ボイス

2017.10.15

【ボイス:2017年10月14日】山根視来選手

最終ラインから攻撃を牽引
ボールを運ぶドリブルが武器
 ルーキーイヤーは怪我で出遅れたこともあってなかなか出場機会をつかめなかったが、今シーズンは開幕からスターティングイレブンに名を連ねている。しかし、そのポジションは3バックの右。サイドのアタッカーという攻撃的なイメージを覆すものだった。

「キャンプ前に曺さんから『走れるようになってきているし、サイドでの対人も結構強くなってきたからサイドバックとかどうだ?』ということを少し言われて。で、キャンプに入って最初の練習試合でセンターバックの左をやったんです」

 実は、この練習試合の2日前、いや今思えばキャンプに行く前から曺監督から気になる言葉をかけられていた。

「『頑張ってるのはわかっているけど、最後の精度が悪い』というようなことを言われたんです。言われていることはわかるし、何をしなきゃいけないかもわかるけど、簡単なことではないな、という感じで」

 プレーで表現できない自分に歯がゆさを感じていたタイミングでのコンバートの話。ここでダメなら怪我で出遅れ昨年と同じようなシーズンを過ごすことになってしまうのではないかと、そんな思いが心をかすめた。ところが、ここで改めて慎重に新しいポジションに取り組む心算ができたからこそ、初めてセンターバックを試された試合を落ち着いて乗り切ることができたのだ。

「本当に集中してやって、ラインの上げ下げからコンパクトにすることを意識して、そこからちょっと光が見えた感じでした」

 ディフェンダーとしてのスタートで監督からの期待にも応えられたと感じることができ、自信として積み上げられた。そしてそのまま、センターバックが定位置となる。
 シーズンも深まった今は、守備に重きをおくポジションの自覚もある。そうなると、昔の自分の粗も見えてくる。ディフェンダーとしての経験を積むことで、以前の自分の守備がいかに酷いものだったかを痛感した。

「大学の頃は、本当に好きなことしかやってなくて、ボールをもらってドリブルしてシュート打って。守備は、自分ではやってるつもりでした。でも今思うとやってないです。そういう感じの、本当に好きなことしかやらない選手でした」

 とはいえ、好きなことしかやらない選手でいてはいけないという自覚は、試合に出られるチャンスは少なかったが、ルーキーイヤーに肌で感じていた。チームが志向する切り替えの速いサッカーは、攻守が一体、ボールを奪う守備も攻撃の一部分であることを全員が体現していたからだ。

「去年1年間、試合には出られなかったですけど、守備は全員でするもの、戻るところは戻らないといけないし、それをやったうえで特長を出すということをみんなやっているのを見ていて、理解していました。お手本になる選手もたくさんいますし。
 実際にできるかという点では、自分は守備は下手だと思っていたのですごく不安でした。でも、練習試合でしたけど、例えばサイドで1対1にされても、ぶっちぎられまくるという感じでもなく、意外とついていけた。曺さんにも対人もちょっとずつ強くなってると言ってもらって、自分もやればできると少しずつ自信をつけて。とにかく1年間試合に出られなかったので、試合に出られるならどこでもいいし、どこのポジションでもできた方がいいと思ってチャレンジしました」

 現在は、すっかり馴染んだ左右のセンターバック。後ろがない最終ラインにいることは自覚しつつ、試合を重ねることで自分がこのポジションで果たすべき役割への理解も深まっている。守備だけのことを考えて、そのポジションを託されているわけではないことを。

「ボールを運んでいくことだと思います。たまに運ばないでバックパスすると、曺さんに『何のためにお前がそこで出ているんだ』と言われますしね」

 ベルマーレでは、どの選手も複数のポジションをこなす。山根選手もまた、元々のサイドのアタッカーとしての位置と、現在の左右のセンターバックを自在に行き来する。

「紅白戦でも10分のゲームで1~2回はポジションを変えるのが当たり前なんで、やりづらいとかは思ったことはないですね。
 前に置かれた時は、クロスを上げたり、シュートを打って終われというメッセージが伝わってきます。サイドに行ってパスしたり、そこからスルーパスを出したりということを求められているとは思いません。置かれたポジションで自分のできることをやっているだけ。ポジションが変わっても、オフェンスのときにやることは大きく変わらないですし。ただ、ポジションを下げたときの守備は、裏を取られたら一発で終わるので、そこは注意します」

 最終ラインから山根選手がドリブルで持ち上がる姿は、今やスタジアムのボルテージを上げるシーンの一つだ。

>味方のために一瞬も惜しまず走る それが試合に出る選手が持つ責任