ボイス

2018.02.12

【ボイス:2018年2月12日】端戸 仁選手

1年を通して強くなったチーム
この成長を2018シーズンの糧に
 シーズンを通して手を抜くことなく毎日練習を行い、毎試合のメンバー争いで切磋琢磨することで自分自身に様々な変化を感じて日々を過ごした。

「自分の感覚が良い時はもちろん誰でも楽しいと思うんですけど、ダメなときに何ができるかっていうのがすごく大事で、去年は自分に関して言うと、前半ダメだった時も試合中にちょっと修正できるようになった。これは自分の中ではすごく変わったこと。マリノスのときは、どうにもできなくてそのまま前半で交代とかすごく多かったんですけど。でも昨シーズンはちょっと受ける角度を変えたり、ダメなときなりにシンプルにやるだったり、自分自身で修正できるようになったのを何試合か感じたことがありました」

 試合が始まってから感じる不調。それはどの選手にもあるもの。経験豊富な選手は、そうしたときの対処法も心得ていて、悪いときは悪いなりにしのいでチームの勝利に貢献する。しかし、特に若い頃は、そうしたフィーリングの悪さに引っ張られてそのまま試合を終える選手も少なくない。端戸選手もそうした選手の一人だった。しかし、昨シーズンはフィーリングの悪さも自力で克服できた。また、得点が取れなかった長い時間からも多くを学んだ。

「一人で5本くらいシュートを打っている試合もあって、どんだけ入らないんだろうと、ホントにまずいなと思ってました。得点って、取ろう取ろうと思うと本当に取れなくて、リラックスした無欲の時が一番取れる。点を取るのは本当に難しい。簡単に取る人は取りますけど。考え出すと本当に止まらなくて、どんどん悪い方向に考えがいっちゃったりするんで、そういうところのメンタル面、得点が取れていない時の試合への持って行き方はすごく難しかった。いろんな面でいい経験ができたのかなと、結局思います」

 経験の全てを糧にするには、自分の中で受け止めることもが必要だ。そして再び、ステージはJ1に上がる。

「間違いなく相手のクオリティは上がるわけだから、J2だったらふかして終わっていたシュートも決めてくるシーンが多くなるだろうと思う。去年やったように全員で走って、身体を張ってというのは、これまで以上に大事になる。そこにプラスして、やっぱり個々のクオリティを上げていかないと。一対一で負けないだったり、球際だったり。自分たちはチャレンジャーなので、相手との差を埋めるには、そういう小さなところが勝敗を分けると思うから。そういうところはやっぱり普段のトレーニングが大事だと思う。手を抜かないでみんなで同じ方向に向かっていければ必ず勝てると思うし。それを1年通してやったときに、結果がどうなるかはわからないですけど、1日1日、目の前の練習を本当に一生懸命やっていくだけだなと思います」

 個人的には、やはりこだわるのは攻撃的な部分。特に得点に直結するクオリティを上げたいのは、当然だ。

「得点が圧倒的に少なかったんで、やっぱり決定的な仕事がしたい。それと、自分のなかで重きを置いているのは、ディフェンスから繋いできたボールを相手に取られないということ。ビルドアップしてきたボールを自分たち前の選手がしっかり収めれば当然、攻撃の時間は長くなるわけですから。そこで簡単に奪われて相手のカウンターを食らうのと、自分たちが相手ゴール前に行けるのでは天と地ほどの差があるんで。そこはずっと大事にしていきたい。プラス自分が中盤で関わったあとにさらにゴール前に入っていって、点を取ったりアシストすることができるようになれば、チームは必ず上に行けると思うんで、それをやりたいですね」

 端戸選手の魅力はなんと言っても豊富なアイデアと、それをピッチで表現するテクニック。加えて昨シーズンは、攻守に渡って走ることを厭わず、相手ディフェンダーが厳しく身体を張ってくるバイタルエリアでもしっかりとボールを収めてキープし、攻撃の起点となるなど、チームへの貢献度を高いシーンが数多く見られた。

「収めることでチームメイトからも信頼されてくると思うから。そこで相手のゴールに向かっていくのと、自分たちのゴールを攻められるのとでは全然違うんで。中で受けるのは、360度プレッシャーがあるからすごく難しいことなんですけど、でもチャレンジを続けて、何回もボールを受けてというのを繰り返さないと自分も上手くならないんで、そこは続けていきたい」

 チームとしても個人としてもレベルアップを図らなければ、J1を戦い抜くことはできない。その覚悟はある。

「自分はスピードがあったり、身体がめちゃめちゃ強かったりするわけじゃなくて、小さいときからたくさんボールに触って、技術で勝負してきたと思っているんで、そこがおろそかになるとプロではやっていけないと思う。誰よりもボールを触ってきた自負があるから『止めて蹴る』という、サッカーで一番大事な部分はこれからも大切にしていきたい。ただ、それでもミスはあると思うんで、ミスの波を少しでも小さくするために自分自身もっと成長していかなければいけない。上には上がいるわけだから」

 ベルマーレに在籍したこの2シーズンで降格と昇格を経験した。サッカー選手であれば、誰でもできるだけ長くトップリーグでプレーしたいのは当然のこと。だからこそ、2018年はJ1に居続けることもまた、目標になる。

「もう2度と落ちたくない。このチームは、J1に2年連続でいたことが1回しかないけれど、自分たちはその歴史を塗り替えたい。2018年は勝負の年になると思う。ガンバ大阪だったりFC東京だったり、一度落ちた経験のあるチームもJ1に居続けているけど、それは簡単なことじゃないと思う。でも、絶対にやれるだけの力がこのチームにあると思っているし、自分たちは信じてやる。そのための一歩として、自分たちは練習から100%やることを約束する。そうやって、目の前の練習だったり、試合だったりをやることが大事なんじゃないかと思っています」

 2017年、少しずつ変化する自分を感じ、それに伴って強くなるチームを肌で感じてきた。そこもまた自信になった。

「シーズンの最初の方に比べると、自分自身、少しずつ波がなくなてきたなと思うし、ピッチに立っていて、シーズンの最初の頃のゲームの感覚と、シーズン最後の方では、明らかにチームが強くなったのを感じるんです。そういう意味で1年通してチーム全体が成長したと思うし、そこで自分が出られているときにいいリズムでできているとすごく楽しいと感じた。その回数をもっと増やしたり、その時間をもっと長くすればチームとして得点ももっと取れると思う。最初より、シーズン最後の方がこのチームは絶対におもしろくなる」

 再び新しい戦力を迎えて、2018年のチームが始動した。咋シーズン、チームが得た財産は今季、新しく始まったチームに受け継がれ、個々の成長は選手の宝となっている。苦しんだ分、掴んだ手応えも大きかった端戸選手は、ベルマーレで3シーズン目を迎えた。どんな輝きを放つのか、今シーズンも目が離せない。



取材・文 小西尚美
協力 森朝美