監督・選手コメント

第97回天皇杯3回戦 磐田vs湘南 試合後監督・選手コメント

監督コメント

曺監督 総括
曺監督

お疲れ様でした。
リーグ戦のことはあまり考えずに、天皇杯を勝ち進んで次のステージに、去年は大宮で悔しい負け方をしたんで、そこにたどり着こうと思って全力は尽くしたつもりですけれども、次のステージに進めなくて非常に残念に思っています。また、勝った磐田さんには、点差がついた中で負けてしまいましたけど、おめでとうございますという言葉を伝えたいです。
僕が監督としてじゃなくサッカーを上から見たときに感じることや、皆さんが感じること、ファン・サポーターの人が見たときに思うことと、僕が監督として思うことというのは基本的には一緒ではいけないと思っています。やっぱり僕は人間を扱ってていて、ロボットを扱ってるわけじゃないので、彼らがどんなパフォーマンスをして、なぜそうなったかというのを、自分に矢印を向けて考えなきゃいけない立場にあります。その点、前半ボールを持ったときにビクビクして、ボールを下げたり横に出したり、ターンしなかったりワンタッチで入れなかったり、そういうプレーが散見したのは、僕のやらせ方や持っていき方が悪かったと思っていますが、ハーフタイムに「もう、じゃあ蹴ったらどうだ」と言ったら、いきなり選手達はアグレッシブにつなぎ出しました。そこで僕が選手に言ったのは「お前達ができないとは思ってない」と。「俺はできると思ってそれを言っている」と。「でも、もしかしたら見間違いかもしれないな、前半を見ると。お前らできないなら、だったら蹴れよ」と。そうすると彼らは、自分の責任感を10%、20%上げてプレーに関わりだす。こういう姿勢が今日の試合でピッチに出ていた選手の大きな課題だったと思います。
後半は1-2で負けましたけど、チャンスの数は我々にあったと思いますし、ポストを叩くシュートも入ってれば、というところでいうと、もう2、3点入れられたのかもしれない。もちろん最初に失点してしまったんでそういうところの反省はしなきゃいけないですけども、まだまだ自分のアプローチというか、選手全員を最初からゴールの方向に向かっていくんだという気持ちやプレーを選択させられてないなと思っています。前半の立ち上がりは全然悪くなかったんですけど、やはりちょっとミスだったりネガティブなものが続くと、自分がその責任を負いたくないと思うのか、ミスに引きずられるのか、選手なんでそういうことがあると思いますけど、そこはチーム全体として考えて、次のヴェルディ戦に活かしていきたいと思います。
ただ、ポジティブな面でいうと、こっちに移籍した秋野(央樹)とか、表原(玄太)とか、非常に自分で変わろうとしてることがよく伝わってきますし、それを経験のある、長くうちのチームにいる(石川)俊輝だったり(山田)直輝だったり、そういう選手が泥臭くプレーすることで、チームとしての基準というもののレベルが非常に上がってきたなという実感は、今日の試合をもってしても思います。ただ、まだまだそこに乗り切れてない選手もいて、その選手たちも含めて、あと20試合しか公式戦はありませんけれど、そこに全精力を注いで力を上げていくというのが僕の仕事だと思います。負けたことは悔しいですけれど、この悔しさを次のヴェルディ戦につなげたいなと思います。

曺監督 質疑応答

- J1と対戦して今の自分達のレベルをどう感じたか。

予想の範囲内でした、全てが。ボールを取られたら動かすのがうまいということはわかっていましたし、磐田さんも最近負けていなくて堅いディフェンスをしていた中で、自分達がやったらこれくらいになるだろうなというのは予想していました。その中でもっと攻撃の面で良い形を作りたかったというのが本音ですが、ただ後半ちょっと磐田さんが疲れて足が止まってきたときにもしくは最初に我々が見せたプレーは悪くはなかったと思います。差は感じましたし、逆にやれるところもあったかなという感じて言えば、J1だなというのはシンプルに思いました。

- J1に上がっていくために、チーム全員でどこを底上げしていく必要があると感じたか?

