ボイス

2016.06.02

【ボイス:2016年6月2日】坪井慶介選手

ボイス 坪井慶介選手
湘南スタイルをより洗練されたものに成長させるシーズン
やり続けた先に得るものがあるはず

曺貴裁監督が指揮を執って5シーズン目の今年は、
これまで培ってきたスタイルに、新しい成長の方向性を示し
さらなる深化を図っている。
昨シーズン以上の強さを求めて新たなチャレンジに取り組むチームで
存在感を増しているのが加入して2年、プロ15年目を迎えた坪井慶介選手。
今、できることを最大限の力でやり続けるその姿勢が
発展途上のチームを支えている。

燃え尽きるまでやり続けたい
35歳で現役続行を選択した理由

 曺貴裁監督が指揮を執り、2度目の昇格を果たした2014シーズンの終わりに加入が発表された坪井慶介選手。浦和レッズで13シーズンに渡って選手生活を送り、その間に日本代表に名を連ね、2006年にドイツで開催されたFIFAワールドカップにも出場している。J1に定住することを最大の目標に掲げたシーズンを控えて、その目標を達成するための重要な戦力として期待されての加入だった。
 改めて振り返るキャリアはプロ選手として申し分ないもの。しかし、移籍を決意した気持ちの奥底にあった理由は、そのイメージとは少し、違うものだった。

「レッズから契約がないと言われたときに、なんというんですかね、やりきった感というものがまだなかったんで、このまま中途半端に現役を終われないなっていう気持ちが強かった。幸い、当時35歳までやらせてもらったので、ここまできたなら燃え尽きるまでやることが大事なんじゃないのかなと思って。一番の理由は、そこですね」

 現役を続行したいという希望を抱き、複数クラブが獲得に興味を示すなか、移籍先にベルマーレを選んだ。決め手となったキーワードは「成長」。

「正直に言って必要としてくれるところならどこでも、というふうに思っていた。そのなかでいち早く声をかけてくださったし、何より曺さんに『まだ成長できる』と言われたのは大きかったなと思ってます。言ってみれば、サッカー選手としては晩年。そういう選手にも『お前はまだ成長できる』と言ってくれることは、ありがたいですし、光栄ですし、やりがいを感じた」

 燃え尽きるまでやりきりたいという気持ちには、経験を活かす役割よりも何歳になっても成長できるという姿勢と結果を示す役割の方がしっくり馴染んだ。ところが、そういった気持ちの部分は自分の希望に沿うものを丁寧に選びながら、サッカーのスタイルについては全く考慮しなかったという。

「どういうサッカーをやるかという部分については、僕はイメージ、ゼロで来た。すべてを吸収していこうという気持ちでしたね。
 実際、曺さんは何をやりたいのか、何をやるべきなのかという基準をすごくしっかり示してくれる監督なので、そこはやりやすいですね」

 日々のトレーニングの中で湘南スタイルを理解し、身体に叩き込んでいった。また、そういった毎日を繰り返すなかで知らず知らずのうちに思い切り身体を動かすことをどこかセーブしていた自分に気づいた。

「単純に動く、走るということも非常に久しぶりの感覚なので新鮮にやれています。やっぱり年をとってくると怪我のリスクもあるし、もうちょっと出来るけど抑えておこうか、といったところが知らず知らずのうちに増えがちになる。でもそんなこと、関係ないっていう、ね。もう行くところまで行っちゃえばいいか、みたいな(笑)。このチームには、そういう雰囲気がある。曺さんもそうですし、周りの選手ももうね、ベテランで経験もあるからそんなに走らなくていいですよなんて言わないですから。どちらかと言えば、『走れ』みたいな」

 曺監督は、日々のトレーニングを見て公式戦のメンバーを選ぶ。だからこそ選手たちは、トレーニングから100%で臨む。それはベテラン選手でも同じ条件。彼らにとって全力を出し切ることはここにいる以上、当たり前の前提だ。

「来てびっくりしたのは、非常に若い選手が多いこと。今、ベルマーレで頑張ってチームを引っ張っている年代、三竿(雄斗)や大介(菊池)にしても、ちょうど一回り違いますからね。若いなと思いますよ。けれどもみんなすごくサッカーに対して意識が高く、前向きに取り組んでいるという部分は強く感じましたね」

 年齢が一回り違う選手を中心に、その同世代がひしめくチームメイトたちと共に切磋琢磨する日々を送っている。

「僕の勝手な印象では、チームには早く馴染めたと思ってます。みんなは、わからないですけど(笑)。
 厳しいトレーニングも人それぞれだと思いますけど、僕にとっては非常に良かったと思います。どちらかといえば走ることはもともと得意というか好きだったし、そういうことをすることによって身体がどんどん感覚を取り戻していくような手応えがある。
 体力や筋肉といった部分は、現実的に科学的に言えば普通に若くなることはないですけど、いい感じにはなっているなと思います。何ですかね? 向上心を持ってやり続ければ伸びる可能性は少しでもあるっていうことですね」

 実際に試合で見る坪井選手は、かつて注目を集めたスピードもいまだ健在というプレーを随所に披露している。では、最初にこだわった成長という部分に対してはどんな手応えを得ているのだろうか?

「具体的に急にシュートが上手くなったり、ドリブルがすごく上手になったってことはないですけど、……考え方だったり、ベルマーレに来てこういうサッカーを経験できて、それについていろいろ考えることができるっていう部分は非常に良かったな、成長できているなというふうに思います」

 湘南スタイルという坪井選手にとっては新しい経験となるサッカーに触れることによってサッカーを考える幅や深みが増している。そんな積み上げを感じながらプロ生活15年目を数える今年は、ベルマーレで迎える2シーズン目。「身体が感覚を取り戻している」というその言葉の証だろうか、昨シーズンよりも出場機会が増えている。

「今年になって特別何か違うことをやっていることはないんですけど、個人的には身体が去年よりもフィットしているかなっていう感じはするんですけどね。1年間、試合に出たり出なかったりはありましたけど、やっぱりしっかりきついトレーニングをし続けたことが身になっているかなと思います」

 今シーズンもまた、J1に住み続けるために。坪井選手の力はまだまだ必要だ。

>攻撃的な強みをさらに強化して湘南スタイルは深化し続ける