ボイス

2015.12.11

【ボイス:2015年12月11日】秋元陽太選手 [1]

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チームの勝敗を左右する「この1本」を止めてこそ、
存在感あるゴールキーパーを目指して。

クラブとして3度目のJ1への昇格を果たし、
トップリーグを自分たちの住処にするために戦った2015シーズン。
来シーズンもこのJ1で戦う権利も自分たちの手で勝ち取り、
リーグのレベルやこの舞台で戦う意味を
選手一人ひとりが存分に感じた年となった。
プロとして10シーズン目を迎えた秋元陽太選手にとっては、
何年越しかの思いを積み上げて手にした、念願の舞台。
強い思いで臨んだシーズンだけに、
リーグ戦は全試合の先発を譲ることなくピッチに立ち続けた。
シーズンを振り返り、その戦いのなかで得たものに思いを寄せた。

回り道して掴んだJ1の舞台 そのピッチに立つことも恩返しに

 選手にとって「J1」というのは、やはり特別な舞台だ。プロになった以上、トップリーグのピッチを目指し、自分を試したいと願わずにはいられない。だからこそ選手たちは、その舞台に立つためにさまざまな努力を重ねる。今季プロ生活10シーズン目を迎えた秋元選手にとっても、横浜F・マリノス時代の2011年のリーグ戦で1試合に出場して以来4年ぶりに立った舞台、これまでの選手生活を振り返っても1年を通してJ1でリーグ戦のピッチに立つのは初めての経験だ。

「J1は久々っていう感じです。湘南に来るにあたってはJ1に戻りたいという思いがあったからなので、それが2年目でかなった。1年目でJ2を優勝してJ1昇格の切符を手に入れたということは良かったと思います」

 横浜F・マリノスのアカデミーで育った秋元選手。ユースからトップに昇格したものの、なかなか試合出場の機会をつかめず、シーズンの中で何度か得たチャンスも生かしきれずに6シーズンを過ごした。2012年に背水の陣で臨む覚悟を持ってJ2の愛媛FCに移籍。一見回り道に思えた選択だが、より厳しい環境に身を置くことで精神面の成長も期した。覚悟の強さがどれだけだったのかは、その後の活躍が物語っているだろう。2014シーズンにベルマーレに加入し、守護神の座を掴むと記録づくめの昇格に力を尽くした。その全てが今シーズンを過ごしたJ1のピッチに立つため。

「厳しいリーグだと思いますよ。でもやっぱりそこが自分の求めていた場所。そこに帰るために愛媛に移籍して、そして湘南に来たので。3年かかりましたけど今年J1の試合に出て、個人的にこの3年間、4年間無駄なことは一つもなかったというのを感じた。つらい時期の方が多かったですけど、その分こうしてまたJ1でプレーできる喜びというのはすごくあります」

 J1リーグでは、古巣の横浜FMが秋元選手が在籍していた頃と変わらずに強豪として存在感を放っている。そのチームと対戦できるのもこの舞台に戻ってこれたからこそ。

「僕自身は中学校からジュニアユース、ユース、プロと12年間お世話になったクラブで、自分のベースの部分はマリノスで育ててもらったと思うので、敵チームとして対戦できたことはすごく嬉しかった。それにマリノスで今出ている飯倉(大樹選手)さんや榎本(哲也選手)さん、松永(成立)ゴールキーパーコーチは本当にお世話になった方々なので、そういう人たちが喜んでくれたり、『よかったね』と言ってくれるのはありがたかったですね」

 在籍時に背中を追い続けた二人の選手。各チームと2度対戦するリーグ戦で、その二人の選手と同じピッチに立つことができた。

「そのお二方がいたおかげで僕は成長できたと思っている。二人が練習に臨んでいる姿勢とか、出ている試合とか、試合に勝ったとき負けたとき、いろいろ味わっている部分もベンチ外のときもベンチにいたときもずっと見させていただいて、そういうことが愛媛時代にすごく活きました。優秀な二人がいたので成長できたと、マリノスから移籍して改めて感じました」

 特に飯倉選手とは一つ違い。ユースからゴールキーパーの選手が2年続けてトップに昇格することはポジション柄めずらしいことでもある。

「飯倉さんを超えなきゃ試合に出られないっていうのはピッチの中ではありましたし、1個上ということで多少なりともどうしようか考える部分はありましたけど、ピッチ外ではお兄ちゃんみたいな存在で優しかったし、いろいろ教えてもらいました。飯倉さんがちょっと病気になってしまった時期もあって心配していたんですけど、僕たちのホームの時に一緒のピッチに立てて本当に嬉しかったです。苦しいこともあった6年間ですけど、外に出たときに『ああ、良かったな』と感じることが多いです」

 横浜FMで過ごした6シーズンと、愛媛とベルマーレで過ごした4シーズンのどちらか苦しかったかと尋ねると

「出られない苦しみと、出続ける苦しみってまた違うので。愛媛では1年目からほぼフル出場させていただいたのに、でもそこで結果が伴わなくて悩んだりっていうのがありましたし、湘南に来てからは勝ち続けているけどJ1に昇格したときのことを考えてプレーしなきゃいけないというのもあって、悩んだりした時期もありましたけど。どっちが苦しいんですかね(笑)? 今となったら良い思い出なのかもしれないですけど」

 試合出場は日々の練習の成果、そしてその試合が練習での課題を提示する。ピリピリとしたシーズンを終えた今、つかの間の開放感を味わうなかで振り返れば、どんな状況も良い思い出に思えるのだろう。来シーズンはどんな思いを積み上げるシーズンになるのだろうか。その一つひとつが成長の糧となることは間違いない。