精神的に言ったら、少し話が逸れてしまいますが、終身雇用という言葉は僕が学生の頃はそれこそが幸せの源というような言い方をされて、良い大学を出れば良い会社に入れるという時代でしたけれど、いまは会社に入ったときに最後までこの会社で勤め上げようと思っている人がどれだけいるのかという時代になっていると思います。例えば年金の制度も少子高齢化でその制度自体が見直されてきていますし、大きい会社でも55歳を過ぎれば役員退職で給料がさがって会社に残っていくような時代になっている中で、たかがサッカーなのに、そこでビクビクしていては、サッカーを辞めた後にどうやって生きていくのと思っています。だからサッカーをもっと大事にしてほしいし、サッカー自体をもっと好きになってほしいし、サッカーで自己表現できる自分に充実感を持ってもらいたいと思っています。そういう人生をみんなんが歩めるように、ただ単にここでボールを使ってサッカーをしているだけなので、彼らはロボットでも物でもないし、選手はいつか終わるわけだから。その中でポジティブな経験をつなげていってほしいと思うからこそ前半は残念でした。ただそこも僕のせいだと感じています。
もちろん全部を気持ちで片付けてはいけないですけれど、そういう考え方、取り組み方、過去の経験を生かして前向きに取り組んでいくということは前半は間違いなく欠けていましたし、ハーフタイムに言って後半良くなるということはもともと持っているということ。良くならずに蹴ってばかりになるのであれば仕方のないことですけれど。ただそういうふうにならないということ自体がその証明だと思いますし、そういったところから底上げしていかなくてはいけないです。

- 今日は吸収するものもあり、有意義な試合だったという評価か?

僕の中では後半のパフォーマンスも含めて予想の範疇でした。後半のプレーが90分間続けば良いなと思っていた中で、彼らのシュート力とかに沈められてしまった印象はありますが、後藤(雅明)も4点入れられて悔しい思いをしていると思いますし、これで次に向けて立ち上がってファイティングポーズを取れるかどうかが大事だと思います。ただ1歩進むのか10歩進むのかの違いはありますけれど、シーズン前よりは成長してくれているなという実感は選手を見ていて今年は強いです。本当にいろんな選手が変わって始めた中で、精神的に大きくなったなと思える選手もすごくいますし、それはチームにとっては財産にしなければいけないと思います。ただまだ勘違いしている選手もいるし、それを修正していくのが僕の仕事だなと改めて自分を戒めているところです。

- 表原玄太選手が加入後公式戦初ゴールだが、評価は?

あの1点はすごく素晴らしいプレーだったと思います。というのも(山田)直輝があそこで自分のアイディアを出したんですよね。出すふりをしてやめて、そこからもう1回出して、というような。ああいうプレーができるようになるとすごく良いと思います。ひとつのことを決めて、曺さんが言うからシュート打ちました、とか、曺さんが言うからこうしました、じゃなくて、「俺はこうするんだ」というメッセージがあるプレーがゴール前で増えていくと良いなと思います。そのほかゴール前でチャンスになったプレーも非常に良いプレーがあったと思いますが、そういう意味でももったいなかったなと思います。

- 相手はスーパーゴールもあり仕方のない部分もあるが、決定力の差を感じたか?

ただ、そういうところも含めて差なんだと思います。スーパーゴールが入る入らない、スーパーゴールで負けた、セットプレーで負けたと言っても、そこが差だと思わないと。1点目を決められた後の3点目のシュートはやっぱりGKとしては止めないといけないと思います。1点目から学んでより神経を研ぎ澄ましてやらなきゃいけないという点では、まだまだ後藤も試合経験が足りないというのはあるのでこの経験を次に活かしていかなければいけない。ただ自分達がやってきたことを彼らは後半特に出してくれたと思いますし、前半の立ち上がりは全然悪くはなかったし、ただ悪い時間でも決めてくるのがJ1だと、J2だったら外して「良かった」と思うのかもしれないけれど、その温度はチーム全体として学んでいかないといけないと思います。

名波監督 総括

湘南はよく走る、ハードワークを90分間全うするということは何年も前から、曺さんが就任してからずっとやり続けてきたことで、我々としてはそれをうまく剥がすために、タッチ数を少なく、特に中盤はシンプルに、そして縦パスが入った時のサポートの意識を念頭に置いて戦ってほしいと選手には伝えました。その中で3バックから4バックに変更して、中盤を少し厚めに、そして奪われた後にイージーミスは必ず出ると思ったんで、奪われた後の密集というところをポイントに置きながら、前半は戦いました。1点目のスーパーゴールでより前がかりになれたと思いますし、前半終了間際の点、そして後半立ち上がりの点と、ゴールの入るタイミングも良かったですし、ゴールキーパーの三浦(龍輝)がスーパーセーブを連発してゼロの時間を長くしてくれたのも大きな勝利の要因だなと思っています。
普段リーグ戦でなかなか頭から出られない人間が多かったと思いますが、非常に強い志と勝利への執着心を持ってやってくれたと思いますし、湘南には我々はJ2時代も含めてなかなか勝てない相手だったので、先月の練習試合でも1-0で負けているので、こうしたアウェイで良い結果が出たのは良かったと思います。

