ボイス

2016.12.23

【ボイス:2016年12月23日】高山薫選手

前への推進力を取り戻したきっかけは
状況に左右されないサポーターの応援

 高山選手にとって今シーズンのベストゲームは、1stステージ第9節(4月30日開催)アウェイで行われた横浜F・マリノス戦。決勝ゴールを決めたのは、高山選手自身だ。
 
「1勝目だったし、気持ちいいゴールを決めたし」
 
 リーグ戦初勝利にして、対F・マリノス戦としては19年ぶりの勝利を得た記録にも残る試合となった。
 また、この試合の勝敗はF・マリノスにとっても重要なものだった。ここで負けると連敗となってしまう状況だったため、特に終盤は怒涛の攻撃を展開。ベルマーレとしては、防戦一方となったが、そのなかでもPKを止めるなど、選手全員の勝利への執念が見える守備で乗り切った。
 
「それも含めて自分たちらしい試合だったかなと思います」
 
 自分たちらしさを出せた試合。それは守備もまた、アグレッシブに戦えたということ。選手個々に様々な思いを抱いて臨んだ試合でもあるだけに、タイムアップの笛の音が響き渡った後のピッチの光景は、今も印象に残る。
 逆に悪い記憶として脳裏に刻まれているのが、2ndステージ後半で喫した10連敗だ。
 
「10連敗全部が今年のワーストの試合。なかなかこう、難しかったです」
 
 特に優勝争いに絡むチームとの対戦が続いた時期、1点差を競り勝てなかった経験がプレッシャーとなり、前への推進力のブレーキとなったことは否めない。悪い流れを変えることができないまま10の敗戦を重ねた。
 こうした時期に訪れた、日程の妙。リーグ戦の合間に組まれた天皇杯で勝利を得る。特に天皇杯3回戦の徳島ヴォルティス戦(9月22日開催)は、要所に経験ある選手を置きながらも若手を中心にしたメンバー構成で挑み、湘南スタイルの原点ともいうべき前への推進力に満ちた戦いぶりを披露し、高山選手を含めた中堅選手を刺激した。
 
「チームの調子が良くないときに天皇杯とかって、なかなか難しいと思うけど、徳島戦とか圧倒的な試合をして。試合に出たのは、あんまり公式戦に出てないメンバーで、みんな試合になかなか出られない悔しさとか、毎日一生懸命やってきた姿っていうのを見せてもらった。それがモチベーションになったというのはあります」
 
 その試合の後に行われた2ndステージ第13節(9月25日開催)ジュビロ磐田戦で引き分け、連敗を止めた。
 しかし、この磐田戦は、今シーズンのリーグ戦で、高山選手が唯一怪我などの理由がない状況でスターティングイレブンから外れた試合でもあった。
 
「全体的に結果が出てないけど、特にホームの試合で良くなくて。だからベンチになってもしょうがないと思っていた。
 磐田戦は、緊張感があって前半からすごく良い試合をしていた。ベンチで見ていてもこの流れで試合に出たら、絶対に仕事をしないといけないなって思ったし、それがモチベーションになった。ベンチになった悔しさと合わせてそういう気持ちが何かポジティブに働いたなっていう印象があります」
 
 勝点3までには届かなかったが、久しぶりに前へ向かう姿勢が前面に出た試合を戦い、連敗を止めた。この試合以降、選手たちのプレーに迷いは見えなくなる。磐田戦は、自分たちのサッカーを取り戻した試合ともなった。
 とはいえ、この時期になると残留を争う他チームも必死、自分たちにできることはなるべく多く勝ち点を積み上げることだけ。勝敗の行方はというと前への推進力は取り戻したが、1点が遠いのは変わらないまま。その状況で、ここで負ければ降格が決まるという第15節大宮アルディージャ戦を迎えた。
 
「勝たなきゃいけないっていうプレッシャーは払拭できていた試合だったと思います、大宮戦は」
 
 迷いがなくなったチームは、正念場の試合を迎えるなかでも、「勝たなければ!」と自らを追い詰めるような思いを抱くことはなく、「自分たちらしく戦おう、それが勝利に繋がるはず」という、気持ちから前へ向かう姿勢を持つことができていた。その気持ちはタイムアップの笛まで衰えることはなく、その証しに3点のビハインドにひるむことなく2点を追い上げ、終盤は相手が自陣を出ることはほとんどないほどだった。しかし、勝利を得ることはできなかった。
 
「残留は、その時点で他力だったし、可能性としては薄かったんですけど、サポーターの前に行って拍手してもらったときに、なんかほんと悔しいなって思った。拍手してくれて、申し訳ないっていうのとすげー悔しかったなっていうのと。それは覚えてます」
 
 再び自分たちらしさを取り戻して戦ったリーグ終盤戦。天皇杯での勝利や、その試合で活躍した若手選手たちのプレーがきっかけとなったが、高山選手は、それだけじゃないという。
 
「大宮戦もそうですけど、アウェイにもすごくたくさんサポーターが来てくれて、どう考えてもブーイングでいいじゃないですか、正直。10連敗もして、サポーターや見ている人は、なかなか湘南らしさを感じることができなかった試合が多かったのに拍手してくれて。やっぱそういうところで残り3試合は絶対勝つって決めていた」
 
 サポーターの思いに応えたいという気持ちがプレッシャーを跳ね除けた。降格は決まったが、その気持ちは変わらない。それがその後のリーグ戦と天皇杯4回戦での勝利に繋がった。
 
「残り3試合は絶対に勝とうと言っているにもかかわらず、大宮戦は内容は悪くなかったですけど勝てなくて。残り2試合になった時点でやっぱりやらなきゃいけないっていう気持ちがあったっていうのは大きいです」
 
 今もこの気持ちは変わらない。次に控える天皇杯ラウンド16で、サポーターに見せたいものが、ある。

>突き抜ける強さが欲しい キャプテンとして足りなかったもの