ボイス

【ボイス:2016年4月10日】藤田祥史選手

勝っても負けてもブレないのが強み 湘南スタイルに磨きをかける

 まだシーズンは始まったばかりだが、チームが目指すところがわかりやすい戦いぶりを披露していることもあり、もったいない結果になっている試合があることが残念だ。そういった点は藤田選手にはどう映っているのだろうか?

「みんな若いけど試合数もこなしているから試合運びとかはどうこうないけど、それこそ最後の締め方とかは確かにあの2試合はもったいなかったなというのはある。そういうところはどう判断するのか、最後はどうやって逃げ切るのか、個人としてもチームとしても突き詰めていかないと。俺はそういう判断とか声がけができるタイプではないんで、ツボさん(坪井慶介)があそこに居たらどうやって声かけるのかなとか、ちょっと考えました」

 アディショナルタイムまでリードを保った最後のプレーでの失点が続いた2試合は、特に印象に残っている。なかでも広島戦は、起きた事実だけを捉えれば、アディショナルタイムでの失点という川崎戦と同じミスを繰り返したことになる。

「広島戦とかね、あとで映像で見ると細かい点、この時はもっと簡単にクリアしておけば良かったとか個人戦術の部分がわかるんですけど、やっぱり試合中に判断したり、危機察知能力じゃないですけどそういうものを感じてる力、個人個人もっと磨いていかなあかんとは思う。それがああやって最後に勝ちきられへん部分かなと思います。
 経験はもちろん大事やし、それこそこの2試合で俺らも学んだから次はないようにっていう経験はできているし、こういう早い段階でそれができたのは逆に良かったと思う。川崎戦と広島戦では細かいけど、川崎戦でチームで反省した部分は広島戦でできていて、また違った部分でやられてしまったところもある。だから経験だけで片付けられない個人戦術の部分があると思う」

 得点差やその試合の状況に応じてどう試合を終わらせていくかということはピッチに立つ選手の共通理解が必要だ。そういった点は、以前に在籍した横浜F・マリノスはうまかったという。

「1対0で勝っている試合をそのまま締める力とか。個人の能力やディフェンスラインの跳ね返す能力が強いというのもあると思うけど、チームとして割り切って試合を運ぶとかそういう判断がうまかった。経験という言葉を使うと簡単やけど、言葉が難しいな、大人やったというか。それこそ中澤(佑二選手)さんや俊さん(中村俊輔選手)が居て、声かけとかもうまかったんかなと思うし。
 守備はやはり難しい。俺なんかは攻撃の選手やし、守備をすると言ってもただ走っているだけなんで、後ろの選手たちの最後の守りとかポジショニング、1対1の駆け引きとか、本当に大変やなと思います」

 今シーズン、J1を戦い抜くために、また昨シーズンよりも良い結果を残すために、課題はまだまだ山積みだ。それでもこの1年で藤田選手自身が得た手応えがある。

「湘南の良さは勝っても負けてもブレないところ。スタイルがあって帰れる場所がある。そのサッカーは、選手みんながひたむきにプレーして観ている人を感動させられるもの。選手はみんなそういうサッカーをしたいと思っている。だからスタジアムで見てほしいなと思うし、声援が俺らのパワーになって最後走れたりするから応援してほしいなと思う」

 もっと強くなるために。さらなる深化を遂げることを目指し、今シーズンも湘南スタイルに磨きをかける。

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取材・文 小西尚美
協力 森朝美、藤井聡行