選手コメント

MF 13山根 視来
山根 視来

前半はちょっとボールを動かすのにも難しさがあって、それでもシステムとか関係なくみんなが受ける意識を持って前に行かなければいけなかったんですけど、どこかもらうのを怖がったりだとか、前に入れることを怖がったりだとか、そういうのがあったので、それが相手の得点につながったしまったのかなと思います。一時期自分達はミドルシュートで失点する試合が3試合くらいあって、そこで寄せて行かなければいけないというのは話していたんですけど、それでも簡単にカットインされて入れられてしまう。ミドルシュートから今日は2失点してしまったので、あそこは誰かが1人行かないといけないし、上のレベルで、去年J1でやっていて、あそこで寄せなければ絶対に飛んでくるというのはわかっていたんですが、それでも行けないというのはどうにかしないといけないと思っています。前半の最後2失点目を抑えれば後半も違ってきていたかもしれないので、しっかりコースを切るとか、そういう作業をしていきたい。うちはポストやバーに3回くらい当たったりチャンスがあっても枠に飛ばなかったり、これは今シーズンずっと課題として上がっていますけど、やっぱりJ1との差はそこなのかなと感じました。

DF 28石原 広教
石原 広教

チームとして前半からやるべきことをやれなかったというか、相手に押される雰囲気にやられてしまったと思います。個人としてはボールを受けてからの質はもっと上げていかないといけないですけど、かといってJ1のチーム相手に何もできなかったということもないと思います。守備の面でも怖くはなかったし、そういうやれた面は自信を持っていきたい。やれた面とやれなかった面はさらにレベルアップしていくためにそれぞれやっていかなければならないと思います。自分の課題ははっきりしているし、攻撃ではやり切るプレーをすること。そこは今週末試合がありますし、練習もあるので一つひとつ克服していきたいです。

MF 16齊藤 未月
齊藤 未月

ハーフタイムにいつも馬入でやっていることをなぜやらないのかと指摘をされて、後半変わった自分達がいたと思います。ただ言われて変わるんじゃなくて前半から同じことができていれば勝つ確率は高められたと思いますし、うちのゲームで前半も後半も終えられたと思うので、もったいないし悔しいです。もっと考え方を変えていかなければいけないと思います。J1の選手はあそこでも決めてきますが僕たちは決めることができない、自分も決められない。そこは今シーズンの課題だし、決めていかないといけないということは感じています。

MF 24奈良輪 雄太
奈良輪 雄太

去年までJ1でやっていて、来年もJ1でやることを目標としてやっている中で、今日はJ1の相手にどれくらいできるかと、結と内容の両面でも楽しみにしてはいましたが、90分通していま思うのは負けただけでなくて、もったいない試合をしてしまったなということです。自分達の力を出して負けたんであればまだ良かったですが、前半は腰の引けた戦いをしてしまって、特に1点目の失点をしてしまってからみんながボールを受けるのをやめてしまったり、相手の嫌がるところにボールを出さなかったりとか、1失点目から前半が終わるまでは本当にサッカーをしている感じがチーム全体になかった。0-2になってから後半盛り返そうと思ってもJ1の相手だったらそう簡単には崩せないなと。ただそれは去年からわかっていたことだし、そういうところ含めてもったいなかったなと思います。後半、運動量のところで相手の足が止まってくるだろうことはわかっていましたけど、相手の足が止まってきたところで自分達の良さが出るんじゃなくて、前半から自分達のアグレッシブな部分を出さないと、今年の残りのシーズンでも結果を出していくのは難しくなってしまうし、もし結果を残せたとしても来シーズン戦っていく力はまだないと思うんで、まずはしっかり今日を受け止めてやらないといけないと思っています。

FW 19表原 玄太
表原 玄太

強い相手ではありましたけど、後半だけ見ればうちも全然やれていたと思います。だからこそもっとちゃんとサッカーができればもっと戦えたと思います。ボールを取られたらなかなか戻ってこないという中で、もうちょっと踏ん張って我慢して、奪ったボールを大事にするということは、ボールを持つ相手には大事だったと思いますけど、そこで今日は我慢できなくて失点してしまったのはもったいなかったと思います。特に前半の最後と後半のはじめの失点は痛かったです。個人的にはターンで相手を置き去りにするプレーとかは、もしかするとJ2の方が厳しく来るようなところもあると感じましたけど、そこでちょっとミスをした時の詰めて来るスピードとかはすごく早かったんで、そういうところの技術は練習から意識してやっていく必要があると思いました。