ボイス

2016.10.12

【ボイス:2016年10月11日】齊藤未月選手

プロへの道へ踏み出すきっかけは
背中を押すサポーターの声援

 プロ契約を締結したことが発表されたのは、今年の5月23日。昨年2種登録されてちょうど1年がたった頃だ。ベルマーレが高校生年代の選手とプロ契約を結んだのは、2009年に高校3年生だった菊池大介選手以来となる。もちろん、そこに至るまでには、様々な出来事があり、齊藤選手はその都度に心を揺らしながら前に進んできた。
 トップチームの練習に初めて参加したのは、高校1年生の夏。Jr.ユースから昇格したばかりとはいえ中学3年の頃からユースの練習に加わり、高1の夏休み前には試合出場も経験している。高校生年代で自分の技術やストロングポイントが通用するという手応えはつかんでからの挑戦だった。ところが、初めてトップチームの練習に参加した感想は
 
「無理っていうか。これじゃあプロにはなれないって気持ちになりました」
 
 緊張と気後れと遠慮が混ざり合った気持ちで臨んだ練習では、何もできなかったという印象が残る。
 
「体格差やプレースピードもあったと思いますけど、お客さんみたいな気持ちで入ってしまって。『自分が試合に出てやろう』っていう気持ちではなく。練習も全然楽しくなくて、もうボールを受けたくないっていうメンタリティ。常にパニック状態で、『もう帰りたい』ってなってました」
 
 夏休み後は、そのままユースの活動に戻り、その年の秋に開催された第69回国民体育大会サッカー競技少年男子に神奈川県代表チームに選ばれて参加。様々なチームから集まった選手と力を合わせて優勝を勝ち取った。そこから再び前向きに取り組んで、高校2年の夏の練習参加は全く違う気持ちで臨むことができた。
 
「高校1年のときと比べてメンタル面も技術面も全然違って、ボールを奪うっていう自分のストロングポイントも出せた。ミスをしてもチャレンジをしたミスなら全然いいと思って。そこからもっとプロを意識してもいいのかなっていう気持ちになりました」
 
 夏休み前には、週末に行われる練習試合に数多く呼ばれ、トップとユースを行き来するなかで2種登録をするに至っていた。
 
「曺さんとも話をして。2種登録したら、もうお客さん目線で練習に参加するんじゃなくて、公式戦に出られるんだからJリーグに出るつもりでやりますと宣言して。それで良い意味で吹っ切れて自信を持ってやれたというか。チャレンジしてそれがミスになっても、それで落ち込むんじゃなくて次に切り替えていく。自分の悪いところを直そうとするより、自分の良いところを出していこうという気持ちになりました」
 
 もう一つ、自信を深めるきっかけになったのが昨年の8月、Shonan BMWスタジアム平塚で行われたFC東京との練習試合。メインスタンドが開放されたこの試合には、FC東京の熱心なサポーターも数多く都内から足を運び、スタンドは両チームのサポーターで賑わった。
 
「この試合で曺さんから課題を出されていて、それが自分なりにうまくいったというか。
 曺さんに言われたのは、ボックスからボックスへ、自陣のペナルティエリアと相手のペナルティエリアを行き来する運動量を持って、自分のストロングポイントを出していこうと。そのときはボールを受けるのが得意ではなかったんですけど、どんどんボールを受けて行けと言われてました。この試合でスタメンで出て、自分も『やってみよう』と思ってどんどんボールを受けて、どんどん走って。自分の特徴も出せて、楽しくできた。こういうふうにやれば自分なりに楽しくできるというのを見つけられたというか」
 
 J1のチームとホームスタジアムでの対戦。両チームのサポーターの期待がスタンドから伝わる試合は、馬入グラウンドで行われる普段の練習試合とはまったく違うモチベーションを触発した。
 
「BMWでやったのも良かった。良い雰囲気でできた」
 
 9月には公式戦デビューとなった天皇杯2回戦にスタメンで出場した。トーナメント戦とはいえ、まだ2回戦。ゲートが開いたのはメインスタンドのみだった。応援もリーグ戦に比べれば数は少なかったが、それでもサポーターのまとまった声援をピッチで受けることを初めて経験した試合だった。
 
「8月の練習試合と同じくらい人が入って、応援があって。自分はそっちのほうがやりやすいのかもしれない」
 
 サポーターの応援を背に受けて走る心地よさと力強さが印象に残る。
 
「先発で出してもらって、夏にトップの練習でやってきたことを少しは出せたって、ちょっと自信になった試合です。
 相手は大学生でしたけど、自分のストロンングポイントをどんどん出そうと、これが自分っていうのを見てもらおうって気持ちになりました」
 
 トップチームで練習をしていたこともあって大学生との体格差やスピードに臆することはなかった。ミスを恐れずに走り抜いた試合で勝利を得た。この2つの試合の体験が今につながっているのを感じている。

>プロは夢じゃなくて目標 今はスタートラインに立ったところ