1回動いたら終わりですし、守備についても1回やったら終わりっていう感じでした。でも曺監督の要求は、1回だけじゃダメだと。何回も動く、動き直す。1回ダメだったら次、ダメだったら次。守備も攻撃もどちらもです。
 これは、最初は意識しながらやっていました。実践するにつれて身体が勝手に認識して、今はもう無意識にやっているときが多くなっています。
 湘南のサッカーを学んでいる過程でケガをしてしまったので、もったいなかったです。復帰したときは、また1から成長しないといけないと思いました」

 ケガで離脱した期間があるだけに、今現在、走力という点では苦しいところもあるが、そこはチームメイトへの思いで乗り切るつもりだ。

「コンディションはすごく上がってきているんですけど、やはりきつい部分はある。でも、試合に出る以上はやるだけだし、やるしかない。それに、自分だけじゃなくて、周りで一緒に戦っている選手みんながタフにやっているのだから、自分がしんどいのは理由になりません。自分では、体力がないから走れないとは言いたくない」

 ここまでの戦いを振り返って反省するのは、やはりストライカーとしての仕事について。

「フォワードにもかかわらず、ゴールが少なかったことがすごく気にかかっています。チャンスがあったにもかかわらずゴールを決めきれない。シュートを打てていないというのが一番反省すべき点です。
 とは言っても、チームが勝つことが大前提なので、自分がゴールを決められなくても、周りを助けるプレーをして、それが結果的にゴールにつながるのであれば大満足です。だから、そういう意味での不満はないです。チームメイトを助けるプレーは、簡単なことではないのですが、湘南でその役割を担うことがとても勉強になっているし、それで成長できればいいと思っています」

 ゴールが決まり、チームの勝利を喜びながらも自分が得点を取れないことを嘆くのは、フォワードの選手の宿命かもしれない。とはいえ、攻撃に絡む人数が多いのは、ベルマーレのサッカーの特徴の1つ。3トップの選手が攻撃のポイントを作り、前線まで駆け上がった他のポジションの選手がフィニッシュを担うことも多い。ジョンヒョプ選手は、結果として得点を取る日替わりのヒーローが誕生することを自分の成長につなげてポジティブに捉えてもいる。
 逆に、よかったと思える点は、自分の考えとも共通すると言っていた守備についてだ。

「前線からアグレッシブに守備ができてきたこと。これはこれからも続けたいし、もっと伸ばしていきたいと思っています」

 今シーズンのJ1リーグは、勝点差が詰まっていることで上位も下位も1試合で入れ替わる混戦の状況。この後のリーグ戦は、1試合1試合の勝点の重みが増してくる。しかし、ジョンヒョプ選手はそこに一切の不安は感じていない。

「ここ最近の内容を見てみれば、決して悪くない。どちらかというと僕たち湘南の方が優勢なサッカーをしているので、そこに関しては心配していないです。他の選手たちも練習などを見ていても、そういう話は一切しないですし。絶対に大丈夫というのは、僕もわかっているし、他の選手たちもわかっていると思う。順位については、正直心配していないです」

 今シーズン、ここまで積み上げてきたチームの成長への信頼だ。

「湘南が先制点を取れたら雰囲気も良くなるし、チームのいい流れに乗れるというのもあるんですけど、まずは失点しないことが大前提じゃないかと思う。失点しないというのは、ディフェンダーだけ頑張ればいいという話ではなく、チームの戦術に則って、前線からみんなで連動して守備をして行く。これが失点をゼロに抑える一番の近道だと思う。死ぬ覚悟くらいの気持ちで走って戦います。
 もちろん、ストライカーであれば当然、得点すべきだと思うし、そこに関して自分はしっかり準備できています。仮に、自分じゃなくても得点を決められる選手はたくさんいるので、そこは心配していない。まず自分がボールを取られずに起点になれれば大丈夫です」

 最前線で攻守のカギを握る選手。この言葉通りに、ピッチで躍動する姿を期待したい。

>開幕戦のスタジアムに感動 長く日本でプレーしたい